インタビュー
“プロの手調整”を超えた音場補正――ソニー ハイエンドAVアンプ「TA-DA9100ES」(3/5 ページ)
これにより反射音や定在波が入り交じり、周波数特性が細かく波打つように乱れている場合でも、ほぼターゲットとするカーブへと周波数特性を変えることができる。
エンジニアの手調整よりも優れている?
もっとも、多バンドのグラフィックイコライザと言われると「あぁ、音の鮮度は激減するんだろうなぁ」と思う人もいるのではないか。筆者自身、この話を聞いたとき、31バンドものイコライザで補正した後の音が良いとはとても思えなかった。
それはDA9100ESのプロジェクトを率いた音質の責任者・金井氏も同じである。「正直言って31バンドものイコライジングをやるなんて、むちゃくちゃだと思いました。この手の処理は音質をキープしようとすると、想像以上にDSPの能力を必要とします。ましてや31バンドとなると、音質をキープできないだろうと思っていたんですよ。ところがエンジニアは開発サイドは逆に31バンドでなければ、良い自動補正機能にはならないというんですよ」
そう主張するだけあって、音場補正プログラムの開発を行っていたオーディオ事業部開発部2課サウンドコンピューティングエンジニアの浅田宏平氏の開発したプログラムはひと味違った。音の情報量が落ちないのだ。加えて現行のDSPチップでも十分に7チャンネル分の音声処理をこなせる軽さもある。
「とりあえず31バンドの良さをアピールするため、すでに開発済みだったプログラムを仮のアンプに入れて、開発に関わっているいろいろなメンバーの自宅で実証試験を行いました。もちろん、リーダーの金井宅でも行ったのですが、DCACを使って補正した方がずっと音が良かったんですよ」(浅田氏)
金井氏は「私もオーディオ技術者ですから、当然、自分の耳に自信を持っていて、スピーカーの配置などを工夫して音場を整えていたんですよ。しかしDCACを入れると、それまで取りきれなかった配置の制限による癖が、完全にとれてしまったんです。もう“参りました。もう疑いません”という心境でしたね。それと同時に、エンジニアの手調整よりも良い結果が出るならば、すべてのユーザーのためになると思いましたね」と当時を振り返る。
まだDCACは、左右の耳の位置関係を模した配置の測定マイクを使用し、両方からのサンプリング結果を基に最適な調整値を求める。その速度がまた高速で正確なのだ。この技術に関して、詳しくはDA9100ESのテクニカルノーツにかかれているが、DSP音場プログラムを開発する際、欧州の有名な音楽ホールやソニーピクチャーズのダビングシアターの音場特性を計測する際に使った技術とノウハウを応用したものだという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「Xが情報収集に役立たない……」熊本地震で不満の声続出 「Twitterを返して」
-
2
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
3
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
4
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
5
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
6
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
7
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
8
「痺れるほどにミスを繰り返す」Gemini 3.6 Flashは変わった? 公開から1週間、当初のおバカ回答を今検証する
-
9
NVIDIAやMicrosoftなど30社超、オープンAIの防御ツール共同開発の「Open Secure AI Alliance」設立
-
10
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR