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インタビュー

OPPOが全スマホにAIを搭載していく理由、「全機種におサイフケータイ」の議論も オウガ・ジャパンに聞く(2/3 ページ)

OPPOのスマホやタブレットなどを日本で展開するオウガ・ジャパンは、最新モデルの「OPPO Reno13 A」と「OPPO Reno14 5G」を投入している。これら2機種にはクラウドベースの「OPPO AI」を搭載しており、ミッドレンジモデルのReno13 Aでも、かなりの数の機能を利用できるのが特徴だ。最新モデルの特徴やAI機能の方針について聞いた。

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Reno13 Aは日本ユーザーの要望を反映 AIはクラウドでカバー

中川裕也
オウガ・ジャパン 業推進部 プロダクトマネージャーの中川裕也氏

―― Reno14 5Gが追加されたことが話題でしたが、Reno13 Aはどういった部分がアップデートされたのでしょうか。

中川氏 Reno Aシリーズは、日本のお客さまの要望を最も反映した端末で、変化する要望を常に取り入れようとしています。今回は、日常使いで一番活躍する、生活に密着した機能やスペックを重点的に強化しました。例えばバッテリーですが、前回は充電時の速度が速かったのですが、ご要望としては容量を上げてほしいという方が多かった。足し引きはどうしても発生してしまいますが、今回は容量を重視して5800mAhになっています。

 また、耐久性や防水性能など、安心して日常できる仕様も強化しています。Reno13 AはIPX9で、シャワーの中でも使えます。また、スプラッシュタッチに対応して、ぬれたままでも使えたり、手ぶくろをつけて操作できたりするモードも搭載しています。こうしたものを取り入れつつ、AIも使える。そこがメインで強化しているポイントです。

OPPO Reno13 A
日本ユーザーの要望に応え、バッテリー性能を強化したOPPO Reno13 A。OPPO AIの多くの機能も利用できる

―― OPPO AIは共通の機能として搭載していますが、クラウド処理にした理由を改めて教えてください。

中川氏 AIはハイエンドからローエンドまで、クラウド型のOPPO AIを載せ、1億人以上の方々に使っていただけるようにしていきます。クラウド型なので、(機種による)違いはあまり出ません。ポジションの差はあるので、Aシリーズのようなローエンドモデルは一部制約もありますが、十分にOPPO AIを体験できるようにしていきます。(機種ごとの)差が出るのは、ハードウェアの部分ですね。チップセット、カメラ、バッテリーなどで差別化されていきます。

河野氏 OPPOは、70以上の国や地域に展開しているメーカーで、その国や地域の特性、文化によって何を搭載するかは変えています。カラーバリエーションも、その1つです。最近だと、日本で採用した国がグローバルカラーに採用されるので、“日本感”は薄れていますが、もともと、Reno Aシリーズの仕上げは日本限定でした。これと同じように、AIについてもどう処理するかは、国や地域によって分けています。オンデバイス型もあればクラウド型もあり、その中間のハイブリッド型もあります。2024年にAI研究所を設立して、その中でマルチモーダル型の大規模言語モデルも研究しています。

 ただ、当然ながらオンデバイスで処理しようとすると、NPUを搭載するなどしてコストが上がってしまいます。今回、われわれがミッションとして掲げているのは、今年(2025年)の年末までに1億人にAIを使ってほしいということです。意識して買うのではなく、端末で遊んでいたらそれがAIだったということを実感してほしい。そのためにクラウド型にしました。

OPPO Reno13 A、OPPO Reno14 5G
OPPOはクラウドを活用し、全てのスマートフォンにAI機能を搭載していく

―― クラウドということは、原理的には過去機種にも対応できそうですが、その点はいかがですか。

中川氏 全部というわけにはいきませんが、過去のモデルも一部に対応していきます。

―― 一方で、クラウドで文章や写真を処理するとなると、プライバシーが気になってきます。ここは、どうされているのでしょうか。

河野氏 GoogleがクラウドでやっているConfidential Computing(使用中のデータを暗号化して保護する仕組み)というプラットフォームを使った「PCC(Private Computing Cloud)」を構築しています。その中でデータを処理すると、サードパーティーのベンダーはもちろん、OPPO自身もお客さまの文章や写真には一切触れることができません。

AIを「本当の自分らしさに触れる」きっかけにしてほしい

―― そもそもとして、OPPOは何のためにAIをここまで広い機種に搭載しているのでしょうか。

河野氏 AI研究所の中で生まれた技術、アプリ、使い方は100以上あり、それぞれの機種のお客さまがどういう使い方をするのかを想定しながら、ピックアップして載せています。日常の使い方の中でこれがあったらいいなというものを搭載しているので、Reno AシリーズにはあってもFindシリーズにはないものもあります。

 日本市場において重視しているのは、遊んでほしいということです。遊びはすごく大事なことだと思っています。今回は「Make Your Moment(自分だけの一瞬をつくろう)」というキャッチコピーを使っていますが、人間は本来、表現したいものや気持ちがあります。子どもは無意味にボタンを押したがりますよね。好奇心の塊だからですが、社会性というよろいを着ることで、だんだんとそれがなくなってきてしまいます。AIを使うことで、本当の自分らしさに触れるきっかけになってくれればいいと思っています。

―― 具体的には、どういう遊びや使い方をお考えでしょうか。

河野氏 例えば、自分の顔をステッカーにしてみたり、AIではやりのアニメ風にしてみたり、そういうことを面白いと思ってもらえるとうれしいですね。ビジネスパーソンであれば、文章をより洗練させたり、届いたメールに対して返信を書いてもらったり、誤字脱字を指摘してもらったりということにも使えます。そういったところまで含めて使ってほしいと考えています。

OPPO Reno13 A、OPPO Reno14 5G
自分の写真に好きなシーンや衣装を合成できるAI Studio

日本のユーザーは「ないこと」に対して敏感

―― OPPO AIを全面的にプッシュしていますが、一方で調査会社によってはAIがスマホの売りになっていないのでは……という見方もあります。見方が分かれていますが、こういった点はどうお考えでしょうか。

河野氏 2つ見方があると思っています。1つ目は、「おサイフケータイって何パーセントの人が使っていましたっけ?」というのがキーワードです。業界関係者は、そこまで高い比率で使われていないことは分かっていますが、ないと売れないですし、ユーザーからは「なんだ、搭載していないのか」と言われてしまいます。これは日本のお客さまの特徴なのかもしれませんが、何か損をすることにものすごく敏感です。使わないかもしれないが、ないことに対しては敏感な市場と言えるかもしれません。それが1つ目です。

 もう1つは、AIはPCに搭載されるようになってからですら、まだ1年半から2年ぐらいしかたっていません。Androidスマホでこれだけ全面に打ち出しているのは、うちとサムスンさんぐらいではないでしょうか。それだと、まだ分からないですよね。実際にユーザーがどう思っているかのデータが、きちんと取れていないからです。調査会社は好きなこというと思いますが、われわれとしては、まず使って遊んでみてほしいというのが第一です。

―― 今後も機能はアップデートで増えていくのでしょうか。

中川氏 増やしていく方向で考えています。Reno13 Aも、今のものでフィックスというわけではありません。

―― そうなってくると、アップデートの回数なども気になります。

中川氏 Reno13 Aは、OSアップデート、セキュリティアップデートともに、キャリアやGoogleと合意した数値があり、OSは2回まで、セキュリティは3年までになっています。Reno14 5Gは、OSが5回、セキュリティが6年になります。

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