KDDI、AIで記事検索できる新サービスを26年春に提供/良品計画との対談で「土着化」の重要性も:KDDI SUMMIT(2/2 ページ)
KDDIは10月28日、Google Cloudとの戦略的提携を発表し、コンテンツ提供者の著作権を保護しながら生成AIを活用できる新サービスを2026年春に開始する。参加メディアのコンテンツに対してAIで質問でき、使用量に応じてメディアに対価が支払われる仕組みを構築する。
地域活性化の取り組み 交通や産業を支援する
松田氏は、地域の課題を「暮らし」「産業」「人」の3つに分けて説明した。
暮らしでは、地域交通の支援を挙げた。つくば市の乗り合いタクシー「つくタク」や、港区高輪ゲートウェイ周辺のオンデマンドモビリティ「みなのり」を動かしている。松田氏は「免許を返すと足がなくなる。都会であっても基幹交通を補う形での交通が重要だ」と話した。
「産業」では、1次産業支援に取り組む。米作りの水管理(豊岡市)、万願寺甘とうの環境データ管理(京都府舞鶴市)、あまべ牡蠣の養殖管理(徳島県海陽町)など、デジタル技術で生産量を安定させたり品質を上げたりしている。
松田氏は「局所的な取り組みを広域へ、社会貢献から事業へと循環させることが重要だ」と述べ、循環させなければあまねく広がっていかないと話した。
良品計画との対談で「土着化」の重要性を議論
イベント後半では、良品計画の堂前宣夫会長とのトークセッションがあった。両社長は山口県岩国市出身で、小学校から高校まで同じ学校に通った縁がある。
堂前会長は、無印良品が取り組む「土着化」を説明した。地域活性化を企業の定款にも書き込み、各地域の活性化に貢献したい人を支える形で事業を回している。奈良県橿原(かしはら)市の2400坪の大規模店では、地元の産品を売る「つながる市」を開き、生産者に場所を無償で貸している。
経営面では「店長が社長の代わりに何でもすぐ決められるよう、力も付けさせるし権限も渡す」と、店舗への権限委譲を進めてきた。「人が第一で、ビジネスは次で必ず付いてくる」という方針を2年間徹底し、ここ2年で結果が出始めたという。
松田氏は「地域の方々が経済的にも回っていくというのは見落としていた」と応じた。KDDIはローソンを子会社にしており、地域密着型の経営やスタッフへの権限委譲は共通の課題だ。両社は、テクノロジーで裏方の仕事を効率化し、人が接客に力を入れられる環境を作る大切さを話し合った。
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