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NHKの「Eテレ(教育テレビ)」のコールサインが全国で統一 その影響は?ふぉーんなハナシ

10月6日から、NHKの「Eテレ(教育テレビ)」のコールサインが全国で統一され、X(旧Twitter)で話題となりました。「それがどうした?」と思うかもしれませんが、意外と大きな変化だったりします。

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 10月6日の朝、X(旧Twitter)において「NHK(日本放送協会)のEテレ(教育テレビ)のコールサインが変わった」ということが話題になりました。簡単にいうと、全国一律で東京(首都圏局)の「JOAB-DTV(NHK東京教育テレビジョン)」に変わったというのです。このことは、何の影響を及ぼすのでしょうか……?

Eテレ
NHKの「Eテレ(教育テレビ)」のコールサインが東京(首都圏局)のものに統一されたと話題に

そもそも「コールサイン」とは?

 コールサインは無線局の識別をするための符号で、日本の法令では「呼出符号」と呼ばれています。コールサインはアルファベットと数字で構成され、冒頭の1〜5文字は国際電気通信連合(ITU)が国/地域単位で割り当てています(参考リンク)。このため、コールサインの冒頭を見れば無線局の国籍を識別可能です。

 日本には現在、以下のコールサインが割り当てられています(冒頭2文字のみ表記)。

  • 7J〜7N
  • 8J〜8N
  • JA〜JS

 各国は、ITUから割り当てられた範囲内で無線局にコールサインを割り当てます。日本では総務省が法令に基づいて割り当てを行っていて、無線を用いる放送局には「JO」で始まる4文字のコールサインを割り当てています。

 NHKの放送局に割り当てるコールサインは、放送内容に応じて以下の通り区分しています(一部例外あり:xにはアルファベットが入る)。

  • JOxK:ラジオ第1放送/総合テレビジョン(総合テレビ)/FM放送(NHK-FM)
  • JOxG:同上
  • JOxP:同上
  • JOxQ:同上
  • JOxB:ラジオ第2放送/Eテレ(JOxKと同じ局に割り当て)
  • JOxC:同上(JOxGと同じ局に割り当て)
  • JOxD:同上(JOxPと同じ局に割り当て)
  • JOxZ:同上(JOxQと同じ局に割り当て)

 放送の種類は、コールサインにハイフン付きのサフィックス(接尾辞)を付けて識別します。サフィックスは以下の通りですが、AM(中波)放送にはサフィックスが付きません。

  • -FM:FM(超短波)放送
  • -DTV:デジタルTV放送

 1つの放送局には原則として1つのコールサインを割り当てますが、NHKのAM放送とデジタルTV放送は最大2チャンネルあるので、コールサインも1局で最大2つを割り当てています。ただし、放送形態の都合でラジオ第2放送/Eテレ用のコールサインを使っていない放送局もあります

コールサイン
今回話題にするNHK首都圏局のEテレに割り当てられたコールサイン

 無線局では、コールサインに加えて「呼出名称」も定めることがあり、コールサイン(サフィックスがある場合はコールサイン+サフィックス)に対して一対で定められています。

 呼出名称の付け方も法令で定められていて、「ひらがな」「カタカナ」「数字」で構成する必要があります。放送局の場合、放送の種類によって以下のいずれかを名称に含めなければなりません。

  • FM放送:エフエム/エフエムほうそう
  • デジタルTV放送:デジタルテレビ/デジタルテレビジョン

 NHKの場合は、呼出名称の先頭に「エヌエイチケイ」が必ず付きます。今回話題にする首都圏局のEテレは「エヌエイチケイとうきょうきょういくデジタルテレビジョン」が正式な呼出名称……なのですが、読みづらいので「NHK東京教育デジタルテレビジョン」と書かれることが多いです。

呼出名称
コールサインには一対の呼出名称が付いていることもあります

NHKのEテレが全国一律で「JOAB-DTV」になった影響は?

 ……と、話が横にそれそうになりました。Eテレのコールサイン統一が注目されたきっかけは、松江放送局(島根県松江市)のXアカウントの投稿です。同局におけるEテレの独自コールサインが10月5日をもって“見納め”だと投稿したのです。

 そして10月6日、早起き(または録画)をしてEテレの放送開始を確認した人からは、首都圏局のコールサインが表示され、読み上げられたという報告が相次ぎました。

 この事象は、全国の放送局のEテレは首都圏局の“中継局”となったということを意味します。ごく一部の例外を除き、中継局は親局(ここではNHK首都圏局のEテレ)を“そのまま”放送するものです。そのため、「地域独自のEテレ番組」「総合テレビを休止した場合の補完」ができなくなるといった懸念も出ています。

 このあたりについて、NHK広報局に質問してみました(一部、体裁を整えています)。


筆者 全国でEテレのコールサインを統一したのは、ラジオ第2放送の停波と関係があるのでしょうか。

NHK広報局 関係はございません。

筆者 首都圏以外のEテレ親局と中継局は、今後は一律で首都圏の親局に対する中継局という扱いとなるのでしょうか。

NHK広報局 Eテレの親局は東京、それ以外の放送所は中継局ということで10月6日以降も変更ありません。

筆者 コールサインの統一で「NHK全国学校音楽コンクール(Nコン)の地方大会など地域別の放送ができなくなるのでは」という懸念の声もあります。地域別の放送には対応できるのでしょうか。

NHK広報局 10月6日以降、Eテレの放送範囲は全て「全国」となり、地域別の放送はございません。Nコンの地方大会など個別の編成については、他波での放送の可能性を含めて現在検討中です。

筆者 JOAB-DTVのコールサインは、ラジオ第2放送が停波した後も変わりないですか。

NHK広報局 変わりません。


 総合テレビとは異なり、Eテレでは全国で基本的に同じ番組を放送してきました。放送局単位での差し替え(≒ローカル番組の放送)は、Nコンの地方大会などごく限られたシーンでしか使われていません。

 そのこともあって、10月6日からEテレは全国で“完全に”同一内容を放送するように改めたようです。コールサインの首都圏局への統一は、その一環だと思われます。

 あまりなかったとはいえ、Eテレに存在した地域別編成の番組については対応を検討しているとのことなので、続報を期待したいです。

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