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富士通45ナノ開発は“単独” 共同ファブには参加せず

» 2006年02月07日 21時46分 公開
[ITmedia]

 富士通の小野敏彦専務は2月7日開いた同社電子デバイス事業戦略説明会で、半導体各社が合従連衡を進めている45ナノメートルプロセス開発について、現時点では単独で進め、日立製作所・東芝・ルネサステクノロジが計画している共同ファブには「モデルが分からない」として現状では参加する考えがないことを明らかにした。

 小野専務は、45ナノの商品化は2010年ごろとする見通しを示した上で、メモリなら微細化、ロジックLSIなら新材料──と開発の方向性は7〜8種はあり、すべてを手掛ければ莫大な投資が必要になると指摘。「われわれは45ナノであろうとなかろうと製造を優先している。どこまでリスクを取って絞り込めるかということ」と話した。

 45ナノ移行時には「新ファブを建てると思うが、単独でやるのかどうかは分からない」とした。だが「45ナノを使いこなせる顧客がどれくらいいるのか。多くの会社にとっては負担できないだろう」と慎重な姿勢を見せた。3社の共同ファブについては「彼らのモデルが分からない。富士通の姿勢からすると、過去も現在も未来も加わることはないと思う」と述べた。

選択と集中で収益性が向上

photo 三重工場から届いた90ナノプロセスの300ミリウエハーを手にする小野専務

 かつてDRAMやPDPまで“フルラインアップ”で展開していた同社デバイス事業だが、2002年からはロジックLSIなどへの選択と集中を進める事業構造改革に取り組んできた。2005年度第3四半期、同事業の業績はPDP・液晶事業の譲渡を考慮すると、実質的に増収増益を達成した。

 先端プロセスによるカスタム品では、設計能力に加え、試作−評価−検証力の優秀さに自信を持つ。小野専務は「一度もやり直しをしない『一発完動』。ソフトをふくめほぼ100%やり直しをせず、顧客のスケジュールに合わせる点に最も魅力を感じてもらっている」と胸を張る。

 90ナノでは既に実績を上げており、現在は65ナノデザインの受け付けを始めた。おう盛な需要に対応し、同社は1月、1200億円を投じて300ミリウエハー対応工場を三重工場(三重県桑名市)に新設すると発表(関連記事参照)。新棟は2007年7月の量産出荷を計画しており、昨年から量産を始めた第1棟と合わせ、最大時には月産4万枚の生産能力を持つ。

 一方、130ナノメートルなどの枯れた技術を使ったマイコンやアナログなどの「基盤」デバイスも収益源として欠かせない。「これまではライン転換でせっかくの稼ぎ頭をつぶしてきた。他社と同じような投資をしても富士通が全然儲からないと言われてきたのはそのためだ」(小野専務)。シェアトップの車載ネットワーク向けマイコンといった汎用品は「Cash Cow」(金のなる木)として事業ポートフォリオの基盤に位置付け、適用領域の拡大を図っていく考えだ。

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