レビュー
HD DVDプレーヤー「HD-XA1」の画質をじっくり観てみた(2/3 ページ)
次世代光ディスクの可能性を示す「夜桜」
では、具体的にいくつかのHD DVDソフトをピックアップしながら、HD DVDというフォーマットの可能性を探っていきたい。
まず添付されている「ムーンライトジェリーフィッシュ」「バイオハザード」という2つのタイトル。そのパッケージには「1080i Hi-def」と書かれているのだが、東芝関係者にきいたところ収録そのものは24Pだという。しかし問題はマスターの品質で、HD DVDの能力を引き出せているとは言えない(もっとも37インチ程度のテレビには十分な品質ではあるが)。
ムーンライトジェリーフィッシュはフルHDらしい解像感に乏しく、明らかにマスターの解像度が不足している。おそらくDVCpro HD対応機材を用いた24Pでの撮影ではないだろうか。内容はともかくとして、画質評価には残念ながら向かない。
バイオハザードは35ミリフィルムからのHDテレシネ。しかし、こちらもテレシネの品質の問題か、それともテレシネを行ったプリントが悪かったのか、解像度がやや甘く、またノイジー。フィルム上のゴミも相当量見える。加えて(元フィルムの現像処理によるものかもしれないが)暗部階調に乏しくブラックレベルへとストンと落ちていく。
バイオハザードと言えばソニー・ピクチャーズの作品というイメージがあるかもしれないが、実は1作目は独立系の映画スタジオが制作しており、その後2作目以降の権利をソニー・ピクチャーズが買い取ったという経緯がある(今回、添付されたのも1作目の権利を東芝エンターテイメントが保有しているため)。このような事情から、テレシネあるいはフィルムそのもののコンディションが(独立系スタジオであるが故の予算的制限から)あまり良くなかったのかもしれない。
とはいえ、バイオハザードについては、さすがにハイビジョン放送よりはきれいだ。ハイビジョン放送では、マスターに乗ったノイズにビットがくわれ、さらに別のノイズや歪みを発生させていた。このディスクにも同様の傾向はあるが、放送に比べればずっといい。なお、本作品に関してはHDMIよりもアナログでの映像出力の方が良く見える。
では、もっとハッキリと良さを感じられるソフトはないのか?
現時点で、もっとも次世代光ディスクの可能性を示しているのは「夜桜」だろう。「virtual trip さくら nostalgia」はハイビジョンビデオカメラによる制作だが、やや収録時期が古いのか、ややあざといエッジの立て方、多めのノイズ、エッジのちらつきなどが見られる。「virtual trip THE MOVIE 地球の大自然 FASCINATING NATURE」は、欧州で制作されたフィルムによる映像だそうだが、おそらくフィルムの状態が良くないのだろう。解像度が明らかに低い。
一方、「夜桜」はHDCAMでの制作とのこと(残念ながらフルHDのプログレッシブが可能なHDCAM-SRではない)。暗いシーンなどでCCDのゲインアップが原因と思われるノイズの浮きはあるが、全体に解像感が高く、階調も豊富。実にクリアな映像だ。撮影時にフィルターを入れているようで、少しふんわりとソフトフォーカスに似た効果を入れているため甘く感じる場面もあるが、実に現実感がある。強調感のないHDMI出力の方がよく、アナログ接続では桜の花びらがザワザワとうるさくなる。
現時点で画質を評価するならば、この作品を用いる以外に方法はなかろう。圧縮品質も大変いい。しかし、「夜桜」の画質が、すなわちHD DVDの画質というわけではなさそうだ。
変わりゆく“画質”の切り口
「夜桜」をHDMI経由で見た場合でも、若干ではあるがノイズを感じることはある。スクリーンに近づいて見ると、H.264圧縮時発生したMPEG系の歪みではなく、どうやらHDCAMのダビングあるいは撮影時に記録する際に発生しているノイズのようだ。またほかのHD DVDタイトルに比べると高解像度な夜桜だが、フル画素を使い切っているというわけでもない(実際、HDCAMは横方向1440ピクセル分の解像力しかない)。
それもそのはずで、圧縮コーデックはH.264の24Mbps固定ビットレートを採用しているとのこと。実際には、これだけ固定でビットが割り当てられていると、H.264ではビットが余っている時間帯も多いはず。圧縮歪みはほとんど見えない。
つまり、「夜桜」の場合は撮影やダビング時に利用している機材の方がボトルネックになっているのである。このタイトルの制作に関わった関係者は「HDCAM-SRでテロップなどをほとんど入れず、そのままのマスター品質をH.264で圧縮すれば、それこそスーパーなHD DVDができあがるでしょう。そうした映像も見られるよう、準備をしたい」と話した。
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