「iPad Air(M3)」の実力検証 変わらない良さと不満、刷新したMagic Keyboardの意外な効果も(3/3 ページ)
先代の発売から1年未満の新機種となる「iPad Air(M3)」をレビュー。最も大きく変わったのは、プロセッサがM2からM3へとアップグレードされたこと。刷新したMagic Keyboardは、ファンクションキーよりもメリットを感じた部分があった。
Touch IDは継続、Apple Intelligence対応も間もなく
普段、iPad Proをバリバリ使っている筆者にとって気になったのは、Face IDに非対応であること。iPad Air(M3)も、トップボタンと一体になったTouch IDを継続している。指紋の読み取りは非常に速く、軽く触れただけで画面ロックは解除されるが、そもそもそこに指を伸ばすのが少々面倒。特に、文字を入力しているときだと、一回手をキーボードから手を離さなければならいので効率が悪い。
ただ、これもよしあしあって、キーボードなしで純粋なタブレットして使う際には、Touch IDの方が認証の失敗は少ないような気がした。画面を点灯させるために指でトップボタンを押すからだ。逆に、Face IDだと本体と自分の距離が近すぎて、うまく認証されないこともままある。Touch IDは、どちらかといえば、純粋なタブレットとして使う際に向いた認証方法のように思える。個人的にはTouch IDとFace IDに両対応したiPad Proを出てほしいのだが、残念ながらそうはなっていない。
iPad Air(M2)も対応しているため、当然といえば当然だが、このモデルもApple Intelligenceに対応しており、4月のアップデートでは、日本でもこれが利用できるようになる。試用機にデベロッパーβはインストールしなかったため、どの程度動作するかは検証できていないが、先行する英語版をiPad Proで使っていると、特にイラスト生成とは相性がいい気がしている。
iPhoneと異なり、Apple Pencil Proが使えるからだ。例えば、メモアプリにサラッと書いた下書きをもとに、「画像マジックワンド」できれいなイラストを作り、資料に花を添えるといったことができる。そんなに頻繁に使うわけではないものの、あると便利な機能だ。キーボードがある分、iPhoneほど利用価値は高くないかもしれないが、単体で使っている際には「作文ツール」も役に立つ。
また、Apple Intelligenceそのものではないが、AI機能の進化の1つとして、OSのアップデートでボイスメモが日本語での文字起こしに対応する予定だ。これも、iPadであれば、相手の声を聞きながら正確に文字になったかどうかを確認しやすい。机の上に置いて録音するiPhoneと違い、キーボード装着時のiPadは画面が自分の方を向いているからだ。相手の発言の細かな部分を確認しながらメモを取れるため、iPhone以上に利便性が高いと言えそうだ。
いくつかの不満点はあるものの、処理能力の高さは総じて評価できる。その性能を、9万8800円(税込み)からという価格で利用できるのはコストパフォーマンスが高い。1つ上のカテゴリーになるiPad Pro(M4)と、7万円差があるのも大きい。その意味では、多くの人の必要十分を満たせているのがiPad Air(M3)といえる。性能の高いiPadを求めている人には、いい選択肢になりそうだ。
(製品協力:アップルジャパン)
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