特集:私的複製はどこへいく?
対談 小寺信良×津田大介(最終回)――著作権問題に、解決の糸口はあるか?(4/4 ページ)
「公共財」の考え方はコンテンツに柔軟性を与えるか
津田:英国のBBCがクリエイティブ・コモンズ・パブリックライセンス(CCPL)に沿って、一部のコンテンツをインターネット上で利用しても構わないということを決定しましたが、それをどう評価されますか?
小寺:かなり画期的なことですね。NHKにもやってほしい。
小寺:僕は川口のNHKアーカイブスへ取材に行ったことがあるんですが、古いドキュメンタリーなどを再利用しようとしても権利者が亡くなっていたりして、肖像権の問題などが処理できずに行き詰まっているんです。
それをどうやって解消しているかというと、「内覧」という手段を使っているんです。具体的には、NHKの建物内で、局員立ち会いの下で一般に閲覧する形にしている。コピーの作成は問題になるので、すべてのコンテンツを一カ所に集め、日本中のNHKへ専用の光ファイバーでストリーミングしているんですよ。これで権利問題は完全にクリアできています。
(著作権問題をクリアするために)非常に大掛かりなことをやってのけた事例だと思うんですが……。
津田:そんなの、ひとこと「コピーする」で済ませられればいいんですけどね。そうした手間を省くためにこそデジタル技術があるのだと思いますけれど。
小寺:そう、現実の枠内で、これだけのことをやってのけたという事実は評価しますけれど。あまりにも完全にやってしまったがために、後続となる民放が非常にやりにくくなってしまったのも事実です。(NHKが)前例を作ってしまいましたから。
津田:そうした話を伺うと、海外の方が現実的な対処をしているという感じを受けますね。公共性の強いものならば、コピーライトを表記すれば自由に使ってもらって構わないというBBCのクリエイティブ・コモンズ・ライセンス導入はその象徴的な例でしょう。
小寺:放送って、「公共の財産」という側面をもっとピックアップしないと、過去の映像はみんな死んでいくだけになっちゃうんですよ。例のNHKアーカイブスにも、19世紀半ばに自転車が発明されたとき、ニューヨークで大流行なんて映像もあるんですが、おそらくもう誰の目にも触ことはないだろうって言ってます。
津田:音楽についても、そういう側面はあると思うんですよ。
公共財的な側面を持っている音楽……クラシックやスタンダード・ジャズなんかはもちろん、ルーツロックなんかはある種の公共財的側面を持っていますし、ビートルズなんて明らかにロックミュージシャンにとっての「公共財」になってますよね。現実は「音楽著作権の権化」みたいな感じになってますが(笑)。
音楽を制作する側が積極的に私的財産であるということと、公共財であることのバランスを取っていくべきだと思います。そうした観点から見れば、CCCDや輸入権の問題は明らかにそのバランスを欠いたものと言わざるを得ないですね。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
GMO、ランサム被害にあった顧客に新しいPC提供へ 犯行グループは1人の顧客情報公開か
-
2
資さんうどん、従業員の退職理由などが外部から閲覧可能に 委託先の勤怠システムに設定不備
-
3
NECのルータ「Aterm」、PHP脆弱性の影響なし 設定画面URLの「.php」は無関係
-
4
GMO、不正アクセス実行犯の手がかりに懸賞金 1億5000万円規模
-
5
auメールで朝から障害 全国で利用しづらい状況に
-
6
「楽天トラベル」に不正アクセス 顧客情報最大約260万件など流出か 予約者約3.6万件のクレカ情報も
-
7
メアドを検索→AIで“その人専用フィッシングメール”を生成する手法、クリック率が約2.7倍に 7000人以上で実験
-
8
GMO不正アクセスの犯人サイト、ドメイン停止を確認
-
9
GMO、攻撃者の公開情報に「アクセスは絶対に控えて」 悪質な拡散者には法的措置を準備
-
10
Google、プライバシーポリシーに「Gmail」「Googleフォト」のデータを広告に使う例外を追加 回避方法は
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR