「Xperia 10 VII」レビュー:「即撮りボタン」搭載のカメラや新デザインで“積極的に選べる”完成度に 不満点は?(3/3 ページ)
約168gの軽量ボディに物理シャッターボタンを初搭載したXperia 10 VII。親指がちょうど届く絶妙な配置で、縦持ちのままワンタッチスクリーンショットが可能になり、1秒以内のカメラ起動で決定的瞬間を逃さない。ミドルレンジながらも妥協のない完成度で日常の撮影体験が劇的に向上する。
バッテリーは実測3時間で40%残る、公称通りの2日持ち
5000mAhバッテリーは公称通り2日間使用できた。実際の利用データを見ると、2日間で約60%消費し、実際に使った時間は3時間程度で40%残っている。カメラを1時間以上使っても余裕があるのは心強い。
バッテリー使用の内訳は、カメラが54%(利用時間1時間3分)、YouTubeが13%(40分)、Blueskyが8%(28分)だった。ライトな使用なら確かに2日持ちは達成できる。「いたわり充電」機能で、4年経過してもバッテリーが劣化しにくい。
充電はUSB Type-C PD-PPS対応で、充電時間は約115分だった。ワイヤレス充電には非対応となっている。
日常使いでもたつきは感じない性能
プロセッサにはSnapdragon 6 Gen 3(オクタコア、2.4GHz + 1.8GHz)、メモリは8GBを搭載する。Geekbench 6のスコアはシングルコア1010、マルチコア2634だった。Snapdragon 8 Gen 3 for Galaxyを備えるGalaxy S24 Ultraと比較すると、シングルコアで半分以下、マルチコアでは3分の1程度の数値になる。
3DMark Wild Lifeでは3245点、平均フレームレートは19.43fpsだった。全デバイス中36%の位置で、高負荷なゲームには向かない。ただしテスト中のバッテリー消費は1%(70%→69%)、温度上昇は28度から30度と低く抑えられ、発熱制御は良好だっだ。
ただし実際の使用感は、数値ほどの差を感じない。SNSのタイムライン閲覧、ブラウザでの記事読み、ChatGPTとの対話といった日常操作で、もたつきやストレスは感じなかった。アプリの切り替えは上位機種と比べると多少遅いが、本機だけ使っていて気になる程度ではない。
カメラは即撮りボタンを長押しして1秒以内に起動する。日常操作でもたつきを感じる場面はなく、ミドルレンジとして十分な性能といえる。ストレージは128GBで、microSDXCメモリカードで最大2TBまで拡張できる。
発売時のOSはAndroid 15で、最大4回のOSバージョンアップと最大6年間のセキュリティアップデート(2031年8月まで)が保証されている。長く使えることを前提とした作りだ。
なお、ソフトバンク版は日本で最初にVoNR(5Gでの音声通話)に対応していることにも触れたい。現行のVoLTEのように、LTEネットワークへの切り替えが不要になるので、よりスピーディーに通話を開始できる。現状ではVoLTEで支障はないが、長く使う上で4G回線の縮小を考えると、歓迎したい機能といえる。
妥協ではなく、積極的に選べる完成度
Xperia 10 VIIは、即撮りボタンの搭載により撮影のしやすさが格段に向上した。縦持ちでの操作性、スクリーンショットの撮りやすさは、日常使いで明確なメリットになる。大きくなったカメラセンサーで、ろうそくの炎や夜間の紅葉もしっかり写る。
全体的なプロポーションのよさ、背面の質感とディスプレイベゼルの均等性、標準域におけるカメラの画質、動作の安定感など、ミドルレンジとしては上出来だ。デザインの満足度も高く、アウトカメラ部のソニーロゴや左側面のXperiaロゴを彫り込みにした細部へのこだわりが、上質さを生んでいる。
縦長マルチタスクの使いやすさが損なわれたのは惜しいが、妥協の産物ではなく積極的に選べる完成度を持つ。7万4800円という価格で、2日持ちバッテリー、4年長寿命設計、6年間のセキュリティアップデート対応という長く使える作りは魅力的だ。Xperia 10 VIIは、「これでいい」ではなく「これがいい」といえる選択肢になった。
(製品協力:ソフトバンク)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「Xperia 10 VII」10月9日発売、7万5000円前後 “シャッターボタン”でスクショ撮影可
ソニーは10月2日、スマートフォンのミッドレンジモデル「Xperia 10 VII」を日本国内向けに発表した。9日に発売する。グローバル発表済みのモデルで、市場想定価格は7万5000円前後となっている。
ソフトバンクが音声通話に「VoNR」を導入開始 Xperia 10 VII(ソフトバンク向け)から順次対応
ソフトバンクがスタンドアロン構成の5Gネットワークで音声通話を実現する「VoNR」を導入する。10月9日に発売する「Xperia 10 VII」のソフトバンク向けモデルから順次対応端末を拡大していく。【追記】
ソニー「Xperia 10 VII」発表 ミッドレンジ初の“シャッターボタン”搭載、ディスプレイ比率変更に音質向上も
ソニーは、ミッドレンジモデル「Xperia 10 VII」を発表した。カメラ、ディスプレイ、オーディオといった性能を向上させた。バッテリーの長寿命化やOSアップデートの保証期間を大幅に延長した実用性の高いモデルとなっている。
「Xperia 1 VII」から見えるソニーのスマホ戦略 Xperia 10シリーズをあえて同時期に発売しないワケ
ソニーの最新スマートフォン「Xperia 1 VII」は、前モデルから超広角カメラを強化し、これとAIを組み合わせた「AIカメラワーク」や「オートフレーミング」といった新しい動画撮影機能を搭載した。ソニーはXperiaのラインアップを整理し、より利益率を高める方向にかじを切っている。ここでは、Xperia 1 VIIや秋の投入が予告されている「Xperia 10 VII」から見えてきた、ソニーのスマホ戦略を読み解いていきたい。
ミッドレンジ「Xperia 10 VI」の進化ポイントを解説 デザイン刷新でも21:9ディスプレイ続投の理由は?
ソニーモバイルの新しいミッドレンジスマートフォン「Xperia 10 VI」が登場。デザインを一新しながらも、独自の縦長ディスプレイを継承している。スリムなボディーに、大容量バッテリーやこだわりのオーディオ機能を詰め込んだ、使いやすさと個性が共存する一台だ。


