OPPOが全スマホにAIを搭載していく理由、「全機種におサイフケータイ」の議論も オウガ・ジャパンに聞く(1/3 ページ)
OPPOのスマホやタブレットなどを日本で展開するオウガ・ジャパンは、最新モデルの「OPPO Reno13 A」と「OPPO Reno14 5G」を投入している。これら2機種にはクラウドベースの「OPPO AI」を搭載しており、ミッドレンジモデルのReno13 Aでも、かなりの数の機能を利用できるのが特徴だ。最新モデルの特徴やAI機能の方針について聞いた。
OPPOのスマホやタブレットなどを日本で展開するオウガ・ジャパンは、最新モデルの「OPPO Reno13 A」と「OPPO Reno14 5G」を発表した。例年、この時期に同社は日本市場に最適化した端末としてReno Aシリーズを投入していたが、2025年は、スペック的にミッドハイに位置付けられるReno14 5Gも合わせて投入する。これら2機種にはクラウドベースの「OPPO AI」を搭載しており、ミッドレンジモデルのReno13 Aでも、かなりの数の機能を利用できるのが特徴だ。
OPPO AIでラインアップ全体の価値を底上げしつつ、バリエーションを上方向に広げたOPPOだが、追加されたReno14 5Gはこれまで投入してきたReno Aシリーズとはやや性格が異なる。おサイフケータイに非対応で、仕様的にはグローバル版に近い。キャリアも販売するReno13 Aに対し、Reno14 5Gはオープンマーケット版(いわゆるSIMフリー)のみでの展開になる点も、大きな違いといっていいだろう。
では、オウガ・ジャパンはOPPO AIや新モデルのラインアップでどのようなユーザーにアプローチしようとしているのか。同社で専務取締役を務める河野謙三氏と、業推進部 プロダクトマネージャーの中川裕也氏に、OPPOのAI戦略や新製品2機種を投入する狙いを聞いた。
AIを全面に押し出した“2機種”としていち早くお届けしたかった
―― 今回は、Reno13 Aだけでなく、Reno14 5Gも投入することになりました。ミドルレンジとミッドハイという組み合わせは珍しいと思いますが、その狙いを教えてください。
河野氏 ミドルとミドルハイを同時に発売するのは、今回が初めてです。今までは、Reno Aシリーズとグローバル版との開発スピードがまったく違ったからです。Reno AシリーズとAシリーズのようなエントリーモデルの組み合わせはありましたが、今回はたまたま開発のタイミングが一致したこともあり、2機種同時発表になっています。
Reno Aシリーズは日本に特化した専用モデルということで、おサイフケータイ等々、日本のお客さまが日常で不便なくお使いいただけるモデルとして毎年ご用意しています。他方で、ミドルハイのReno14 5Gにはおサイフケータイがありません。開発スピードの違いもありますし、キャリアを巻き込んで協業して販売することを考えると時間がどうしてもかかってしまいます。
今回はAIを全面に押し出した“2機種”としていち早くお届けしたい思いがありました。特にReno14 5Gに関しては、グローバル(中国メーカーの場合、中国以外を意味する)の中で初めて発表したのが日本でした。お客さまのワクワク感、ミドルハイを出してほしいという期待にいち早く答えるのが大事だと判断しました。
―― Reno14 5Gは、価格が7万9800円です。他社を見ても、ちょうどこのぐらいの価格帯のスマホが増えてきました。ミッドハイへの期待値は高いのでしょうか。
河野氏 OPPOにとっての試金石だと思っています。製品の品質――その中には性能や使い心地、さらに言えばその先のアフターサポートまで含めて、全て評価になっていきます。そういった部分に対して日本のお客さまは厳しい目を持っているので、Reno14 5Gを最初に日本で発表したというのは、一段高いレベルに引き上げたいという意思の表れです。
この端末を投入しようと決めたのは、はるかに前のことで、他社が同じようなスペックで投入してくるということは狙いが間違っていなかったといえます。ただ、大事にしたいのは、他社がどうということではありません。「OPPO Reno10 Pro 5G」や「OPPO Find X2 Pro」をご購入された方が、次にステップアップするときにどうするかです。もちろん、昨年(2024年)出した「OPPO Find X8」はありますが、既に発売から半年がたっていることもあります。
昨年から、買い替え需要が高まっています。その買い替え需要に対して、いつもなら「ミドルのReno Aシリーズがいいんじゃないでしょうか」とご提案していましたが、(Reno14 5Gであれば)ハイスペックな端末を使っていた方からの期待にも応えられます。特にFind X2 Proを使っていた方は、OPPOといえばカメラと言っていたところがあり、そこへのニーズが高い。その方々がReno Aシリーズにするかというと、「うーん」と思うところはあると考えています。
「全機種おサイフケータイ対応」の議論はしている
―― ただ、Reno10 Pro 5Gにあったおサイフケータイがありません。
河野氏 (Find X2 Proを使っていた人は)2台持ちしているのではないでしょうか。私どもの製品の中で、おサイフケータイ非搭載の機種を長く好んで使われてきた方は、他の決済用端末をお持ちだったりしますし、最近では、QRコード決済だけでなく、クレジットカードのタッチ決済も伸びています。昔ほど、おサイフケータイがないと言われる件数は減っています。
―― Reno13 Aという選択肢もありますし、おサイフケータイが必要な人はそれを選んでいるという側面もあるのでしょうか。
河野氏 ただ、私たちも将来的には全ての端末でおサイフケータイを標準にしてもいいのではないか、という議論をしています。てんびんになるのはコストで、大事なのはスピード感です。おサイフケータイ対応は、スイッチをオンにしたら終わりというのではなく、検証などの動作確認がどうしても入ってくるので、スピードが遅くなります。なおかつ、OPPOはスマホの開発速度が速い。3カ月から6カ月の間隔で新機種を投入しているので、その中に(検証のスケジュールを)組み込もうとするとちょっと大変になってしまいます。それでも、将来的には全ての端末をとは考えています。
―― コストも上がってしまいそうですが、その点はいかがですか。
河野氏 ただではないのです、コストはかかります。ただ、ハードウェア的には(FeliCaは)標準搭載しているので、あとはソフトウェアですね。
―― FeliCaという意味では、マインナンバーの「スマホ用電子認証搭載サービス」も、FeliCaチップのセキュアエレメントを使っています。その意味では、搭載の重要度は高まっているといえそうです。
河野氏 そうですね。日本だけでなく、グローバルでもその動き(公的な証明書をスマホに載せる動き)が加速しています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「OPPO Reno13 A」レビュー:4万円台で充実の機能を完備 ハイエンド級AI機能も魅力
4万円台のスマホでもAI機能は妥協しない。OPPO Reno 13 Aは写真の人物消去や音声文字起こしなど、クラウド型AI機能を無料で利用可能。「AIが一部の人だけのものであってはならない」という同社の方針通り、エントリー層にもAI体験を提供する意欲作だ。
OPPOのAI戦略がAppleやサムスンと違う理由 8万円以下のスマホにもフル装備、ミッドハイ競争で優位に立てるか
OPPO(オウガ・ジャパン)が発表した新型スマートフォン「Reno13 A」と「Reno14 5G」には、「OPPO AI」という共通項がある。エントリーモデルからハイエンドまで共通のAIを載せ、それを広げていくのが同社の戦略だ。それぞれ性能が異なる端末にAIを搭載するため、OPPOはクラウド処理を選んだ。
OPPOのスマホは全ラインアップにAI搭載へ クラウド活用で「価格の壁を打ち破る」、Googleとも緊密に連携
OPPO(オウガ・ジャパン)は6月19日、スマートフォン「OPPO Reno13 A」「OPPO Reno14 5G」など新製品4モデルを発表した。務取締役 河野謙三氏と営業推進部 プロダクトマネージャー 中川裕也氏が登壇。OPPOがAI技術をどのように捉え、ユーザーに対してどのように訴求していくのかなどが語られた。
4万円台「OPPO Reno13 A」6月26日発売 ハイエンド機と同等のAI機能、IP69防水やステレオスピーカーも
オウガ・ジャパンは6月19日、「OPPO Reno13 A」を発表した。OPPO Reno13 AはOPPOのロングセラーシリーズであるOPPO Reno Aの最新モデルで、OPPOのハイエンドモデルとほぼ同等の最新OPPO AI機能を搭載。26日に発売する。
ミッドハイ「OPPO Reno14 5G」7月17日発売 3眼カメラや6000mAhバッテリー搭載、「OPPO AI」で画像編集や文章作成を支援
OPPOが6月19日、Renoシリーズのスマートフォン新機種「OPPO Reno14 5G」を発表。ミッドハイに位置付けられ、3眼カメラや6000mAhの大容量バッテリーを搭載している。カメラ撮影や画像編集、文章作成や情報収集などを支援する「OPPO AI」も利用できる。


