MSが去ったMac用仮想化市場、ParallelsとVMwareの激突の行方は?(1/2 ページ)
8月上旬に開催されたAppleのWorldwide Developers Conference(WWDC)では、Mac OS X Leopardが注目を呼んだが、このイベントを舞台にMac用仮想化市場では大きな動きがあった。ベンダー3社がともにリングに立ったのもつかの間、WWDC基調講演でMac信者の喝采がやむと、1社が自らいきなり倒れ込んだといった格好だ。
長年Mac用エミュレータを開発していた唯一の企業だったMicrosoftは、Virtual PC for Macの開発を打ち切ると突然発表した。この動きは、VMwareがMac市場に参入し、新興企業のParallelsがテリトリーを守るべく、メジャーアップグレードのロードマップを明らかにしたのと同じタイミングだった。
仮想化ソフト大手のVMwareは、Windows VistaをサポートするMac版VMwareのβを年末までにリリースし、Mac市場に進出すると発表した。
小規模企業でまだ創業1年に満たないParallelsは、VMwareの機先を制し、Vistaに対応するParallels Desktopの新バージョンの正式版を、VMwareによるβ提供前に出荷すると発表した。
だが、VMwareはWWDCで新製品プレビューとして、Mac Book Pro上で動作するMac版VMwareのプリβ上でWindows Vista βとAutoCADを稼働させるデモを披露した。VMwareのLinux版とWindows版がMac版のコアとなっているという。
「既にVistaの3D機能に対応済みだ」とVMwareの製品管理担当ディレクター、スリニバス・クリシュナムルティ氏は語る。「われわれの製品では2005年4月から、Vistaを動かすことができている」
VMwareとParallelsはいずれも、従来のVirtual PC for Macではほとんどサポートされていなかった、Macの標準機能であるUSB 2.0のフルサポートを提供すると約束している。両社はこの機能を将来バージョンに搭載する予定だ。また、VMwareは、Windows XPでWebカメラを使える機能も披露した。この機能は、USBサポート機能が不安定だったVirtual PCではほとんど望めないものだ。
「われわれは膨大なUSBデバイスをテストしている。われわれにはこうしたデバイスをサポートする体制がある」とクリシュナムルティ氏は語る。
一方、ParallelsはWWDCで、WebカメラやWindows Mobile 5.0デバイスを含むUSBデバイスのサポートを強化したマイナーアップグレードをリリースし、USB 2.0を年内にフルサポートすると表明した。
「われわれはUSBを本当にシームレスに使えるようにしようとしている」とParallelsのマーケティングマネジャー、ベン・ルドルフ氏は語る。
さらにParallelsは、VMwareが発表した機能それぞれについて、自社製品が同じ機能を提供することを示した。そうした機能の1つとして、VMwareがデモで紹介した、Intel Core Duoプロセッサの両方のコアをサポートするSMPへの対応がある。また、Parallelsのマイナーアップグレードでは、ハードドライブキャッシュの設定変更によってMac OS XとWindowsのどちらのパフォーマンスを向上させるかを選択できる。
ParallelsとVMwareは、機能セットについて異なるアプローチを取り、異なる市場セグメントに対応しようとしている。
MicrosoftがVirtual PC for Macで取った方針と同じように、Parallelsは、Windows環境とMac OS X環境の統合を軸としたユーザーレベルの機能に重点を置いている。Parallels製品の最初のバージョンでは、MacユーザーがMacのメニューバーからWindowsアプリケーションを選択できるようになっている。
また、Parallelsのマイナーアップグレードでは、Macキーボードの完全なマッピングがサポートされ、MacのCDイジェクトキーをWindows内から利用できる。
これに対し、VMwareが提供する仮想化の利用モデルは異なっている。VMwareは、ソフトウェアスイートをプリインストールした仮想マシンを提供し、IS部門によるテストや容易な導入を支援することに重点を置いてきた。VMwareはこのコンセプトをMacユーザーに提案しようとしている。
「MacユーザーはわれわれのVMTN(VMware Technology Network) Webサイトで、Windowsアプリケーションがプリインストールされ、仮想マシンとしてパッケージ化された250の仮想アプライアンスを入手できる」とクリシュナムルティ氏は語る。
しかし、VMwareのユーザーモデルは、Mac上では成り立たないようだ。Windows上では仮想マシンは、ユーザーが日常的に使用する主要なネイティブWindowsアプリケーションを稼働させることができる。
だがMacの場合には、このモデルが機能するとは考えにくい。VMwareは、Mac OS Xを仮想マシン上で稼働させることができないからだ。MacユーザーはMac OS Xとアプリケーションがプリインストールされた仮想マシンをロードすることはできない。
クリシュナムルティ氏は、VMwareの将来のバージョンが、IntelベースMac上でMac OS XをゲストOSとしてサポートするかどうかについてコメントを控えている。VMwareも、この問題が技術的なものなのか、Appleが禁じていることによるものなのかを明らかにしていない。Mac OS Xのライセンスでは、同OSをApple製以外のハードウェアで稼働させることは認められていない。
Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
グッスマ、顧客の2800人のカード番号全16桁+セキュリティコードなど流出か 下4桁は40万枚分
-
2
資さんうどん、従業員の退職理由などが外部から閲覧可能に 委託先の勤怠システムに設定不備
-
3
「PayPay連携の銀行から、お金全部盗られた」被害報告……原因と対策は? PayPayに聞いた
-
4
楽天カード、本人認証をワンタイムパスワードに統一 27年2月から順次
-
5
松屋の公式アプリとWebサイトが停止 不正アクセスを検知、モバイルオーダーや弁当予約も使えず
-
6
ベネフィット・ワンの委託先に不正アクセス セゾン会員向け優待サービスで約2.9万人分の個人情報漏えい
-
7
ANAの予約情報に不正アクセス、JALと同じ委託先経由で 個人情報をのぞき見た痕跡も
-
8
NEC、委託先の情報漏えいで謝罪 「セキュリティ事業を手掛ける企業として反省」
-
9
渦中のGMO、熊谷代表の発信は“火に油”か? 「経営トップが自ら広報」の功罪
-
10
ギターの「形」は誰のもの? ヤマハにも警告、Fenderが“ストラト著作権”で仕掛けた知財攻勢
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR