特集:私的複製はどこへいく?
対談 小寺信良×津田大介(3)――コンテンツ業界は今、なにをするべきか(1/3 ページ)
なぜ、レコード会社の声ばかりが大きい?
津田:今、音楽産業を語るときにクローズアップされがちなのって「レコード会社 VS 音楽ファン」っていう視点ですよね。もちろんこれは重要なポイントのですが、個人的にはその中で音楽を作っている肝心のアーティストのことがあまりにもほったらかしになってるんじゃないかと思います。
確かにここまで「音楽産業」を大きくしたのはレコード会社でしょう。でも、それは、いい音楽を作るアーティストがいるという大前提あっての話。球界再編の話じゃないですけれど、ナベツネさんの「たかが選手」という発言は本音かもしれませんし、一面の真実は表してはいると思います。ですが、絶対に言ってはいけないことだったんじゃないかと。レコード会社の経営陣も「本音の部分ではそういう意識なんだろ」と音楽ファンから思われかねない態度、言動をしてますよね。
ただ、そうした経営者側の発言に対して、ユーザー側の方が「じゃあ野球見ない」「じゃあ音楽聞かない」と反応してしまうのは、それはそれでスマートさに欠けるんじゃないかと思います。
小寺:それにレコード会社が持っているのは、あくまでも著作隣接権であって、本当の権利者に、レコード会社の主張するような配分が行われているのかは不透明じゃないですか。
津田:本来は音楽そのものを一から創るアーティストが一番偉いはずなのに、周りにいる人たちの声の方ががなぜか大きい。アーティスト本人は「少しぐらいコピーされても多くの人に聴いてもらいたい」と思っていても、周りがそれを許さないという状況がある。不健全というか、ゆがんでますよね。
小寺:僕は、著作隣接権しか持っていないレコード会社が、いかにも自分たちがアーティストであるかのように振る舞っているように思えて仕方ないんです。
津田:確かに、社内にプロデューサーがいて、原盤権も持っているレコード会社ならば、レコード制作という意味では「クリエイター」になると思います。ですが、音楽事務所が100%原盤権を持っていて、それを単純に販売させてもらっているレコード会社は、もはや「配給会社」に過ぎないんですよ。それがあたかもアーティストであるかのように、発言するのは何を言っているんだと思いますね。
小寺:その物言いに腹が立つんだよね(笑)。その面での意識のすれ違いというものはどうしてもある。
――一部のアーティストは自身のBBSなどで「CCCDに反対」であるとか、「コピーして楽しんでもらうことは構わない」という趣旨の発言をする人もいるようです。
津田:アーティストの意識は本当にバラバラですよ。この期に及んでCCCDが何か知らない人もいれば、CCCDであろうが気にしない人、かたやメンバー間でCCCDで自分の作品をリリースすることについて真剣に議論した結果、解散寸前までいったグループもあります。
本来音楽とはまったく関係ないことでアーティストが悩んでしまい、創作意欲が削がれてしまう……そんな事態が生まれること自体が不幸ですし、そういう意味でもCCCDの罪は重いと思いますね。
現場の人はみんなCCCDに反対している
――音楽業界内部の方は、現状をどう考えていらっしゃるんでしょうか?
津田:CCCDに関してはいえば、なんでやってるのかなぁと疑問に感じているヒトは多いと思います。現場レベルで言えばみんな反対している……反対はしないまでも導入する意味がないと思っている人が多いのが現状ですが、上が決めたことには従わないと……という空気はあるみたいですね。
小寺:反対している原因は、やはり音質ですか?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
4
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
5
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
6
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
7
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
8
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
9
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR