IIJ勝社長、大手3キャリアの“30GBプラン改定”に「スタックテストをやっていただきたい」と要望
IIJの2024年度上半期の連結業績は増収減益となった。モバイルサービスは法人も個人も堅調に伸びている。大手3キャリアのプラン改定の影響について、勝社長は軽微であることを述べるが、「スタックテストをやっていただきたい」と要望した。
IIJ(インターネットイニシアティブ)が11月8日、2024年度上半期の連結業績を発表した。上半期の売り上げは前年同期比14.7%増の1470.2億円、営業利益は前年同期比2.5%減の117.8億円で、増収減益となった。売り上げは8月の修正予算通りに進展しており、営業利益は若干上振れした。
営業利益に関しては、VMWareの仮想ソフトウェアライセンス関連で値上げがあったことが減益要因となったが、下期初にサービス価格の改定があるため、影響は軽減される見込み。
モバイルサービスの上半期における売り上げは242.6億円で前年同期比8.1%増となった。IIJのモバイル総回線数は522.8万に達し、1年で82.7万の純増となった。法人向けの売上は72.5億円で272.4万回線に、個人向けIIJmioの売り上げは114.4億円で回線数は129.4万に到達。勝栄二郎社長は「MVNE、個人ともに、売り上げと回線数は堅調に推移している」と手応えを話す。
法人向けは、ネットワークカメラやGPSデバイス、車載器接続などの既存取引が順調に拡大している。2024年4月に提供開始した、災害時の公共機関向けモバイルサービス「IIJ公共安全モバイルサービス」も、中央省庁や全国の自治体、消防組合などで採用が拡大しているという。
一方、個人向けIIJmioは第2四半期から約5000の純増(※)にとどまった。これはここ1年では最も低い数値だが、勝社長は「(純増数は)四半期によっては差がある。キャンペーンにどのぐらい力を入れるかによって左右される。厳しい競争環境の中ではあるが、伸びていることが大事」と前向きに捉えた。
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手3キャリアは10月から11月にかけてサブブランドやオンラインブランドの料金プランを改定。ahamoが料金据え置きで20GBから30GBに増量したことに伴い、KDDIはUQ mobileとpovoで、ソフトバンクはY!mobileとLINEMOにて、2000円台で毎月30GBを利用できるプランを改定または新設した。IIJmioでも月額2700円で30GBのプランを提供しており、3キャリアの改定プランと競合する。
こうした大手キャリアの動きはIIJmioにも影響を及ぼしそうだが、勝氏は「IIJmioで一番利用されているのは5GBなので、直接的なバッティングはそれほどしていない」とコメント。ただ、「キャリアがどんどん安いサービスを出すということは、公平な競争環境からいうと、若干問題ではないかと思っている。きちんとスタックテスト(接続料が妥当かを検証すること)をやっていただきたい」と要望した。
IIJmioでは6月21日から「IIJmioご愛顧感謝特典」を提供しており、同じメーカーの端末を割引価格で購入できる「mio優待券」を、一部の既存ユーザーに配布している。こうした施策により、「定着率が上がっている」と勝氏は話す。長期利用者の満足度を上げることで解約率の低下にも貢献しそうだ。勝氏は「解約率は時期によっては差があるが、MVNOとしては非常に低いのではないかと思っている。だいたい1〜2%前後で推移している」とコメントした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
IIJのモバイル回線数が500万を突破 IIJmioは解約率低下、ARPU向上の効果も
IIJ(インターネットイニシアティブ)が8月7日、2024年度第1四半期の決算を発表した。モバイル事業については、法人と個人を合わせた総回線数が502万5000に達した。勝栄二郎社長は、春商戦が好調で、端末の品ぞろえが豊富であることをアピールした。
IIJmio“長期優遇施策”の狙い 「新規ばかり優遇」からの脱却、旧プランからの移行は課題か
ガイドラインの改正に伴い、IIJmioで長期ユーザー向けの優遇施策を導入。端末割引や家族割引などを受けられる。既存ユーザーからは「新規ばかり優遇している」ように見えており、実際にそうした声が挙がっていたという。
IIJmioで“長期利用特典”を提供 「スマホ割引」「家族割引」「データ追加」を重視した狙い
IIJmioでは、長期利用者向け優待プログラム「IIJmioご愛顧感謝特典」を6月21日から提供する。「mio優待券」では、対象スマートフォンを単体購入する際に端末代を割り引く。複数回線を契約すると、1回線あたり100円割り引く「家族割引」も提供する。
IIJmioの大容量プランは「思ったよりも好評」、ドコモ回線品質の苦情は「減っている」と勝社長
IIJが5月10日、2023年度の連結業績と、2024年度〜2026年度の新中期計画を発表した。新中期計画では、SIやネットワークサービス、セキュリティサービス、ネットワークインフラなどの既存コア領域をいっそう強化する。モバイル事業については、法人向けと個人向けどちらも堅調に売り上げと回線数を伸ばしている。
IIJmio「ギガプラン」の30/40/50GBはお得? 他社の大容量プランと比較してみた
IIJmioでは3月1日から「ギガプラン」で月30/40/50GBのプランを追加しました。ただし、場合によっては他社を選んだ方がお得な場合もあります。そこで今回は、IIJmioの30/40/50GBプランを他社と比較した上で、お得な活用方法を解説します。



