Interview
「SoftEtherを危険視するのはおかしいです」――19歳の開発者に聞く(2/2 ページ)
ITmedia 開発にあたり、苦労した点などはありますか。
登 SoftEtherでは、TCP over TCPによるパケット伝送を行います。しかし、最初にSoftEtherを作ってみたところ、非常に通信速度が遅いんです。どのくらい遅いかというと、100MbpsのLocalLANで500Kbps程度しか出ませんでした。
TCPはパケットロスがないよう保証するプロトコルなので、パケットを送る際に「前のパケットが送信できたか確認応答をとる」時間が必要になります。そのため、1パケットずつ正直に送ると、確認の時間をとられて通信速度が遅くなってしまいます。
これを解決するには、ある程度のパケットをまとめて1つのデータとして送ればいいと考えました。しかし、これだと確かにビットレートは稼げるのですが、その上のレイヤでカプセル化をしようとしているTCPパケットは、一定時間待ってから送信することになります。このため、あまり多くのパケットをまとめると待ち時間が長くなって、「このネットワークは速度が遅い」と判断してしまい、TCPのフロー制御が行われて、やはり速度が落ちてしまうのです。
このため、「パケットをある程度まとめて送信するが、まとめすぎない」というバランスをとるのが、一番重要なところでした。いろいろプログラムを書き換えて、現在は状況が改善しています。
ITmedia 今後は、SoftEtherを使ってどんなことを考えているのですか。
登 現在、SoftEtherの使用方法や特徴を多くの人に体験してもらうため、期間限定で「実験用匿名仮想HUB」を提供しています。これは、SoftEtherの仮想LANカードをインストールしていれば、誰でも接続できるものです。
ここに接続したユーザーは、自動的にDHCPでIPアドレスを割り当てられ、仮想ネットワークを経由してインターネットにアクセスすることができるようになります。これまで、述べ人数で7427ユーザーが接続しています(*1月6日時点)。
こちらとしては、どのくらいのユーザーが仮想HUBに接続した場合、どのくらいの負荷がかかるのかをチェックし、バグとりをしています。1月1日に立ち上げてから、今まで再起動なしに運用できています。
なお、仮想HUBを踏み台にしてインターネット上のサーバを攻撃したり、誹謗中傷の情報を発信するのは禁止です。そうしたことを防止するよう、パケットのログをとっているほか、仮想HUBに接続する各ユーザーを管理できる機能も実装しています。
ITmedia SoftEtherを利用した、商用サービスは考えているのですか。
登 SoftEtherはフリーソフトですが、「それを利用し、経費以上の対価をとってサービスを提供すること」は禁止しています。これは、将来的に商用サービスを開始する際、競合事業者が発生しては困るからです。
現状、企業から商用化の話はきていますし、IPAとしても、未踏ソフトウェアの商用展開は推奨しています。これから特定の企業にライセンス提供して、その企業が窓口になってサービスを提供することになると思います。
SoftEtherは導入が容易で、Windowsでは唯一、プロキシを通せるVPNソフトです。支店間接続や、リモートメンテナンスに利用できます。ほかに、ユーザーの家庭と高齢者の家庭をVPN接続すれば、NATなどを気にすることなくテレビ電話が可能です。さきほどの仮想HUBを、特定目的で運営することもあるかもしれません。
ITmedia 具体的なスケジュールはありますか。
登 これは、あまり話せません。もっとも、ライセンス提供した企業の方から、発表があるかもしれないですね。
(文中敬称略)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
資さんうどん、従業員の退職理由などが外部から閲覧可能に 委託先の勤怠システムに設定不備
-
2
松屋の公式アプリとWebサイトが停止 不正アクセスを検知、モバイルオーダーや弁当予約も使えず
-
3
グッスマ、顧客の2800人のカード番号全16桁+セキュリティコードなど流出か 下4桁は40万枚分
-
4
「PayPay連携の銀行から、お金全部盗られた」被害報告……原因と対策は? PayPayに聞いた
-
5
NEC、委託先の情報漏えいで謝罪 「セキュリティ事業を手掛ける企業として反省」
-
6
ベネフィット・ワンの委託先に不正アクセス セゾン会員向け優待サービスで約2.9万人分の個人情報漏えい
-
7
JALの予約システムに不正アクセス 約9万人分の予約情報が漏えい 一部ではパスポート番号も
-
8
VTuber「兎田ぺこら」グッズにSNSで風評被害→示談成立 「保護者同伴で謝罪などがあったため」
-
9
渦中のGMO、熊谷代表の発信は“火に油”か? 「経営トップが自ら広報」の功罪
-
10
ソニー生命に不正アクセス、個人情報約38.5万件漏えい 氏名や住所、契約内容など
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR