PC・携帯・HDDは「手放さない」──富士通・黒川社長
富士通の黒川博昭社長は6月9日、経営方針説明会を都内で開いた。PCや携帯電話、HDDなどの「ユビキタスプロダクトソリューション」部門は、自ら稼ぎ出すキャッシュフローの範囲内で投資-成長を続けられる事業体を目指し、事業環境の急激な変化にも対応できる体質を作っていく。
今期の同社連結業績見通しは売上高が5兆2000億円に対し営業利益が1900億円。営業利益率は3.7%と前期から悪化するが、設備投資による償却負担増や研究開発費の増額などで費用が600億円強増えるため。黒川社長は「投資をしなければ利益率が5%を超えるが、しっかり投資して次の成長を目指す」と自信を見せた。
- 富士通の2007年3月期業績目標
| 部門 | 売上高 | 営業利益(対売上高比率) | 設備投資 |
|---|---|---|---|
| 全社 | 5兆2000億円 | 1900億円(3.7%) | 3500億円 |
| テクノロジーソリューション | 3兆1800億円 | 1850億円(5.8%) | 1200億円 |
| ユビキタスプロダクトソリューション | 1兆1600億円 | 300億円(2.6%) | 300億円 |
| デバイスソリューション | 8100億円 | 350億円(4.3%) | 1800億円 |
PC、携帯、HDDは「手放さない」
ユビキタスプロダクトソリューション部門の今期目標は、売上高が前期比9%増の1兆1600億円に対し営業利益は同13%減の300億円。設備投資を前期の194億円から今期は300億円に増額するため、営業利益率は0.7ポイント悪化して2.6%となる。
他部門に比べ採算性は低く、競争も激しいが、黒川社長は「事業を手放すことを考えたことはない」と明言した。携帯電話事業については「『なぜ富士通は携帯電話をやっているのか』とよく言われるが、将来はPCとの融合製品につながっていくからだ」と話す。プラットフォームの共通化による開発の効率化やSymbian陣営との連携による開発コスト削減を進めながら、IP技術とWiMAXとの連携など「富士通らしいシーンを創出していく」とした。
2006年の携帯電話出荷は前年比3.3%減の350万台。PCはFujitsu Siemensと合わせ世界シェア5位(4%)となっており、今年の出荷台数見込みは前年から9.1%増の900万台。うち7割が海外だ。
HDDはノートPC向け2.5インチと企業向け3.5インチ&2.5インチでシェア2位と健闘しており、2007年度には1.8インチにも参入する予定(関連記事参照)。2006年の販売は同36%増の3400万台と予想。「シビアなビジネスだが、市場変動に対応できる体制で営業利益を出していく」(黒川社長)。
デバイスソリューション部門ではロジックLSIに特化。今期は300ミリウエハー・65/90ナノメートルの先端設備を強化するため、前期実績から56.5%増の1800億円を投じる計画だ。
カーナビ用3DグラフィックスチップやテレビPC用MPEGエンコーダで世界シェア1位の実勢を持ち、今後も画像処理やワイヤレス、セキュリティなどの分野に集中する。顧客の製品開発段階から協力してチップ開発を進める新しい仕組み作りを積極化する一方、製造能力の強化でチップ供給量も保障する。
半導体業界ではメーカー同士の連携が相次いでいるが、黒川社長は「顧客との新しい仕事の仕方を構築し、投資を回収するなど、今は自分で立って歩いていくことが大切だ」と否定的だ(関連記事参照)。
在庫削減による体質強化も継続的に進める。同部門の今期業績目標は、売上高が前期比14%増の8100億円、営業利益が同5%増の350億円。
同社の主力事業となる企業向けシステム構築・サービス部門「テクノロジーソリューション」では、海外事業の拡大と国内事業の収益力向上を図っていく。
黒川社長は「昨年は東証のトラブルで大変な迷惑をかけた。顧客のシステムを預かっている、という原点に帰る」と話し、特に国内では新規システム構築だけでなく、アウトソーシングなどによる既存システムの運用もビジネスのスタート地点として注力していく方針だ。
同部門の今期業績目標は、売上高が前期比7%増の3兆1800億円、営業利益は同13%増の1850億円。
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