インタビュー
「欲しかった。作るしかなかった」――高品質DVD-R「森メディア」(3/3 ページ)
挫折を乗り越え、「使いたいから作った」
一言に自身のブランドといっても、それを立ち上げることは並大抵のことではない。製品化にまで必要とされた金額については笑いながら回答を避けたが、「外国産の高級車が楽に買える金額」らしい。なにが森氏をそこまで駆り立てたのか。
「端的に言ってしまえば、“使いたいから作った”ということでしょうか」
森氏はCD-Rが記録メディアの主流であった時代に、今回のような“コダワリのメディア”を世に出そうとして一度挫折したという苦い経験がある。まずは国内メーカーに打診したが、「商業性が希薄だ」と断られた。DVDが台頭した時期にもチャレンジしたが、メーカーは速度向上競争のまっただ中で、またも願いはかなわなかった。そのころにあるメディアのOEM製造に携わる機会を得、現在の森メディアにつながるノウハウを蓄積した。
「CD-Rの時代、コストを追求していくことで品質が低下することを嘆く、あるいは警告する声がありました。個人としてもそれを止めたかった。ただ、当時は資金力もなくて、嘆くだけになってしまいました。DVDの時代になっても、コストを抑えることにメーカーは走り、リブも片面だけになってしまいました。ほんの少し前までは両面リブが当たり前だったのに、ですよ」
「メーカーは商業性の薄いものに手を出してくれません。それならば自分でと思い立ったわけです。幸いなことに、メーカーには昔の機械とそれを稼働させるエンジニアもまだ残っていましたから、ちょっとしたプラスアルファでこれだけの高品質メディアを作り出すことができたのです」
そうした捲土重来を経て、森氏は自分の使いたかったメディアを自分の手で完成させた。さすがに色素から素材までを完全に自分でゼロから作り出したという訳ではないが、DVDメディア製造という一個人の手には余るものを、「いちユーザーとして使いたかった」というモチベーションで製品化にまでこぎ着けた。極めて珍しい例といえるだろう。
「品質については絶対の自信があります。日本という国が、品質にこだわる国かどうかは、僕の作ったメディアの売れ行きで決まるんじゃないかと思うぐらいです。売れなければ……、自分で使い続けます(笑)」
自身のコダワリが結実した「森メディア」について、森氏は絶対の自信を見せる。そして、そこには光メディアへの愛情、ひいては国内メーカーへのエールも隠れている。
「長持ちする良いメディアは、本当は国内メーカーに作って欲しいのです。それだけの技術はあるはずです。コスト削減というメーカーサイドの視点だけではなく、“良いものが欲しい”というユーザーの視点に立った製品を作って欲しいですね」
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