劇場がある暮らし――Theater Style
“アリの足先より小さな鏡”が生み出す映像美――DLPの魅力(2/2 ページ)
3チップDLPで100万円前後の製品も近々登場
DLP方式では、DMDを1つ使った1チップ方式と、DMDを3つ使う3チップ方式がある。1チップDLPシステムの場合、光の3原色を出すカラーホイールを高速回転させることで、人間の目の残像効果を利用してカラーに見せる。高速にON/OFFできるDMDならではのカラー表示法だ。
DMD1チップで構成できるシンプルさから、製品の大幅な小型軽量化が図れるのもDLPの特徴。重さ900グラムという東芝「TDP-P6(J)」や、プラスビジョンの厚さ35ミリ「V3シリーズ」手のひらサイズ「V-1100Z Limited」といった小型軽量プロジェクターが、DLP方式で次々と登場している。
ただし、この1チップDLPシステムでよくいわれるのが「カラーブレイキングノイズ」。視線を移動した時や動きの速いシーン、字幕の部分などで映像内にRGBの残像が感知される現象だ。
「カラーブレイキングは見える人は見える、見えない人はずっと見えないという個人差がある現象。見える人は、色の反応速度がよほど速い人なのだろう。だがこれも、マイクロミラーがもっと速く動けば、色が変わるサイクルも速まるのでどんどん見えなくなる。現在、動作スピードが10マイクロ秒を切るのを目指してデバイス開発を進めている。もう1つの解消法は、カラーセグメントを効率よく見せる方法。R/G/B/R/G/Bとカラーホイールを6セグメントに分けて、色のバラツキをより均等にする方法がハイエンド機を中心に行われている。中には7セグメントのカラーホイールを採用して、カラーブレイクを解消している製品もある」
そのカラーブレイキングが理論上なくなるのが3チップDLPシステム。RGB各色ごとにDMDを用意して、プリズムで光からRGBを分けて各色のDMDに光を送り、DMD上で反射処理された単色の光が再びプリズムで合成されてスクリーン上に映像を投射するという仕組みだ。
「3チップDLPシステムはガラス部材など精密なものが必要となるので、DLPシネマ向けの大型機やハイエンド機で使われている。DMDを3つ使い、高精度なプリズムも必要となるのでどうしても機器が高額になってしまうが、以前は1000万~2000万円したものが最近では350万円前後の製品も出てきた。近々、3チップ方式で100万円前後の製品も登場するだろう」
“動画に強く、高コントラスト比で長寿命”はリアプロテレビ向き
経年変化に強いのも、DLPの魅力だ。
「ニュートラルな立場の、ある大学機関がDLPと液晶の寿命テスト(加速試験)を行ったところ、3000時間経過した後に液晶側は紫外線に弱いブルーのチャンネルに劣化が見られ、画面が黄色くなって見えた。一方、DLP側には経年劣化がほとんど見られなかった。動く映像に強い点と長寿命さというデバイスの特性は、映像のほとんどが動画で視聴時間も長くなりがちなテレビ向き。米国などで人気となっているマイクロデバイス方式のリアプロTVの多くがDLPを採用している」
国内メーカーでも、“液晶のシャープ”が60インチ以上のリアプロTVを米国などで発売していく方針を打ち出しているが、その表示方式は液晶ではなくDLPを採用すると明言している。また三菱電機も、DLP方式のリアプロTVを国内展開することを明らかにしている。
「現在DLP事業としては、従来のフロントプロジェクターとともにリアプロTVにも力を入れている。BS/110度CS/地上デジタルなどTV放送分野でも“デジタル”がキーワードになっている。プラズマTVは50~60インチ以上ではコストパフォーマンスが悪い。リアプロTVはインチ数千円レベル。日本でも今後、各メーカーからリアプロTVが発売されていくだろう」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
GMO、ランサム被害にあった顧客に新しいPC提供へ 犯行グループは1人の顧客情報公開か
-
2
NECのルータ「Aterm」、PHP脆弱性の影響なし 設定画面URLの「.php」は無関係
-
3
「楽天トラベル」に不正アクセス 顧客情報最大約260万件など流出か 予約者約3.6万件のクレカ情報も
-
4
Google、プライバシーポリシーに「Gmail」「Googleフォト」のデータを広告に使う例外を追加 回避方法は
-
5
GMO不正アクセス、犯人側は「27日に顧客のPC攻撃」予告 GMOが端末回収、ホワイトハッカーが解析中
-
6
GMO、攻撃者による情報公開を確認 顧客データ含むか調査中 追加の見舞金も検討
-
7
GMO、攻撃者の公開情報に「アクセスは絶対に控えて」 悪質な拡散者には法的措置を準備
-
8
「5年でバッテリーが使い物にならなくなる」は本当か テスラ「モデル3」5年目点検で分かったこと
-
9
GMO熊谷代表「社内ホワイトハッカーが事前に指摘」も対策遅れ、国に「能動的サイバー防御」要請 「責任転嫁では」SNSで批判も
-
10
「年齢は合ってますが、人間ではありません」 6歳の飼い猫に届いた“進研ゼミの案内” なぜ届いたのかベネッセに聞いた
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR