NTT法廃止は「必ず禍根を残す」「国民の利益が損なわれる」 KDDI、ソフトバンク、楽天のトップが猛反発(2/2 ページ)
「NTT法の廃止」を巡り、通信事業者181社が反対の意見を表明した。その代表としてKDDI、ソフトバンク、楽天モバイル、全国ケーブルテレビ連盟の12月4日に記者会見を開いた。NTT法が廃止されることで、料金の高止まりや地方維持できない問題があることを改めて訴えた。
廃止は反対、一部改正は賛成
NTT法廃止に反対する各社だが、NTT法の改正自体を拒んでいるわけではない。約40年前に制定された条項のうち、時代にそぐわない部分の改正については賛意を示している。このうちいくつかは、NTT自身が改正を望んでいる項目だ。
例えば、NTTグループには「研究技術の開示義務」が課されており、他社との共同研究をさまたげる要因となっている。また、外国人役員の登用制限もグローバル化が進む現代の経営に合わない部分となっている。これらの点については、KDDIやソフトバンクは改正に賛成している。
また、NTTは「日本電信電話」という社名の変更を希望しているが、宮川氏は「勝手に変えればいい」と述べている。
三木谷会長「議論のプロセスにも違和感」
NTT法に関する議論を巡っては、ここまで言及したようにさまざまな論点が伴う。短期間の議論で結論を出せるような問題ではないことは明らかだろう。楽天モバイルの三木谷氏は「議論のプロセスにも違和感がある」と疑問を呈している。
そもそも今回の「NTT法廃止」の発端は、通信業界の将来像を考えて構想されたわけではなかった。もともとは6月に自民党内の防衛財源の確保するために政策案のまとめた報告書の中で、NTTの株式を売却して防衛財源を確保するべきという発案が記載されたことから議論が出発している。
高橋社長「なぜそこまでして廃止したいのか」
その後、総務省の審議会での議論が開始されており、9月には通信大手4者のヒアリングが実施された。
11月30日には、新聞各社から自民党内でNTT法改正に関する議論の最終案が報告されたという報道もなされたが、4日時点でその内容は公表されていない。KDDIの高橋社長も自民党内の議論の内容は知らされておらず、新聞報道で内容を知るような状況という。
高橋社長は「NTT法で廃止の議論をそもそも、なぜ今する必要があるのか。廃止にあたって外為法上の担保措置を行うなど議論があるが、なぜそこまでしてNTT法を廃止したいのか。何か大いなる目的があるのだろうと推測せざるを得ない」と見解を述べている。
高橋氏は繰り返し、オープンな場で議論ができるよう訴える。
「明日すぐにサービスの悪化につながるとは思わないが、5年先10年先に、これからの時代に全てのモノに通信が使われる時代に必ず禍根を残すことになる。政府に切にお願いしたいのは、有識者や権利者も交えたオープンな場での議論を導いていただきたい」
宮川社長「売却されたら取り戻せるのか」
ソフトバンクの宮川社長は、ボーダフォン日本法人を買収して携帯事業に参入したときの例を挙げて、NTTへの外資規制解除に対して警鐘を鳴らした。
「ソフトバンクを規制対象とするべきという意見もあるが、2006年に外資100%だったボーダフォンを買収したとき、まさか規制適用を議論するようなサイズ感になるとは思わなかっただろう。これは逆もしかりで、20年たった後にNTTさんがどうなるかは分からない。ボーダフォンの買収時にソフトバンクは2兆円をかけて外資から取り戻したが、NTTの規模で同じことがなされた場合に、取り戻せる日本企業はあるのか」(宮川社長)
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