au回線に頼る楽天モバイル、そろそろ「真の独り立ち」か ローミング提供は「(段階的に)減らす」と松田社長
KDDIの社長に就任したばかりの松田浩路氏。4月10日、都内の会見で「楽天モバイルとのローミング」についてコメントした。楽天モバイルは真の自立したインフラ整備を実行できるのか……?
KDDIの松田浩路社長は4月10日、都内の会見で「楽天モバイルとのローミング」についてコメントした。
KDDIと楽天モバイルとのローミング契約は、もともと楽天モバイルが自社での基地局整備が十分に進められないエリアを、KDDI側が補完する形でスタートしたもので、楽天モバイルはローミング契約をエリア化の足掛かりにした。その後、契約期間を当初の「2026年3月末まで」から「2026年9月まで」に延長した。
松田氏は、「このローミング収入が徐々に減少していくことはあらかじめ想定している」とした上で、「中期経営戦略の中にも織り込み済み。収益源として考えていない」とコメントした。KDDIにとって、このローミング契約はあくまで一時的な支援という位置づけであり、長期的な収益の柱としては見ていないといえる。
楽天モバイルも現在、自社基地局の整備やネットワーク拡充に積極的に取り組んでいる。KDDIは、楽天モバイル側によるエリア化や投資の進捗に応じて、「ローミングの提供を(段階的に)減らす」(松田氏)方針だ。
一方、楽天モバイルは2024年11月、報道陣向けの説明会で、自社が取得した「プラチナバンド(700MHz帯、帯域幅が3MHz幅)」の重要性を強調。障害物を透過して電波が回り込みやすい性質を持つため、地下鉄や屋内の通信品質改善が期待される。“つながりやすさ”を飛躍的に高める鍵であり、大きな武器とも位置づけている。
同年6月27日に提供を開始したプラチナバンドは、狭い路地や屋内でも電波が届きやすい性質を生かし、既存の1.7MHz帯を補完するバンドとして運用している。1.7GHz帯で運用しているデュアルバンド対応のアンテナに、プラチナバンドの無線機を併設することで、早期にエリアを構築し、コストを抑えられると強調している。
KDDIとのローミング契約終了までに、au回線から脱却し、真の自立したインフラ整備を実行できるのか、2026年9月までに楽天モバイルがどのようにコメントするか注目されるだろう。
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