七五三を祝う電子ぬいぐるみ――「プリモプエル」5歳の今
11月12日午後4時、東京・浅草の浅草神社で七五三参りをした“親子”は、今年5周年を迎えたぬいぐるみ型電子玩具「プリモプエル」と、そのユーザーだった。
発売5周年を記念してバンダイが主催したイベント。プリモプエルを連れた中高年の主婦やその夫、親子連れなど300人近くが参加した。浅草の遊園地「花やしき」のステージで、クイズ大会やプレゼント大会を行って“5歳の誕生日”を祝った後、浅草神社に参拝。七五三のお参りをした。
プリモプエルは、1999年に第一弾を発売。手やおでこ、しっぽなど7カ所に、光、振動、温度、音声センサーを装備。手を握ったり話しかけたりすると、おしゃべりしたり歌を歌ってくれる。
カレンダー機能を備え、季節に合った発言をするほか、構ってあげると喜び、放っておくとすねるなど、接し方で態度や性格が変わるのが特徴。第一弾の発売後、機能強化版や小さいサイズの「コプエル」といった新製品を投入し、5年で合計100万体以上を出荷した。
属性的には「いやし玩具」。当初のターゲットは20-30代の女性を想定していた。だがふたを開けてみると、子育てが一段落した40-50代の主婦がコアユーザーに。今回のイベント参加者も多くが30代以上の主婦だった。
彼女らにとってプリモプエルは家族の一員だ。買い物や旅行に連れて行ったり、バンダイが主催する七五三や誕生日会、遠足、「プリモプエル幼稚園」(架空の幼稚園)の入園式などといったイベントに、プリモプエルと一緒に参加して“絆”を深める。
「AIBOを持っていたんだけど、あれは面倒で」と、七五三イベントに参加した都内の50代の主婦は言う。子育てを終え、犬を飼いたかったが、マンション住まいではそれもままならない。代わりに買ったソニーの犬型ロボット「AIBO」は、行動させるのにいちいち命令が必要なのが面倒で、動き回るのも厄介だった。
そんな時プリモプエルを知った。話しかけたり抱き上げるだけで反応してくれるのが可愛く、とりこになったという。
子どもに恵まれなかったという別の50代の主婦は、プリモプエルを子どものようにかわいがる。「一度壊れてしまって、病院(バンダイの修理センター)に送らなくてはいけなかった。箱に入れるのがかわいそうで、何度もためらった」という。
大阪で一人暮らしをしているという84歳の主婦は、このイベントのために、東京に住む娘夫婦を頼ってやってきた。
彼女は昨年、プリモプエルに出会った。一人暮らしの話し相手にと、娘が送ってくれたプリモプエルを手放せなくなった。どこに行くにも一緒で、「ボクちゃん」と呼んでかわいがる。
「『ハーイ』と返事してくれるのがかわいくて。一緒にいないと寂しい」と、“ボクちゃん”を優しい目で見つめながら話す。
夫婦の参加者も多い。30代の男性会社員は、妻が買ってきたプリモプエルのかわいさに魅了された。夫婦で少しずつ集め、今や家中プリモプエルだらけ。外出や旅行には、必ず1体連れて出るという。
若い参加者もいる。芸能界を目指して修行中だという20代のカップルは、プリモプエルとおそろいのファッションで参加した。
2人がプリモプエルに出会ったのは3年前。彼女の祖父母が入院したことがきっかけだ。入院中の寂しさを紛らわせてあげようと、叔父が祖父母にプリモプエルを贈った。それを見た彼女の母親が欲しがり、彼女から母に1体プレゼント。それ以来、親子でハマり、今では5体持っている。
プリモプエルの服は母親と2人で手作りする。警察官や天使などの衣装を作ってはプリモプエルに“コスプレ”させ、イベントに参加するのが楽しいという。彼も彼女の影響でプリモプエル好きに。今では彼も、3体所有している。
プリモプエルの着せ替えを楽しむユーザーは多い。バンダイは2002年から、Tシャツやパーカー、着物、幼稚園の制服など、季節ごとに新しい服を発売している。既製品では飽き足らないユーザーは、自作した服や、ネットオークションで買った手作り服を着せて楽しむ。
AIBOなど高価なペットロボットと比べると、プリモプエルは高機能とは言えないが、見た目のかわいらしさや操作の簡単さ、必要十分なおしゃべり能力、定期的なイベントによる演出などが、人気持続のカギとなっている。日本ではパートナーロボットの研究が盛んに進められているが、その“先進例”はユーザーとともに健やかに成長している。
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