2026年度末の「Suicaエリア統合」 気になることをJR東日本に聞いてみた(2/2 ページ)
JR東日本が2026年末に6つに分かれたSuicaエリアを統合します。統合にあたり課題となる面もあるはずなので、同社に質問してみました。
疑問2:運賃の計算ルールはどうなるの?
事前に乗車経路(または運賃)を決めて購入するきっぷ(普通乗車券)と異なり、Suicaを含む交通系ICカードでは事前に乗車経路や運賃を“決め打ち”した乗車はできません。「じゃあどうやって運賃を計算するのか?」という点ですが、一部の例外を除いて最も安くなる経路の運賃を適用することになっています。
この「最も安くなる経路の運賃」なのですが、JR東日本には固有の課題があります。
交通系ICカードについて、JR東日本では「旅客営業規則」内にある「大都市近郊区間」という制度と“合致”させる形で最短経路乗車を認めてきました。交通系ICカードで乗る分にはこれで困らないのですが、きっぷで乗車する場合は以下の問題が“現に”生じています。
- 100km超の乗車でも途中下車できない
- 距離を問わずきっぷの有効期限が「1日」になってしまう
この弊害が特に大きく出ているのが「東京近郊区間」です。常磐線の浪江駅(福島県浪江町)と信越本線の長野駅(長野県長野市)を行き来する例で見るとよく分かります。
両駅は共に東京近郊区間内で、近郊区間外へと“出ない”経路で在来線経由のきっぷを買うと9570円、距離にすると566.8kmの乗車となります。しかし、大都市近郊区間にある駅同士なので途中下車せずに1日で向かう必要があります。
このような経緯もあって、Suicaエリアの統合がニュースとして伝わった際に、SNSでは「JR東日本の在来線全線が『大都市近郊区間』になってしまう?」「ということはJR東日本の在来線で完結する乗車だと途中下車できなくなる?」「長距離きっぷでも1日で乗り切らないといけないの?」といったネガティブな疑問や不安が多く見受けられました。
筆者も、その不安は共有するところです。そこでJR東日本に聞いてみました。
筆者 利用エリアの撤廃に伴い、運賃の計算方法はどうなるのでしょうか。また、御社はSuicaのエリア拡大に伴い大都市近郊区間を拡大してきた経緯もありますが、この制度はどうしていくのでしょうか。加えて、Suicaでの途中下車を求める声も出てくるかと思いますが、何らかの方法で途中下車できるようにする考えはあるでしょうか。
JR東日本 Suicaエリアの統合に伴う「ICカード乗車券取扱規則」や「旅客営業規則」などの取り扱いは、決まり次第お伝えします。
JR東日本では「Suicaエリアの拡大」と「大都市近郊区間の新設/変更」をセットで行ってきた経緯があります。そのため、Suicaエリアの統一に当たって同社は「大都市近郊区間をどうするのか?」という課題と向き合う必要があります。
乗客に有利な形での“決着”を期待したいところです。
疑問3:TOICAエリアをまたぐ乗車はできるのか?
もう1つ、Suicaエリアの拡大で気になるのは他の交通系ICカードエリアへの「またぎ乗車」です。
現在、首都圏のSuicaエリアとPASMOエリアでは相互にまたぎ乗車に対応していますが、これはSuicaのエリア統一後も変わりません。
一方で、東海旅客鉄道(JR東海)の「TOICA」エリアとのまたぎ乗車は、Suica/PASMO/TOICA定期券の定期区間内であれば可能な一方、定期券の乗り越しを含むプリペイド(SF)残高での利用はできない状況となっています。
Suicaエリア統一の背景には、運賃計算の集約(センターサーバ)化があります。理論的にはセンターサーバにJR東海エリアの運賃テーブルを持たせればTOICAエリアへのまたぎ乗車も行けそうな気がします。この点、どうなのか聞いてみましょう。
筆者 (エリア統合の)仕組み的には、JR東海のTOICAエリアとの定期券以外の「エリアまたぎ」も実現できそうです。めどは立っているのでしょうか。JR東日本とJR東海の一部駅では、エリアをまたいでしまった乗客が有人窓口に列をなす姿も見かけますが……。
JR東日本 TOICAエリアとのまたがり利用ができないことについては、当社としても課題として認識し、解決を図りたいと考えています。ただし、現時点でSuicaエリアの統合に伴って、これを可能とする具体的な計画はございません。
TOICAエリアへのまたぎ乗車は、対応はしたいが具体的な計画には至っていない状況のようです。
余談ですが、JR東海は最近、在来線のTOICA対応駅において自動改札機や簡易IC改札機の取り替え工事を進めています。工事の完了にめどが付いたら、何らかの動きがあるのでしょうか。期待したいところです。
首都圏SuicaエリアとTOICAエリアの境界となる駅では、TOICAエリアから来た乗客専用の自動改札機(または簡易ICカード改札機)が設置されているのですが、JR東日本とJR東海が完全なエリアまたぎを実現できれば、理論的には専用改札機を設置せずとも済む(どの改札機も通れるようになる)はずなので、どうにかしてほしいです
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