Xiaomiが激安スマホ「POCO」シリーズを矢継ぎ早に投入する狙い 2025年になって変わったこと(1/3 ページ)
Xiaomiが2025年、ECサイトを中心に販売しているPOCOシリーズを、日本で矢継ぎ早に投入している。ミッドレンジ、ハイエンド、エントリーに位置付けられるモデルを合計4機種発売した。同社は一般ユーザーに裾野を広げてコスパの高さを訴求していく。
XiaomiのPOCOシリーズは、コストパフォーマンスの高さを売りにしたスマートフォン。オンラインに販路を絞り、流通コストや宣伝コストをカットすることで、性能に対しての価格を抑えているのが特徴だ。初めて同シリーズの端末が発売されたのは、2022年のこと。以降、日本でもバリエーションを絞りながら年間1機種程度、端末を展開してきた。Xiaomi Japanは2025年から、そのPOCOを本格的に展開していく。
手始めに投入されたのが、2月発売の「POCO X7 Pro」。日本に投入されるPOCOはハイエンドモデルが中心だったが、そのバリエーションをミッドレンジに拡大した。3月には、「POCO F7 Pro」に加えて最上位モデルの「POCO F7 Ultra」も発売し、ハイエンドモデルもバリエーションを広げている。さらに、4月にはより性能を抑えた「POCO M7 Pro 5G」を導入。ハイエンドからエントリーまで、一気にフルラインアップを取りそろえてきた。
毎月のように新機種を発売してきたPOCOだが、日本では、オンラインで端末を買う習慣が必ずしも定着しているとはいえない。Xiaomiの名前は徐々に広がっているものの、POCOはブランド認知がまだ低いという課題もある。では、XiaomiはなぜこのタイミングでPOCOの本格展開を決めたのか。その理由や今後の販売戦略などを、Xiaomi Japanの副社長 鄭彦(てい・げん)氏とシニアマーケティングマネージャーでPOCOを担当する片山将氏に聞いた。
一般ユーザーに裾野を広げてコスパの高さを評価してほしい
―― まず、POCOとはどのようなシリーズなのかを、改めて教えてください。
鄭氏 Xiaomiにはハイエンドのシリーズがあり、その下にコストパフォーマンスが高いRedmiシリーズがあります。それとは別にあるのがPOCOで、性能は高いまま、余計な機能を削ることで究極的なコストパフォーマンスを実現したシリーズです。オンライン限定で展開しており、ITリテラシーが高く、自ら情報収集できる方に向けています。
―― 日本でも、オンライン限定という位置付けはそのままなのでしょうか。
鄭氏 そうです。そこは変えていません。
―― 揚げ足取りになってしまいますが、Xiaomi Storeでは売っていますよね。
鄭氏 (笑)。昨年(2024年)も一時期、ポップアップストアで展示、販売していました。今年(2025年)も最初はオンライン限定にする予定でしたが、お客さまから「やはり触ってみたい」というお声が多く寄せられていました。それに応えて、期間限定でやっています。この期間をどう引くのかはニーズをヒアリングしつつになりますが、オンライン限定という考え方は変わっていません。オフラインは販売というより、あくまで体験の場所を提供するという考え方で整理しています。
―― 販売店を広げてしまうと、その分コストも乗ってきてしまいそうです。
鄭氏 そうです。それもありますし、オンライン(のXiaomiやRedmi)とのバッティングもあります。
―― 以前から投入していましたが、今年から本格展開することになりました。その理由を教えてください。
鄭氏 過去に2モデルを出してきましたが、そこでのお客さまの評価がかなり高かったことがあります。もともと、オンライン限定でITリテラシーが高い、ある意味ギークの人向けにお出ししたものですが、評判がよかったので、もう少し一般の方にユーザー層を広げてもコスパが高いところは評価いただけるのではないかと考えました。海外ではギーク向けだけでなく、ハイエンドからローエンドまで幅広くカバーしています。日本でも一定のニーズがあり、より広いユーザー層に受け入れられるのではなかと考え、本格展開を決めました。
一番人気は「POCO X7 Pro」 Xシリーズに対する要望が高かった
―― 今年に入って既に4モデル投入しています。もう少し、徐々に広げていく手もあったと思いますが、ここまでの拡大は時期尚早だったということはないでしょうか。
鄭氏 4モデルを出し、市場の反応を見ていると、そんなことはないといえます。それぞれの端末にニーズがあるからです。
―― なるほど。特に人気が高いモデルはありますか。
;鄭氏 一番人気なのはPOCO X7 Proですね。POCO F7 UltraとF7 Proも、以前のモデルを買われたような層からのニーズがあります。
―― POCO X7 Proということは、やはりバランスが取れているというのが大きいのでしょうか。
鄭氏 そうですね。昨年から、Xシリーズの端末がほしいという声は多くいただいていました。
片山氏 「POCO F6 Pro」を出した際にも評価されていた一方で、SNSには「Xシリーズは今年もないのか」という話がけっこう出ていました。そういった方々には、本格参入の一発目として出したこともあり、だいぶ喜んでいただけています。
―― Fシリーズの方がある意味分かりやすいので、反響が大きいと思っていました。
片山氏 シンプルに「Snapdragon 8 Elite」という話がガンと出ますからね。ただ、改めてになりますが、Xiaomiファンにはテクノロジーやガジェットが好きな方が多い。このチップなのにこの価格で来たか、というところはやはり評価されます。テック好きな方は広くいますし、日本で培ってきた活動で認知していただけていることを再認識しました。
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