“動画以外使い放題”で月1100円のトーンモバイルはお得? 気になる通信速度も測定(2/2 ページ)
トーンモバイルといえば子供用のスマホキャリアというイメージが強かったが、3月から一部のドコモ端末でも使えるようになった。子供や高齢者以外でもメイン回線で使ったり、うまくいけば固定回線代わりに使うこともできるのでは。そこで実際にトーンモバイルを契約し、使い勝手や通信速度を検証してみた。
使い勝手を検証、気になる通信速度は?
早速、SIMカードを端末に入れて手動でAPNを設定し、いろいろ使ってみました。契約者はスマホアプリでチケットを適用すると1GBまで動画視聴が可能になりますが、まずはあえてそのまま動画を視聴してみました。YouTubeアプリを開いても、動画のサムネイルがほとんど表示されません。そのまま再生ボタンを押すと、なぜか動画広告は再生されるのですが、本編は一向に開始しませんでした。Yahoo!ニュースや、他のwebサイトに埋め込まれた動画も同様です。一方、X(旧Twitter)のポストの動画は少し待てば再生されました。
最も気になるのが通信速度です。動画視聴は制限されるとはいえデータ使い放題で月額1100円は非常に安いので、通信速度はかなり遅いのではないか、と危惧していました。そこで、以下の条件で通信速度を測定しました。
通信速度測定の条件
- 測定場所:福岡市中心部のオフィス街
- 測定端末:arrows We F-51B
- 測定アプリ:ドコモスピードテスト
- 測定期間:土日を除く、4月18日〜4月25日
なお、通信速度は測定エリアや端末により異なるので、参考程度に捉えてください。トーンモバイルでは5G通信も可能ですが、今回の測定場所ではほとんど5Gになりませんでした。
トーンモバイルは全体的に速度の変動が大きいが、15時頃まではある程度快適な速度は出ている。しかし16時頃から一気に速度が低下し、1〜2Mbps台が多い。小中学生のユーザーが多いことが影響しているのだろうか
MVNOで最も速度が遅くなるのは平日昼の12時30分です。トーンモバイルの12時30分の速度は日によって変動が大きいですが、10Mbps以上出ている日も多く、最も遅い日でも4.6Mbps出ているので、スマホの通信にはほぼ影響はないでしょう。
しかし、夕方16時から一気に速度が低下します。たまに10〜20Mbps以上出る日もありますが、1〜2Mbpsの日がほとんどです。子どものユーザーが多いため、放課後に通信量が一気に増えるのかもしれません。この速度低下は22時頃まで続きます。
全体的に見ると、やはり通信速度は弱点のようです。ただし、他のMVNOが遅い昼は比較的速く、夕方以降は遅いという珍しい特徴があります。朝から昼すぎまでの通信量が多い人は回避できそうですし、他のMVNOが遅い昼だけトーンモバイルに切り替える、といった使い方もできそうです。また、速度が低下する夕方以降も1〜1.5Mbps程度は出るので、ライトな使い方なら影響は少ないでしょう。動画を除くデータ使い放題で月額1100円は非常に安いので、お得な活用法を検討してみてください。
以上、トーンモバイルの解説でした。動画の容量制限と通信速度に注意が必要で、万人にオススメできるキャリアではありませんが、データ使い放題で1100円は非常に安いです。子どもやシニア以外でも、うまく使えば料金を大きく節約できる可能性があるので賢く活用しましょう。
著者プロフィール
シムラボ
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