ドコモが後れを取っている「光、電気、ガス」を一体営業で強化 激化する経済圏競争での勝算を聞く:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
2025年7月の組織変更で、ドコモに「イエナカサービス部」が発足した。「ドコモ光」や「ドコモでんき」「ドコモガス」を1つの部門に集約し、モバイル回線以外の家の中で使うサービスをまとめて取り扱うのがその目的だ。周辺サービスをひもづけることによって、ドコモ経済圏での囲い込みを強化していく。
2025年7月の組織変更で、ドコモに「イエナカサービス部」が発足した。これまでバラバラだったブロードバンドサービスの「ドコモ光」や「ドコモでんき」「ドコモガス」を1つの部門に集約し、モバイル回線以外の家の中で使うサービスをまとめて取り扱うのがその目的だ。周辺サービスをひもづけることによって、ドコモ経済圏での囲い込みを強化している。
ドコモは光回線では先行している一方で、電気サービスやガスサービスは他社に出遅れていた。結果とし、3サービス合計での契約数は6月末時点で940万にとどまっており、KDDIやソフトバンクの後塵を拝している状況だ。巻き返すには、電気やガスでの上乗せが必要になる。では、どのようにそれを実現していくのか。ドコモのコンシューマサービスカンパニーでイエナカサービス部長を務める小島慶太氏に話を聞いた。
光、電気、ガスを一体的に営業し、後発の遅れを取り戻す
モバイル回線の契約数ではシェア1位のドコモだが、光、電気、ガスの合計契約数では3位に甘んじている。これは、「電気とガスはKDDIが早く、ソフトバンクもその後に追随していたが、われわれは後発だった」(小島氏、以下同)ことに起因する。KDDIが全国で「auでんき」のサービスを開始したのは2016年、ソフトバンクも同年に「ソフトバンクでんき」をスタートさせている。いずれも、電力小売りの自由化実施直後に参入を果たしている。
対するドコモは、ドコモでんきを2021年に開始したが、約5年の遅れがあった。光回線やhome 5GなどのFWA(Fixed Wireless Access)では3社の中でトップシェアを誇るドコモだが、電気やガスでは大きく後れを取ってしまった格好だ。一方で、「驚いたことに、ドコモユーザーには(サービス開始を)待ってくださる方が多数いらっしゃった」。
その結果、サービス開始直後から、ドコモでんきは急成長しており、10月には早くも100万契約を突破。合計契約数は依然として3位だが、先行する2社を急速に追い上げている状況といえる。小島氏は、「2027年までにイエナカサービスの顧客基盤でKDDI、ソフトバンクを抜いて1位になりたい。NO.1をまずは最優先する」と語る。イエナカサービス部を発足したのは、その勢いにブーストをかけるためだ。
小島氏は、3つのサービスを1部門で扱うメリットを次のように語る。
「同じキャリアの中で世帯向けのサービスをやっているので、ターゲットが一緒です。どれもインフラなので、家庭には入りやすい。電気は100%の家庭が入っているので、そのあたりのサービスをミックスできます。光に入っている方に電気をご紹介した方が、ゼロから提案するより効率がいい。だったら、部署を1つにした方が販売方針や戦略にも統一感が出ます」
ユーザーにとっても、ポイント還元があり、お得になるのはもちろん、サービスをそろえることで「請求書の一本化ができる」。光回線、電気、ガスの支払い明細は「my docomoを見ていただくだけ分かる」ため、固定費の管理がしやすい。小島氏も「ワンストップでというのが売りになる」と自信のぞかせる。
では、具体的にどのようにドコモでんきやドコモガスを伸ばしていくのか。先に小島氏が語っていたように、起点になるのはドコモ光やhome 5Gだ。「勢いは明らかに後発で参入した電気やガスにあるが、光は700万、home 5Gまで含めると800万以上のユーザーがいる」ため、波及効果が大きい。小島氏も「電気やガスをオススメしていきながら、まずはここの顧客基盤をロイヤルカスタマー化することが重要」だとする。
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