麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」
大画面時代のスピーカーの選び方(3/4 ページ)
――音楽・映画、両方に使えるスピーカーが必要になってきたわけですね。
麻倉氏: ここ20年ぐらいのスパンで考えてみると、80年代後半から映像化の波がきて、スピーカーが大きく変わってきたな、と感じました。それまで音楽再生を目的に原音再生を求めていたスピーカーが、90年代にはいって質的な転換を図り始めました。
音楽が入ってきたときは忠実に音楽を再生し、映画の音が入ってきたときはリアリティのあるシネマサウンドを聴かせてくれる。多様性が生まれ、表現力が格段に上がってきた“バーサタイル”なスピーカーが最近は増えてきました。
――“バーサタイル”なスピーカーの製品例を具体的に挙げてもらえますか。
麻倉氏: 今年イチバン感動したのがイギリスの名門 KEFの5.1chスピーカーシステム「KHT3005G」です。これの前モデルとなる「KHT2005.2」も素晴らしい音を出していたのですが、「KHT3005G」はバーサタイル性がさらに向上しています。音楽の骨格感がしっかりして立ち上がりもよく、音楽を安定してゆるぎなくたのしめるだけでなく、映画の広大なダイナミックレンジを凄まじいリアルさで再現できる製品に仕上がっていました。特に剛性の高い音再現が素晴らしい。音の器量が大きくなりましたね。
もう1つは、やはりイギリスの名門 MONITOR AUDIOの「Gold Signature」シリーズ。このスピーカーは特に音楽再生能力を評価したいですね。微小信号をていねいにとらえ、音の歪みを抑えて透明感があり、なおかつ音楽が剛性感のあるものになっています。
最近のいいスピーカーの特徴は、単に2chとしてだけで終わらず、マルチチャンネルでのラインアップをしっかり用意して、システム展開している点です。5.1chとして聴く場合の重要なポイントは、音が移動したときに音色に不自然感があってはならないこと。フロント2chだけいいスピーカーでも、ほかのスピーカーとのミスマッチがあってはダメです。「Gold Signature」などは2chで良い音なのに加え、センター、リア、スーパーウーファーなどもちゃんと用意してシステム展開にも対応しています。ハイエンド製品でも、このようなシステム展開の動きが出てきたのが最近の特徴ですね。
――システムでなくても、マルチチャンネルすべてを小型で高性能なスピーカーで揃えるという選択肢もありますよね。
麻倉氏: それならELACがオススメです。ELACのスピーカーは、小型なのですが実に俊敏に反応してくれ、透明で同時に深い。音の練り上げ方が秀逸で、粒子感が細かいのです。今イチバンの注目は「330.3 JET」。JETというアルミツィーターが特徴なのですが、今回の製品は磁気回路がフェライトからネオジウムに変わって、さらに音質に磨きをかけました。
2chでの音楽の再生もいいのですが、小型筐体を生かしてマルチチャンネルのすべてを「330.3 JET」で揃えたサラウンドシステムは「こんな高品位なサラウンドがあったのか」というぐらい自然で、なおかつ剛性感・安定感があり、ユニットなりもせずに落ち着いて音が響く。いいスピーカーを均一に鳴らした時の喜びは、波面が均一になって安定したよどみないなめらかな感じに包まれるようです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
4
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
5
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
6
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
7
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
8
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
9
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR