au、ソフトバンクを追いかける「ドコモでんき」の勝算 “10%還元”がどこまで響くか:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
NTTドコモは、3月1日からコンシューマー向けの電気サービスとなる「ドコモでんき」を提供する。「ドコモでんき Green」では基本料金として500円がかかるが、最大10%のdポイントが還元される。auやソフトバンクが提供している電気サービスとは何が違うのか。
NTTドコモは、3月1日からコンシューマー向けの電気サービスとなる「ドコモでんき」を提供する。ドコモでんきは、NTTのエネルギービジョン「NTT Green Innovation toward 2040」に合わせ、9月28日に概要が発表されていた。12月23日は、その料金体系やサービス内容、開始日などが明かされた。dカードGOLDやdポイントといった既存のサービスと連携させ、通信事業とのシナジー効果を発揮していくのが狙いになる。
一方で、キャリアの電気サービスとして、ドコモでんきは最後発の立場だ。KDDI、ソフトバンクともに同種のサービスを提供しており、auでんきは11月30日に300万契約に達したばかり。ソフトバンクのソフトバンクでんきも、9月に200万契約を突破している。ドコモもこうした2社のサービスを急ピッチで追い上げていく方針。2022年度末の目標は150万契約で、早期に1000億円規模の収益を目指す。ここでは、そんなドコモでんきの特徴や同社の狙いとともに、他社との違いを解説していく。
最大還元率10%で再生可能エネルギーをプッシュ、回線やdカードGOLDとも連携
ドコモでんきの特徴は、再生可能エネルギーを積極的に利用するプランが設けられているところにある。コースは「ドコモでんき Green」と「ドコモでんき Basic」の2つで、前者がそれにあたる。電力量料金は地域電力と同じだが、基本料金として500円(税込み、以下同)がかかる。対するBasicは地域電力そのままの金額で、一般的な電気小売りの取り次ぎサービスといえる。同じ電力量だとGreenの方が500円高くなる形だが、dポイントの還元率で大きな差がある。ドコモが重視しているのも、こちらだ。
Greenはサービス料金が高くなる分、ユーザーに付与されるdポイントの還元率が大幅に上がる。付与されるdポイントは、最大で10%。1カ月の電気代が平均で1万円の場合、年間で1万2000ポイントを受け取れる計算になる。ただし、10%還元には条件がある。1つ目がドコモの回線契約をしていること。ギガホ、ギガライトに加え、ahamoも対象になる。もう1つが、dカードGOLDを契約していることだ。
ドコモ回線で指定の料金プランに加入していても、dカードGOLDがない場合は、還元率が5%に半減する。また、ドコモでんきはドコモ回線を契約していないユーザーでも利用できるが、その場合の還元率は3%まで落ちる。お得に使う上では、ドコモ回線やdカードゴールドが欠かせない料金設計になっているというわけだ。最大10%の還元率は、ドコモ回線やドコモ光といった通信サービスをdカードGOLDで支払っている際の数値に合わせてあるという。
もう1つのBasicは500円の基本料金がかからない分、還元率も最大3%まで落ちる。3%の還元を受けられる条件は、ドコモ回線でギガホ、ギガライト、ahamoなどを契約していること。dカードGOLDの有無は問わず、一律で3%の還元になる。ドコモ回線がないケースだと、還元率は2%まで下がる。GreenとBasicのどちらも、回線やカードを持っていることが優遇の条件で、その意味では既存のドコモユーザー向けの色合いが濃いサービスと言えそうだ。
“Green推し”が明確なドコモでんきだが、ユーザーの比率はBasicが大きくなることを想定しているようだ。ドコモの執行役員 ビジネスクリエーション部長 三ケ尻哲也氏によると「最低でも2割、うまくいけば3割、4割の方がGreenを選択していただける」と語る。ポイント還元率は確かに高い一方で、料金自体が500円上がってしまうこともあり、Basicの方が契約者を集めやすいと見ているようだ。
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