ソニー「Xperia 1 VII」で“2つの機能”が省かれた理由 便利だったのに……なぜ?
ソニー製スマートフォン「Xperia 1 VII」が発売された。動画撮影などの新機能がある一方で、省かれてしまった機能が2つある。それはなぜだろうか?
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3キャリアは6月5日、ソニー製スマートフォン「Xperia 1 VII」の販売を開始した。ソニーストアでも「ソニーストア限定 Xperia 1 VII 『スター・ウォーズ』モデル」(XQ-FS44-1/SW)を除いてSIMフリーモデルを発売した。
Xperia 1 VIIは、「撮る・見る・聴く」という3つの体験に重視したハイエンドモデル。カメラについては、AIが被写体を自動で認識・追跡し、最適な構図で撮影する機能や、超広角・広角レンズでAIによる自動フレーミングを行える。ディスプレイについては、テレビ「BRAVIA」譲りの色彩・質感・コントラストを表現できるとしている。オーディオについては、ウォークマンで使われている部品を採用し、有線接続時の音質を高めている。
一方で、省かれてしまった機能が2つある。
一部のXperiaに搭載されていた2つの機能が、Xperia 1 VIIで廃止された
Vlog撮影時のモニター代わりになる機能
1つは、Vlog撮影時にXperiaのディスプレイではなく、背面に取り付けた小型モニターで映像を確認する機能だ。機能というよりは、「Vlog Monitor XQZ-IV01」というアクセサリーが使えない、という方が正しい。
Vlog Monitorは、プロクリエイター向けモデルの「Xperia PRO-I」 で初めてソニー純正アクセサリーの1つ。Bluetooth対応のシューティンググリップ「GP-VPT2BT」と組み合わせて使う。
具体的には、Bluetooth対応のシューティンググリップにXperiaを挟むツールを取り付け、そのマグネット部分にVlog Monitorを装着する。
当初はXperia PRO-Iでしか使えなかった2つのアクセサリーは、大手キャリアが2022年夏商戦向けのモデルとして発売した「Xperia 1 IV」、そして同じく大手キャリアが同年秋冬商戦向けモデルとして発売した「Xperia 5 IV」でも使えるようになった。「Xperia 1 VI」「Xperia 1 V」「Xperia 5 V」にも対応している。
Vlog Monitorは3.5mm 3極マイク端子を搭載。ホルダー上部のアクセサリーシューに外付けのカメラ用マイクを取り付ければ、より良い音で録音が可能だ。外部電源ポートも搭載しており、充電器やモバイルバッテリーなどを使えば、長時間撮影においてVlog Monitorを給電しながらXperiaの充電も行える。
Xperiaをデジタル一眼カメラのモニター代わりにする機能
もう1つは、Xperiaをデジタル一眼カメラのモニター代わりにする機能だ。デジタル一眼カメラと対応するXperiaを有線接続し、Xperiaの有機ELディスプレイをデジタル一眼カメラの外部モニターとして活用できる。
これも、「Xperia PRO」とXperia PRO-Iで特にアピールされていた機能で、プロユースケースを想定して設計された。
デジタル一眼カメラも、撮影時の写真や動画のプレビューモニターとして使うため、ディスプレイを搭載しているが、スマートフォンと比べると小型だ。スマートフォンのディスプレイも、テレビやPC向けのモニターには及ばないサイズながら、デジタル一眼カメラよりは確認しやすい。
ただ、大きな画面でモニターできるだけでなく、細かいUIにまでこだわって設計されていたのがこの機能の魅力だ。
例えば、動画制作時の露出設定(白飛び/黒つぶれ/輝度の偏り)と、RGB各チャンネルのバランスを確認したり、デジタル一眼カメラで撮影した映像に白飛びや黒つぶれの他、偏った輝度になっている箇所があれば、それをXperia PROとXperia PRO-Iのディスプレイで表示したりできる。
便利だった2つの機能 なぜXperia 1 VIIでは使えないのか?
ソニーが新型Xperia 1 VIIでも動画撮影機能を積極的にアピールしていることを踏まえると、動画撮影のニーズが減少したとは考えにくい。では、なぜ2つの機能はXperia 1 VIIでは使えないのだろうか?
Vlog Monitorは、もともと静止画撮影アプリ「Photography Pro」や動画撮影アプリ「Videography Pro」と組み合わせて使えるアクセサリーとして登場した。しかし、アプリとの連携機能であるがゆえに、ソフトウェアの調整も必要となる側面があった。
これらのアプリは、2024年のXperia 1 VIで1つのカメラアプリに集約され、静止画と動画に分かれていた機能が統合された。各撮影モードはカメラアプリからスワイプで切り替えられるようになり、UI(ユーザーインタフェース)も簡易化されている。
Xperiaをデジタル一眼カメラのモニター代わりにする機能については、ソニーが同年に発売した「PDT-FP1」でその役割を補える。PDT-FP1は、デジタル一眼カメラで撮影した写真や動画を5Gでクラウドにアップロードしたり、ライブストリーミングを行ったりできるポータブルデータトランスミッターだ。
機能を継続することもユーザーにとっては重要な要素だが、1つの製品に割けるリソースには限りがあり、先述した事情も考慮すると、Xperia 1 VIIでは便利だった2つの機能が省かれたと考えられる。
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