レビュー
HD DVDプレーヤー「HD-XA1」の画質をじっくり観てみた(1/3 ページ)
東芝から発売された初のHD DVDプレーヤー「HD-XA1」。すでにファーストインプレッションが本サイトにも掲載されているが、今回はもう少し画質面に切り込んだ記事をお届けしたい。
機能面では非常にシンプルなHD-XA1だが、そのHDMI端子から出力される映像は、確かに素晴らしいものだ。初期の出荷分に限定バンドルされる2作品に加え、ポニーキャニオンが発売する3作品「夜桜 HD-DVDツインフォーマット版」「virtual trip さくら nostalgia HD-DVDツインフォーマット版」「virtual trip THE MOVIE 地球の大自然 FASCINATING NATURE HD-DVDツインフォーマット版」を評価したところ、特に「夜桜」において良好な画質を体験することができた。
しかしながら、これがHD DVDのすべてという訳でもなさそうだ。次世代光ディスクの潜在能力は、まだ底を見せていない。映像ソース次第で、まだまだ画質が高まる可能性が見えるからだ。フォーマットの潜在的な能力が、映像ソースの品質を上回っているのである。
今後、HD DVDおよびBlu-ray Discに対応した製品がさらに登場してくるだろうが、それらの製品を評価する切り口を変える必要があるかもしれない。
なお、試聴はソニー フルHDプロジェクター「VPL-VW100」を用い、110インチスクリーンに投射して行った。
素直なHDMI出力とやや強調された絵となるアナログ出力
HD-XA1のハードウェア機能については、すでに様々な情報が飛び交っている。まずはそうした点は軽く触れるにとどめ、いくつかの特徴的な部分についてインプレッションをまとめたい。
インテルのx86プロセッサを用いた家電プラットフォーム上に作られたHD-XA1は、基本的にはPCと同様のアーキテクチャーを取っている。そのせいかどうかはわからないが、起動にはやや時間がかかり、メディアの認識も遅め。
起動からメディアを認識し、再生を開始するまでに2分とは言わないが、1分半以上はかかってしまう。また、機能によってはレスポンスが悪く、実際の動作までに大きな遅延を感じる場面もあった。ただし、一度動き始めてしまえば、単一ソフト内での動きは軽快で、iHDを用いたアドバンストコンテンツの3作品も、特に操作レスポンスが遅く感じることはない。
HD解像度の映像はコンポーネント信号あるいはHDMI信号での出力が可能(切り替え式)で、1080/60iでの出力が行える。ここで「次世代光ディスクは、すべて1080Pをサポートするのでは?」という疑問を持つ方もいるだろう。というのも、読者向けに開放してある筆者のメールアドレスには、この質問が4通も届いているからだ。
しかし、この点はきちんと考慮されている。
HD DVDのビデオ規格を見ると、映像出力ストリームはフルHD解像度の場合、1080/60iで出力されると書かれている。しかしディスク上の記録フォーマットでは1080/24Pがサポートされており、映画やプログレッシブモードで撮影されたビデオなどは、そのままプログレッシブでMPEG圧縮が施される。
これをMPEGデコーダがデコード後、ストリーマによって偶数走査線、奇数走査線のふたつのフィールドに分割され、2-3変換によって60フィールドのインターレスストリームに変換される。その際、2-3プルダウンのフラグが付与されるため、ディスプレイ側がフラグを認識することで、元のプログレッシブ映像が得られる仕組みだ。
これは一般的なDVDビデオの仕組みと同様(DVDビデオでは30Pのフレーム内に24枚のピクチャを入れるが、HD DVDビデオは最初から24フレームという違いはある)のもので、ディスプレイが2-3プルダウンをサポートしているならば画質的な劣化は理論的には存在しない。
これが東芝が本機の発表会で話していた「1080P不要」の根拠だ。実際にプレーヤー側でプログレッシブ化して送る場合と、インターレスで送信する場合では、印象が異なることが多いというのが、これまでのDVDにおける経験だが、今のところ比較対象がないため、どちらが良いといった議論は意味をなさない。現時点で言えるのは、フレームの送受信シーケンスにおいてロッシーな部分はない、ということだ。
ただし、HDMIに関してはそのまま素直にデコードしたYCrCbの色情報を送信しているだけで強調感のない素直な絵なのに対して、アナログコンポーネント信号は3RCA、D端子いずれの端子からの信号も、輪郭やトーンカーブに強調感を感じる。
このため、収録されている映像ソースの解像度が甘い場合は、HDMIではやや先鋭度が低く感じられ、アナログ接続の方がシャープで切れが良く見える。逆に先鋭度の高い映像ソースの場合、エッジがやや立ちすぎで輪郭が太めに見え、空間周波数の高い部分ではざわつきを感じてしまう。
アナログの画質をHDMIに近付けた上で、もう少し薄味に輪郭強調をかける程度を標準とし、あとはメニュー内で調整できるのがベストだったろう。すでにユーザーの読者、これから購入してみる読者は、自分のディスプレイで両方の接続を試し、画質の好みで選ぶことを勧める。
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