RAG FAIR土屋礼央に聞く(3)
「勝負は最初の15秒」――テレビとネット、出演者の視点
「テレビと同じ作り方だと、ネットはテレビには勝てない」――ネットの動画配信とテレビ放送。両方に出演するRAG FAIRの土屋礼央さんはこう話す。「ネットで勝つためには、最初の15秒が勝負」
「自分からクリックしなきゃいけないのがネット。受動態でいられるのがテレビ」――ネット動画を見せるには、視聴者のワンクリックが必要。見る人の人差し指を強制的に動かさねばならない。
クリックさせるにはどうすればいいか――礼央さんはこんな経験談を語る。ネット配信用の動画をRAG FAIRで撮影していた時。スタッフはテレビと同じようにメンバー6人分の椅子を用意。前に3人、後ろに3人並ばせた。
「ぼくは『6人を普通に並ばせない方がいい』と言ったんです。ネットだと『何だこれ』と思わせて、クリックさせなくてはいけないから。例えば、全員が円になって回って、『どうも~』ってやるくらいじゃないと」
とにかくクリックさせ、最初の15秒で「最後まで見たい」と思わせる。簡単に視聴をやめられるネット動画はツカミが重要だ。「いかにつかんで、中に入ったらどれだけディープだったか。これが勝負」
同じことはポッドキャスティングにも言える。「最初の20秒で食いつきがなかったら、聞くのをやめてしまう」――ポッドキャスティングラジオ「なんだ礼央化RADIO!」を隔週で公開している礼央さん。同番組の人気アップのヒントにと、他の人気番組を聴きあさる中、気づいたという(関連記事参照)。
ネットには、テレビにはない利点もある。いつでもどこでも見られる上、テレビではカットされるようなディープなコンテンツも公開できる。
「『カレクック』の話なんかゴールデンでやっても、誰にも伝わらない」――デビュー当時、Yahoo!で自分の名前を検索し、人気を測っていたとき。ヒット数が「カレクック」と同じ789件だった。カレクックはキン肉マンの残虐超人。超人オリンピック1回戦で、キン肉マンと戦った相手だ。
土屋礼央とカレクックが、Yahoo!検索でつながる。少しマニアックで、一部には猛烈に受けるであろうネタ。しかしゴールデンタイムの視聴者に理解されるかというと、難しい。礼央さんはラジオでこの話をしたという。今ならネットでも発信できるネタだ。
「ネットはオリジナリティー、中身の勝負の時代になっている」――Flashがぐりぐり動けば、中身がなくても受けていた時代は終わり、シンプルで中身の濃いサイトが求められている――礼央さんはそんな時代感覚を語り、間口が広くて奥が深い、中身の濃いコンテンツを発信していきたいとした。
土屋礼央:1976年9月1日生まれの29歳。東京都出身。2001年にアカペラバンド「RAG FAIR」のボーカルとして、ミニアルバム「I RAG YOU」でデビュー。別バンド「ズボンドズボン」のバンドマスターとしても活躍中。
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