レビュー:劇場がある暮らし――Theater Style
優れた色バランスの秘密は“新光学回路”――プロジェクター「LP-Z3」(2/4 ページ)
さて、もうひとつの10ビット映像信号処理。Z3は大幅に画質が改善しているが、その背景には内部映像処理の10ビット化が大きく貢献している。
Z3はアナログ入力の信号を10ビットでA/Dコンバートするだけでなく、8ビット階調となるデジタル入力(HDMI端子経由)信号も10ビットに変換し、アナログ入力信号と同じ映像処理回路へと入れる仕組みになっている。
10ビットデジタル化された映像信号は、まず10ビット対応のスケーラで720p解像度にスケーリングされ、10ビット階調のままガンマ処理が行われる。ガンマだけでなく、スケーリング時も8ビットで行われる点がポイントだ。Z2ではこれらの処理がすべて8ビットで行われていたため、量子化ノイズが多く階調が失われたり、グラデーションの一部で色相が回転するといった現象が起こっていた。
より広い価格レンジで見れば各色12ビット処理を行っている製品もあるが、8ビットと10ビットの差はとりわけ大きく、大幅な画質の向上が期待されるところだ。
ニュートラルなグレー階調が作るバランスの良い絵
さて、実際に映像をスクリーンに投影してみると、Z2との間にある“あまりに大きな差”に驚く。ここまで松下電器、エプソンの両製品をレビューしてきたが、前モデルからの改善という意味では、もっとも大きな差がある。
Z2は緑の発色に強いクセがあった。たとえばグレースケールを表示させると、明度が高くなるごと徐々に緑が強くなる。RGB個別のガンマ調整が行えないこともあり、画質調整映像でゲインを調整してみてもピタリとはまる色を作ることはできなかった。Z2にはRGBごとのバイアス、ゲイン、ガンマを微調整できるサービスマンモードもあるが、それらを駆使してもきれいに調整しきることは難しい。合っているようでも、階調のどこかで色がシフトしてしまう。
ところがZ3では、非常にニュートラルなグレーバランスが実現されている。エプソンシネマフィルタを用いたエプソンのTW200Hも、ニュートラルグレーのグラデーションがきれいに出る機種だったが、色温度を変更すると内部8ビット処理のためか、階調ごとの色相バランスがやや崩れる傾向が見られた。その点、Z3は色温度を変化させても、各階調における色の調子があまり崩れない。
中でもプリセットの「クリエイティブシネマ」モードは、試聴したいずれの映像ソースでも大きな不満なく楽しめる。このモードは、ランプ光量がリアクトイメージ2、アイリスは32(中間位置)、色温度は低1(やや低め)に設定されており、それ以外の項目はデフォルト値のまま。Z2では階調が不足して平板な描写になっていた部分も、しっかりと階調が残る。
例によってムーランルージュ、マイノリティレポート、マトリックスレボリューションズ、めぐり逢う時間たちの4本を中心に試したが、今回は評価に使える時間に余裕があったため、スターウォーズ・エピソード4も映してみた。1本追加したのは、白い甲冑の兵士や宇宙船が多数登場するスターウォーズ・エピソード4でグレーバランスの良さを確認してみたかったためだ。
たとえばエピソード4の冒頭、宇宙船内をダースベイダーが詮索するシーンなど、白を基調にしたグレーが多用されるシーンでも、変な色が乗るといったこともなく自然に描写される。黒も十分に沈んでおり、コントラスト感も十分に高い。
プリセットモードを「ピュアシネマ」にすると、もう一段、色温度が下がり、光量は70%に固定される。ムーランルージュではこちらの方が良く見えたが、100インチ以上の投影では、明るいシーンでの力感が削がれる印象だ。好みでいずれかを選択すればいいが、より多くのソースで気持ちよく見えるのはクリエイティブシネマだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
4
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
5
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
6
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
7
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
8
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
9
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR