「iPhone 16/16 Pro」に触れて実感した進化 16/16 Plusの性能底上げで“間違いない選択肢”に(3/3 ページ)
9月20日に発売される「iPhone 16」シリーズを試した。おあずけ状態になっているApple Intelligenceだが、それを除いても、ハードウェアは進化している。新たに搭載された「カメラコントロール」やカメラ機能、処理能力などを検証した。
大きな違いは望遠カメラの有無、それでも選びやすくなったノーマルモデル
共通項が増えた一方で、ノーマルモデルとプロモデルには大きな差もある。特に大きいのは、望遠カメラの有無だろう。iPhone 16シリーズではiPhone 16 Pro/16 Pro Maxの望遠がどちらも5倍になり、より遠くまで写せるようになった。iPhone 16 Pro MaxはiPhone 15 Pro Maxを踏襲している一方で、iPhone 16 ProはiPhone 15 Proから倍率が上がった格好だ。これに伴い、デジタルズームもプロモデルは共通で最大25倍になった。それぞれの倍率で撮った写真は、以下のようになる。
これに対し、ノーマルモデルのiPhone 16/16 Plusは引き続き、超広角と広角のデュアルカメラ。メインカメラが48メガピクセルと高解像度で、切り出しによる2倍ズームは可能だが、それ以上はデジタルズームになる。これをプロモデルと同じ5倍までズームしようとすると、画質に粗が出てくる。3倍程度であれば差は少ないが、より被写体に寄ることが多いのであれば、プロモデルを選ぶべきだ。
また、プロモデルは標準カメラの画角のデフォルトを、24mm、28mm、35mmから選択することが可能だが、ノーマルモデルにはこの機能がない。センサーの仕様やISP(Image Signal Processor)を見ると、ノーマルモデルでもできないことはなさそうだが、プロモデルならではの味付けとしてこうした機能を用意していることがうかがえる。よりカメラライクに細かな設定まで楽しみたい人のためのプロモデル、そうでない大多数の人に向けたノーマルモデルという形ですみ分けを図っているようだ。
さらに、超広角カメラにも違いがある。プロモデルは画素数が48メガピクセルに向上しており、最大解像度で撮影すれば、精細な写真を残せる。一方で、ノーマルモデルも12メガピクセルながらマクロ撮影に対応し、被写体にギリギリまで近づいて撮影できるようになった。仕上がりを見ても、プロモデルとの大きな差は感じられない。その意味で、2つのシリーズを分ける決定的な違いは、ズームの有無といえる。ズーム撮影をあまりしないのであれば、ノーマルモデルでも十分だ。逆に絶対5倍ズームは必要というのであれば、プロモデル以外は選択肢から外れる。
なお、標準の広角カメラもプロモデルはセンサーの読み出し速度が上がっており、4K、120fpsでの動画撮影が可能になった。撮った動画の速度を後から変え、スローモーション動画を作成することができる。こうした機能を駆使して、作品を撮りたいような場合には、ノーマルモデルは少々力不足だ。
一方で、120fpsの4K動画は万人向けかというと、そうではない。スマホで再生するだけなら、フルHDでも十分だし、フレームレートをいたずらに上げる必要もない。プロモデルは、こうした点も、その名の通りプロユーザー向けに仕上がっている。逆にいえば、一般のiPhoneユーザーにはやや持て余す多機能ぶりと捉えることもできる。
その意味で、iPhone 16シリーズではノーマルモデルのiPhone 16やiPhone 16 Plusが、今まで以上に“間違いない選択肢”になっている。言い換えるなら、万人向けの色合いがより濃くなった。逆にプロモデルは、名称の由来である“プロ向け”の性格がより明確になっている。もともと価格優位性があり、販売ランキングで上位を占めることが多いのはノーマルモデルだったが、ハイエンド層が流れることで、iPhone 16シリーズでは、その傾向がさらに強まりそうだ。
(製品協力:アップルジャパン)
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