OPPOの研究施設で見た「業界標準を超える」スマホの作り方 電池寿命を延ばす素材、24時間365日稼働のテストも(1/3 ページ)
OPPO本社の研究施設にて、次世代の品質技術「Apex Guard」について取材した。品質向上のために新素材を開発し、金属やガラスもほぼ自社で製造しているという。パフォーマンスや電池持ちを向上させる開発にも注力している。
OPPOは11月14日に新しい品質基準システム「Apex Guard」を発表した。これに合わせて、メディア向けに「OPPOクオリティツアー」を開催し、研究開発の拠点となる新しいキャンパスを公開した。
次世代の品質技術「Apex Guard」とは?
Apex Guardとは、スマートフォンの品質を現在の業界標準から次のレベルに引き上げることを目指すもの。「次世代の品質」として、「日常使用を超える」「製品寿命を超える」「既存の標準を超える」の3つを掲げている。
これらを実現するために、製品開発の初期段階からデバイス全体の検証に至るまで、品質を向上させるための新しい取り組みを行っている。その拠点となっているのが、中国・東莞市に作られた「濱海湾キャンパス」だ。本社機能とR&D施設を備え、総面積は93万平方メートル。建設費は総額100億人民元(約2200億円)とのこと。
品質向上のために新素材を開発 金属やガラスもほぼ自社で製造
メディア向けツアーでは、濱海湾キャンパス内のいくつかのラボ(研究施設)を公開した。最初に案内されたのが「材料ラボ」。品質を向上させるための新素材が開発される場所だ。
例えば、3年かけて開発したという球状のシリコンカーボン素材は、バッテリー向けで、最新のフラグシップ「OPPO Find X9 Pro」にも使われている。電池容量を増やし、充電サイクルを400回以上延ばすことに成功。電池寿命は15カ月も延びたそうだ。
新開発の球状シリコンカーボン素材を観察できる高性能な電子顕微鏡。球状シリコンカーボンは髪の毛の10分の1ほどの粉末状で、それを右の顕微鏡に入れて、モニターで形状を確認するデモが披露された(提供:OPPO)
日常的な使用環境だけでなく、より過酷な環境での利用を想定し、高強度のアルミニウム合金、耐摩耗性に優れた金属やガラス、防水性能を高める独自のシーリング技術なども開発している。
金属の強度をテストする最新機器で、30トンの力で引っ張ったり、圧力をかけたりすることが可能。薄型の折りたたみスマホ「OPPO Find N5」にヒンジに使われる素材もこの機器で評価され、前世代から強度を10%、引っ張り耐性は15%向上させたという(提供:OPPO)
ユーザーが長く使い続けることを想定し、48カ月、60カ月、さらにそれ以上の使用による劣化をシミュレーションし、パフォーマンスをテストできる設備も公開した。
ガラス製造ラボも興味深かった。まるでガラス工房のように、熱して溶かしたガラスを打ち、成形するデモを披露した。
スマートフォンに使われる金属やガラスは、それぞれ専門メーカーが作ったものを使っていると思っていたが、OPPOでは、筐体の素材のほとんどが自社で開発されているという。スマホの競争軸が品質・性能であることに変わりはないが、それを向上させるために “素材から作る” というフェーズに入っているようだ。
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