ロンドンのテロ、米国で起きたら――携帯電話通報は機能するか?
7月7日にロンドンで起きたのと同様のテロがもしも米国で起きたら、ほとんどの携帯電話利用者は救急隊に見つけてもらえないだろうと専門家は指摘している。
2001年9月11日の米同時多発テロ後に投じられた労力にもかかわらず、携帯電話の発信者を発見できるようモバイルサービスを強化する取り組みは、「米国では残念な状態にある」とJ. Gold Associatesの独立系アナリスト、ジャック・ゴールド氏は語る。「もしもロンドンのような大惨事が米国で起き、携帯電話で救助を求める負傷者の位置を特定しなくてはならなくなった場合、1人か2人は見つけられるだろうが、数百件の通報を処理できないだろう」
「位置特定は簡単にできることではない」と同氏。
E911ワイヤレスサービスの問題の1つは、あまりにも多くの人が一斉に電話をかけてくることだとゴールド氏。技術的な複雑さとコストも、携帯発信者の位置を特定する自動システムを実装するキャリアの取り組みを遅らせる要因になっているという。
「ワイヤレスインフラを考えると難しい問題だ。自分で正確に現在位置を把握し、それを救急オペレータにはっきり伝えない限り、携帯電話で通報して救助してもらえるとあてにしてはいけない」(同氏)
携帯電話で911(緊急通報番号)に電話をかけた人を見つける方法は主に2つある。ネットワークベースのソリューションと端末ベースのソリューションだ。その2つを組み合わせた方法もある。
ネットワークベースのソリューションは、携帯電話からの信号を捕捉する機器を使う。そのアプローチの1つ「Angle of Arrival」では、3つの基地局で信号の方向を測り、そのデータからユーザーの位置を計算する。ほかのアプローチでは、異なるタワーに信号が到達したタイミング、あるいは既知の建物からの反響に基づく「シグネチャ」の比較を利用する。
端末ベースのソリューションでは、携帯電話にGPSチップセットを搭載し、ユーザーの位置を特定できる衛星と通信する。
いずれの手法にも技術的な限界があると専門家は指摘する。雨や雪が衛星信号を妨害する可能性があるし、ネットワークシステムは2次元(幅と長さ)で最もうまく機能する傾向があり、高さは考慮されない。このため高層ビル内の人の位置を特定しにくい。
現在すべての携帯電話メーカーがGPS携帯を製造しているが、ゴールド氏の推定では、GPSチップ搭載の端末は前端末のわずか1%という。
米連邦通信委員会(FCC)の4月の報告書では、E911導入の最大の問題となっている小規模キャリアに焦点が当てられた。この時点で、390社の小規模キャリアのうち、E911サービスを提供していたのはわずか10社だった。
FCCは2005年12月31日までに、全キャリアが加入者の95%に位置特定可能な携帯電話を提供するよう定めているが、ゴールド氏はおそらくかなり遅れるだろうと語る。
E911による位置特定は、IP電話(有線、無線を問わず)の場合は特に複雑になる。FCCは5月に、IP電話会社に、ユーザー登録時に住所を記録するなど、IP電話利用者の位置を特定するための最小限の基準を設けた(5月20日の記事参照)。しかしFCCとキャリアはさらに、ノートPCなどでVoIPソフトフォンを使っているユーザーの位置特定方法に取り組まなければならない。
携帯電話利用者の位置特定をめぐるジレンマからは、新しい技術が生まれている。7日に発表されたTeleCommunication Systems(TCS)とSkyhook Wirelessの提携もその1つだ。両社はSkyhookのWi-Fi位置特定システムを、TCSのE911サービスのルーティング技術に統合する。
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