IIJmio「ギガプラン」改定の効果は「狙い通り」、プランの抜本改定は「検討の余地あり」 キーパーソンに聞く:MVNOに聞く(1/3 ページ)
3月1日にIIJmioの「ギガプラン」を改定したIIJに、その狙いを聞いた。5GBプランのシェアが伸びており、その上の10GBと合わせて強化した。社長の後押しもあり、大手キャリアのサブブランドに対抗すべく、20GB以降の中容量〜大容量帯はデータ増量に注力した。
IIJは、IIJmioの「ギガプラン」を3月1日に改定した。データ容量別の料金という枠組みやプラン数はそのままだが、5GBや10GBは料金を値下げする一方で、20GBから50GBの大容量プランはそれぞれデータ容量を5GBずつ増量している。また、30GBプランはデータ容量を35GBにしただけでなく、価格も2700円(税込み、以下同)から2400円へと1割以上、値下げしている。容量アップと値下げが両立しているのは、このプランだけだ。
3月には、IIJmioの競合ともいえるオプテージのmineoも、大容量プランの50GBコースを新設しており、もともと低容量が主戦場だったMVNOも、徐々にそのデータ容量を増やしている。では、IIJはどのような狙いで料金プランの一部を改定したのか。同社の常務執行役員の矢吹重雄氏と、MVNO事業部 コンシューマサービス部長の亀井正浩氏に話を聞いた。
5GBプランのシェアが2GBよりも高くなっていた
―― 最初に、なぜプラン改定をしたのかを教えてください。
亀井氏 ギガプランを出して4年がたちました。われわれも数年前に値下げした時期もありましたが、商品力という意味だと30GBを強化してきたキャリアのサブブランド(ahamoやUQ mobile、Y!mobile、LINEMOなどを指す)もいたので、思い切ったことをやらなければ注目されない。既存のユーザーの方で、データ容量を使っている方にアピールするため、値下げと増量を実施しました。昨年(2024年)、同時期に大容量帯をリリースしていましたが、全容量そろった状態だったので既存ユーザーや新規ユーザーに対して、何をすればいいのかを考えました。
―― 小容量の部分は、5GBと10GBを値下げしています。ここを値下げした意図を教えてください。
亀井氏 昨年の改定以降、5GBプランのシェアがだいぶ高くなってきていました。割合でいうと、2GBを超えていたというのがプラン改定前の状況です。2GBから5GBに変わっていく流れがあったので、さらに5GBとその上の10GBを強くしたいという思いがあり、ああいう見せ方になっています。階段が低くなっているので、5GBから10GBに変えていただくステップアップをしていただきたいということもあり、意図的にこのような形にしています。
―― 5GBはそんなに増えていたんですね。ただ、ユーザーが多いところを値下げすると、失う収益も大きくなってしまうのではないでしょうか。
亀井氏 新規の獲得においても、(お得さを)示したかったというのがあります。確かに既存ユーザーを考えるとマイナスになるだけですが、そこは長期利用を促すのが狙いです。
サブブランドと比べて見劣りすることがない料金に
―― もともと20GB以上は家族や複数端末でシェアする前提の料金設定でした。今回の改定で、何か考え方が変わったようなことはありますか。
亀井氏 大容量帯を出して1年ぐらいの間で、20GBプランの方のデータ使用量が20%ぐらい多くなってきたので、大容量帯は安くするというよりも容量を増やした方がいいと考えました。そのままの容量帯でとどまってもらうことで、利用も促進できます。使い方(の想定)に関しては変わっていません。
―― とはいえ、30GBは35GBになり、価格も引き下げています。ここは力を入れたところではないでしょうか。
亀井氏 もとの計画では、35GBも価格はそのままでした。ただ、上層部の承認を取る中で、「他社のサブブランド(対抗)を見据えると弱い」という意見が出ました。「サブブランドと比べて見劣りすることがない料金にして、商品価値をもう1回上げましょう」という後押しがあったので、ここまでやってみました。
―― いわゆる社長案件のような(笑)
亀井氏 そこまでではありませんが(笑)、会社全体としての判断です。
矢吹氏 30GBがみんな安くなった中で、もっと存在意義を示したいというのが狙いになります。
―― その意味では、新35GBプランは戦略的な価格設定なんですね。
矢吹氏 そうですね。キャリアに対して安いというのがMVNOの存在意義の1つなので、そこは意識しています。
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