News 2001年5月22日 11:59 PM 更新

ビジネスシヨウでブロードバンド体験

NTT東日本は,ビジネスシヨウの会場でBiportableのPDA端末を初披露した。

 携帯電話が幅を利かせるビジネスシヨウの展示会場だが,ブロードバンド環境の体験コーナーが増えたのもトピックの1つだ。もっとも,イベント会場に実際の回線を引き込むのはなかなか難しいようで,疑似体験となるケースも多い。


KDDIブースでADSL向けコンテンツを体験

 例えば,KDDIブースの「ブロードバンドDION」コーナーでは,1.5Mbpsの専用線を使って3台のPCで共有。500Kbps程度のストリーミング映像を流していた。「今回は,ADSL向けコンテンツを体験してもらうのが主旨」(同社)という。

 また,NTTコミュニケーションズの「OCN ADSLアクセス」コーナーでは,アッカ・ネットワークスのADSL回線を引き込んだものの,ルータ側の調整に手間取り,「とりあえずダイヤルアップでつないでいる」という悲しい状況。かなり“ナロー”なデモンストレーションになってしまった。「明日には実際の速さを体験できるようになる」(同社)らしい。


なかなか表示されないWebページ。説明員も笑ってごまかすしかない?

 そんななかで,気を吐いていたのがNTT東日本のブース。ここでは,7月に本サービスへ移行する「光・IP接続サービス」の速さを体験できる。使用しているのは「集合住宅向けメニュー」の10Mbps回線で,それを4台のPCで共有していた。フレッツ・スクェアで転送速度を計測してみると,結果はなんと6907Kbps。NTTのIP網内にあるサイトとはいえ,7Mbpsに迫る数字は立派だ。もっとも,実際の集合住宅メニューは最大768ユーザーで1回線を共有するため,ここまでスピードが出ることはないと思われる。

 もう1つ,NTTブースで実働していたのが「Biportable」のAWA(Advanced Wireless Access)システムだ。会場では,基地局を100Mbpsの光ファイバーに接続し,最大36Mbpsのワイヤレス通信をデモンストレーションしていた。とくに今回は,渋谷の実験でもまだお目にかかれないPDA型端末を初披露。手のひらサイズの端末を実際に操作し,400K〜500Kbpsのストリーミング映像を見ることができた。

 ただし,実際にAWAのカード型端末やPDA型端末をみると,その大きさと重さに戸惑いを憶えるかもしれない。同社によると「今回のシステムは,まだ省電力や小型化といった要素が入っていないもの。バッテリーを内蔵したため,大きく,重くなってしまった」(NTT)という。ただし,来年登場する新型機では省電力化が進み,「カード型端末はPCからの電力供給だけで動作できるようになる。内部バッテリーがなくなる分,サイズも削られる見込みだ」(同社)。


AWAの基地局


AWAのカード型端末。お世辞にも小さいとは言えない


PDA端末はWindows CEベース。こちらも広報写真では分からない厚みが……

 また,NTTは米BeのBe OSを搭載したノートPCも出展。「メディアOSと呼ばれるBe OSを使えば,多くのストリーミングビデオを同時に再生できる」と話している。

 規格が乱立する無線LAN市場にあって,AWAシステムは最低帯域保証を柔軟に設定できる特徴を活かし,「ストリーミング映像に強い」というイメージを定着させつつある。5GHz帯を利用するため,今のところ屋外で使用することはできないが,端末の小型化と規制緩和が進めば,さまざまなビジネス展開が考えられるだろう。

NTTからIEEE 802.11b対応のワイヤレスLAN製品

 このほか,NTT東日本はIEEE 802.11b準拠のワイヤレスLAN製品「Web Caster FT5000」(仮称)を参考出展している。縦型のアクセスポイントに加えて,PCカード型の子機,そしてUSB接続の子機をラインアップ。最大10台の接続が可能で,セキュリティとして,ESSID,WEP,およびMACアドレスフィルタリング機能を搭載する。


USB接続の子機(左)とPCカード型の子機(右)

 価格は未定だが,アクセスポイントとカード型子機のセットで4万5000円程度,アクセスポイントとUSB子機のセットで4万8000円程度を想定しているという。また,追加用のカード型子機(1万5000円程度)とUSB子機(1万8000円程度)も用意される。6月中旬に発売する予定だ。

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[芹澤隆徳, ITmedia]

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