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» 2005年11月01日 09時17分 UPDATE

RAG FAIR土屋礼央に聞く(1)「ポッドキャストを当たり前にしたい」――リスナーと作るネットの“音” (1/2)

自由に楽曲をかけられないポッドキャストやネットラジオで、ミュージシャンは何を発信できるのか――成功例がないからこそトライするのが楽しいと、RAG FAIR土屋礼央さんは話す。

[岡田有花,ITmedia]

 前例がない。ルールもない。でも迷いはない。アカペラグループRAG FAIRの土屋礼央さんは、ライブストリーミングとポッドキャスティングを週替わりで公開する「なんだ礼央化RADIO!」を、TOKYO FMのコンテンツとして8月に始めた。「新しい文化を作りたい」――自由に音楽を流せないネット放送に、音楽の作り手として全力でチャレンジする。

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 「だいたい今日も、1時間ぐらいやります!」――ライブストリーミング放送「なんだ礼央化RADIO! Side L」のある日の冒頭。地上波ラジオではありえない発言が飛び出した。「前の番組も後ろの番組もないから、終わりたい時に終われます」

 隔週火曜日の午後10時から1時間がオフィシャルな放送時間だが、10分や20分オーバーはザラ。しゃべりだすと止まらない。放送禁止用語も放送事故もない。バランス感覚と良心が、そのままルールになる。

 番組にはCMもない。権利の関係で、楽曲もほとんどかけられない。だから休む暇がない。オリジナルのジングルと、関係権利者の許可を得た自分の楽曲だけを適当なタイミングでかけ、一息つく。

 テレビよりも、ラジオよりも、リスナーと近い。スタジオに愛用のPowerBook G4を持ち込み、リスナーからのメールをリアルタイムにチェックし、読み上げる。

photo TOKYO FMのスタジオで収録中(番組ブログより)

 相手の目をじっと見つめ、反応をさぐって次の言葉を選ぶタイプ。聞き手が見えた方が話しやすいのは、ラジオも一緒だ。メールで反応を見ながら、話す内容を柔軟に変えていく。

 番組ブログには、放送中に何度も写真をアップする。言葉で伝えにくいことを、写真に語らせる。リスナーから寄せられた画像も時には掲載する。みんなで一緒に作っていけるのが、楽しい。

photo 呼び名の分からない「手のココ」も、写真なら伝えられる(番組ブログより)

 「ブログとリンクすれば、いろいろ面白いことできると思います」――アイデアはふくらむ。例えば、リスナーと一緒に雑誌の付録のプラモデルを集め、組み立てる企画。放送中に組み立てながら「どうこれ? 合ってる?」と写真をブログにアップ。リスナーから「違うよ」などと指摘してもらう。

 ライブストリーミングなら、こんな楽しい企画も思いつくし、今も面白いことができていると、自分でもちょっと自信がある。「オールナイトニッポン」などラジオ番組で培ったノウハウが、そのまま生きている。

 でも、隔週ポッドキャスティングの「なんだ礼央化RADIO! Side R」は、成功の方程式をつかめないでいる。新しい文化で、リスナーの反応も見えない。楽曲の制限も厳しく、権利関係のからまないオリジナル曲以外はかけられない。でも「ポッドキャスティングの最初の成功例になりたい」と、“ならでは”のコンテンツを考えては試す。

 例えば、JR山手線に乗り込んで、電車のうんちくや景色の変化を語る「乗車男」。実際に山手線に乗って聞けば、まるで彼が隣にいるような、不思議な感覚が味わえる。「こちら新大久保でございます。横に中央線が見えるんです。新大久保は、韓国料理屋さんが多いんですよねぇ……」

photo 山手線に録音機能付きMDウォークマンを持ち込んで収録した(番組ブログより)

 リスナーが車内で礼央さんと同じ場所に立ち、同じ動きをしたら楽しいだろうと、礼央さんは話す。コンテンツをストックでき、いつでもどこでも聞けるポッドキャスティングだからこそ生きる企画だ。「ポッドキャスティングはできるだけ外で、動いて録りたい。皆もiPodを持ち運んでいるから」

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