インタビュー
プラズマを超える大画面TVへ――ビクター「D-ILAリアプロTV」(2/2 ページ)
このように“いいことずくめ”のデバイスなのだが、その構造上、生産が非常に難しくて高い歩留まりを確保できなかった点がこれまで実用化の壁となっていた。
「我々は1997年から少量ながらもD-ILA生産を行うなど実績を積んでおり、生産ノウハウは蓄えてきた。当初は安定した性能を出すのにも苦労したが、面精度を向上させる独自技術を開発することで安定した性能も出せるようになった。現在は月産1万台規模までは対応できる生産体制を整えつつある。今後はさらに生産体制を拡大していく予定」(柴田氏)
実売はすでに「インチ7000円台」
プラズマ/液晶など薄型TVは省スペースで大画面を楽しめるのが魅力だが、ホームシアター用途などで迫力ある映像を求めるなら50インチ前後は欲しいところ。このサイズになると薄型TVではプラズマしかないわけだが、近年低価格化が進んできたとはいえ50インチクラスでは70万~80万円前後とまだまだ高価だ。
一方、北米でのリアプロTVの価格は、50インチで実売3000ドル前後とプラズマの半額以下になっている。今回発表された同社のリアプロTVは61V型HD-61Z575が5499.95ドル(約59万円)、52V型HD-52Z575が4499.95ドル(約48万円)。だがこれはあくまでも“標準価格”で、実売をネットで調べてみるとHD-61Z575が4500ドル(約48万円)前後、HD-52Z575が3500ドル(約37万5000円)前後と、他方式に比べて高性能なD-ILA採用ながら「インチ7000円台」という普及価格を実現している。
今回の取材は、北米で発売されたばかりの52V型「HD-52Z575」を目の前にしてのインタビューだった。筆者が実際に映像を観た感想はというと「これは欲しい……」。
特に52V型のリアプロTVが国内で発売された場合、この画質と価格面で42~50インチクラスのプラズマは駆逐されてしまうのではと思うぐらいだ。
薄型が魅力のプラズマも50インチクラスでは重さが50キロを超えるため、フットプリントをしっかり確保した安定感のあるTVスタンドが必要となる。こうしたTVスタンド込みの全体の重さは60キロを超え、奥行きも30~40センチとなって薄型のメリットがまったく生かされなくなってしまうのだ。
「52V型のHD-52Z575の奥行きは41.2センチ。リビングのシステム家具は45センチの奥行きが多いので、現在利用しているサイドボードの上などにもちょうど置ける。特にアピールしたいのが重さで37.8キロしかなく、ブラウン管では25型ぐらいの重さでしかない。リビングでの視聴では、プラズマよりもキレイに見える」(柴田氏)
52V型で40万円を切る価格とD-ILAならではの高画質が魅力の同社リアプロTVは、ぜひ日本でもすぐに発売して欲しいもの。だが同社の公式コメントとしては「日本での発売はいまのところ未定」となっている。
「D-ILA採用のリアプロTVとして見ると月産1万台は驚異的な数字だが、年間300万台といわれている米国でのリアプロTV市場の中ではまだ微々たるもの。このような生産体制なので(日本も含めて)北米以外の市場は現時点では考えられないというのが実情。もっとも、生産体制は強化していくので、今後どうなるかは分からない。日本市場も“やらない”とは言ってません(笑)」(柴田氏)
D-ILAリアプロTVは、同社の中でもデバイスから製品まで垂直統合で一貫生産できる数少ない製品の1つ。その意味でもじっくり慎重に事業を進めていこうという雰囲気が取材を通じて感じられた。
同社は、東京ドームシティ・プリズムホール(東京都文京区)で7月25日から開かれる特別展「プロジェクトX21」で、D-ILAリアプロTVを国内初披露する(関連記事を参照)。近郊に住む読者は、ぜひ足を運んで自分の目でD-ILAリアプロTVの大画面の迫力と画質の良さを体験してもらいたい。
そして筆者同様にムラムラと物欲がわいてきたら、担当者をつかまえて「ぜひ日本で発売して欲しい」と声高に訴えてみよう。国内市場への投入時期が思いのほか早まるかもしれないから。
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