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インタビュー

新しいarrowsやらくらくスマートフォンは出る? Lenovoグループに入って何が変わった? キーマンに聞く「新生FCNT」(3/4 ページ)

富士通の携帯電話端末事業に源流を持つメーカー「FCNT」が、Lenovo出資のもと再出発した。「arrows」や「らくらくスマートフォン」は一体どうなるのか。Motorola(モトローラ)とどうすみ分けるのか。そしてハイエンド端末は出るのか――新生FCNTのキーマンに話を聞いた。

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「らくらくスマートフォン」はどうする?

―― 先ほど、らくらくスマートフォンの話も出ましたが、製品としての特徴も相まって“変わり映えのしないスマホ”と思われている面も否定できません。最近は子ども世代が自分で使い方を教えられるiPhoneを使わせるという話もあります。今後、らくらくスマートフォンはどのように進化させていくのでしょうか。

外谷氏 実はらくらくスマートフォンには、すごく難しい面があります。というのも、らくらくスマートフォンのユーザーにアンケートを取ると「スマートフォンを変えたくない」と考える方が少なからずいらっしゃるからです。この「変えたくない」は、ずっと同じものを使い続けたいというよりも、スマホの使い方や使い勝手を変えてほしくないという意味が強いかもしれません。

 もちろん技術は進化するもので、それに伴い変わっていく使い勝手もあります。端末の企画や開発をする人間の目線から考えると、新技術への適用よりも、実は多くのユーザーがらくらくスマートフォンに求める使い勝手を“変えない”ことの方が、企画/開発的なカロリーが高い(≒難しい)のです。それでも、らくらくスマートフォンの中核にある価値観や操作性は“変えない”ように努力を重ねていきたいと思っています。

 一方で、この“変えない”ことによって「スマホの使い方を回りから教えてもらえない」という事象が発生していることも事実です。そこはマニュアルやパンフレットの充実でカバーできればと思っています。さらにユーザーの裾野を広げるために、他のスマホとらくらくスマートフォンの価値を“融合”する方法も模索していきたいと思います。

らくスマ
FCNTがNTTドコモ向けに供給してきた「らくらくスマートフォン」は、既存ユーザーからの絶大な支持を集める一方で、それゆえに「他の人から使い方を教えてもらえない」といった課題を抱えてしまっている

―― シニア層向けの端末という観点では、最近は京セラやシャープもシニア向け端末をリリースしています。ライバルにない、らくらくスマートフォンならではの“武器”はありますか。

外谷氏 やはり「らくらくタッチパネル」ですね。スマホに不慣れな人は、タッチ操作にも慣れていないことがあります。そこで画面をタップした際に、指先にフィードバックを行うことでボタンを押すような感触を得られます。

 この機能はスマホに慣れている人にはかえって使いづらいのですが、特に「らくらくホン」を含むフィーチャーフォンから乗り換える方や、スマホの操作に不慣れな高齢層のお客さまからは使いやすいと評価されています。UI(ユーザーインタフェース)を含めた総合的な使い勝手や、ハードとソフト両面におけるユニバーサルデザインの実現という観点においても、高い優位性を持つと自負しています。

らくらくタッチパネル
ボタンをカチッと押した時と同じ感触を得られる「らくらくタッチパネル」は、長年使っているユーザーから好評だという。操作に慣れてきたら、オフにすることで普通のスマホと同様のタッチ操作を行える

Qualcomm以外のプロセッサも視野に

―― 先ほど「ハイエンドだけど手に取りやすくて使いやすい」という観点では、最近はMediaTekのSoC(System on a Chip)を採用するスマホが増えており、日本メーカーでも採用例があります。FCNTでもMediaTek製SoCを採用したスマホを発売する可能性はあるのでしょうか。

外谷氏 ここ数年のFCNTは、Qualcomm“一本”体制で端末を開発してきました。一方で、LenovoグループはQualcommはもちろん、MediaTekなど他のSoCメーカーとも取引をしています。

 現時点で決まった話はありませんが、採用できるSoCのポートフォリオは広がったと考えています。端末のレンジに合わせて使い分けるということもあり得ます。

元兄弟会社であるFCCLとの取り組みは? タブレット端末はどうする?

―― 今回の事業継承によって、偶然ではありますが元兄弟会社のFCCLと同じLenovoグループに入りました。同じグループの企業として、事業面でFCCLと連携することもあるのでしょうか。

桑山氏 直近では具体的な話はありません。ただ、元をたどるとルーツは同じ会社ですので、何か一緒にできることがあればぜひ取り組みたいと思っています。

―― FCCLの話をしていて思い出したのですが、arrowsブランドのタブレット端末「arrows Tab」の新モデルがしばらく出ていません。新生FCNTとして、タブレット端末はどう考えていますか。

桑山氏 現状で詳細な商品化プランはありませんが、今後取り組んでいきたい分野の1つではあります。arrows Tabに関しては「新しいの、出ないの?」いう声もちらほら頂いているので、前向きに検討しています。

外谷氏 NTTドコモ向けに供給した「arrows Tab F-02K」以来、FCNTとして新型タブレットを投入していません。発売から6年経過し、2024年8月末をもってサポートも終了予定ではあるのですが、「今でも大切に使っています」という声を頂きます。arrows Tabを期待する声には、何らかの形で応えたいと思います。

arrows Tab
arrows Tabは、NTTドコモが2018年2月に発売した「arrows Tab F-02K」から新機種が出ていない。今でも現役で使っているというユーザーも少なからず存在し、新モデルに対する期待も寄せられているという

 FCNTといえば大手キャリア、特にNTTドコモ向けに多くの端末を供給してきた。一方で、主にMVNO向けにメーカーブランド製品(SIMフリー端末)も提供してきたものの、個人向けモデルは2019年の「arrows M05」を最後にリリースされていない。端末の“供給(販売)先”はどのように考えているのだろうか。

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