日本最大の電子論文アーカイブ、NIIが公開
国立情報学研究所(NII)は6月2日、世界の主要な学術雑誌約1000誌・約280万論文の電子アーカイブを国公私立大学の図書館と共同で導入し、公開を始めた。従来のアーカイブと合わせ、約610万論文をネットワーク上で閲覧できる国内最大のアーカイブだとしている。
導入したのは、ドイツの学術出版社Springerと、イギリスのオックスフォード大学出版局が刊行する学術雑誌の電子アーカイブ。Springerは科学・光学・医学を中心に約200万論文、オックスフォード大出版局は人文科学系など約80万論文で、それぞれ19世紀半ばまでさかのぼれる。
大学図書館で構成する国立大学図書館協会・公私立大学図書館コンソーシアムと共同で導入した。料金交渉を団体で行い、ライセンス契約は各大学が学生数などに応じて行い、Springerは約100大学、オックスフォード大出版局は約50大学が導入した。
団体で交渉した結果、料金を安くすることができ、国立大の場合は平均でSpringerが約90万円程度、オックスフォード大出版局が約20万円前後という。契約は更新がなく、永久に有効だ。
通常のケースでは欧州のサーバにアクセスして閲覧する形になるが、今回はNIIのサーバにデータを格納することで安定的に利用できるようにした。契約した大学の研究者や学生、図書館の一般利用者は論文の本文(PDF形式)をすべて閲覧でき、それ以外の一般ユーザーもNIIの電子ジャーナルリポジトリ「NII-REO」から論文タイトルと抄録を検索可能だ。
大学の研究現場では論文の電子化が急速に進んでおり、最新の情報はネットワーク上で入手するのが主流。電子化は1990年代以降がほとんどだが、「ネットワーク上で論文を探して見つからないと、その情報は存在しないと考える風潮もある」(NIIの安達淳教授)。
新たに導入したアーカイブは世界有数の規模。150年以上の過去までさかのぼって検索でき、「学術価値の高い『知の共有財産』が、過去から現在までインターネットで切れ目なく利用できる」(安達教授)。さらに国内サーバに保存することで、安定的・恒久的な利用も確保できた。
NIIの坂内正夫所長は「研究活動は学術コンテンツに多くを依存しており、これをどう確保するかが非常に重要。今回は大学図書館との連携で導入を実現できた。今後の論文数の拡大に向けた方向性ができたのでは」と期待している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
3
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
4
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
5
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
6
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
-
7
NVIDIAやMicrosoftなど30社超、オープンAIの防御ツール共同開発の「Open Secure AI Alliance」設立
-
8
「あ、その情報メモしたい!」を叶えるワイヤレスイヤフォン、Nothing「Ear (3a)」
-
9
有識者はGoogleやX、Meta、ドワンゴを名指しで批判……総務省、偽広告や誹謗中傷に発信・拡散前の対策求める
-
10
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR