永山昌克インタビュー連載
使い心地にこだわった中級デジ一眼――「D80」の開発者に聞く(3/4 ページ)
ガラスプリズムのファインダーを採用
――従来機D70/D70sのユーザーからはどんな改善要望がありましたか?
中村氏:大きかった要望のひとつはファインダーの改良です。フィルムの一眼レフ機を使っていたユーザーにとっては、D70/70sのファインダーは小さくて見えにくい印象を受けます。そこで、D80ではファインダーの見やすさにこだわり、ミラー式ではなく、プリズム式のファインダーを採用しました。
若林氏:ファインダーには特に力を注ぎ、クラス最大倍率を実現しています。プリズムを使ったことはもちろんですが、接眼レンズにも工夫があります。通常の接眼レンズは、プリズムから出た光を3枚の樹脂レンズで目に届くようにしていますが、D80では3枚のうち1枚を特殊な材料を使ったガラスにしてファインダーの見やすさを高めています。D80のガラス関連はすべてD200と同じものです。
また、同じくファインダー関連では、スクリーンを交換せずに格子線を表示できることや、AFの測距点を通常は黒い枠で、暗い場所では赤く表示する「バリブライトフォーカスエリア」を採用している点もポイントです。どの測距点が選ばれているのか、半押しをせずに常時分かるのは当社ならではの工夫です。
――ファインダー以外にも、例えば液晶やAFのモジュール、CCDの画素数などもD200と同等ですね。D200との差別化は何ですか?
若林氏:D200はプロのサブ機としての使い方も想定しています。コマ速の速さや、耐久性の高さを実現するために、それなりの部材を使い、ボディがやや大きく重くなっています。シャッター速度に関しても、D200は最高1/8000秒、シンクロ同調1/250秒ですが、D80は最高1/4000秒、シンクロ同調1/200秒になっています。
シャッターというのはバネをチャージして動かしていますが、シャッター速度を高速化するほど大きなエネルギーが必要になり、チャージのためのモーターを大型化したり、シャッターの素材を頑丈なものにする必要があります。そうしたことの積み重ねによって、D200とD80のボディの大きさや重さに差が生じています。つまり耐久性を優先したのがD200で、D80は他社機に比べたら大きいという指摘もありますが、当社としては耐久性よりも小型軽量化を目指したカメラといえます。
撮る楽しみと撮った後の楽しみ
――D80の画像編集機能の狙いは何ですか?
中村氏:画像編集は、撮影後の楽しみ方のひとつの提案です。例えば、夕日をもっと赤くしたいとか、モノクロで撮りたいけどカラーでも残しておきたいといった、お客様の好みを類型化し、それをカメラ内で簡単に行えるようにしました。撮影したままのオリジナルデータは残しながら、さらに見栄えをよくしたり、作品としての価値を高めたりできます。従来は家に帰ってパソコン上で行っていた作業を、撮ったその場でカメラ内で適用できるのです。
若林氏:画像編集のひとつ「D-ライティング」は、単に暗い部分を明るくするだけでなく、ライティングの効果もかもし出せます。わざと暗く撮って、D-ライティング機能によって雰囲気のある描写にするなど、芸術感覚や遊び感覚で活用して欲しいと思います。
中村氏:画像編集のほかに、効果付きでスライドショー再生ができるピクトモーション機能も搭載しました。撮る楽しみはカメラの基本ですが、D80では撮った後の楽しみも重視しています。
――1020万画素CCDの採用は開発当初から決まっていたのですか?
若林氏:D70/70sの610万画素よりも、より高精細にすることは最初から決めていました。もちろんお客様からの声もありました。カメラの位置付けを考慮しつつ、データの扱いも手ごろということで、最終的には1020万画素CCDに決定しました。
――高画素化イコール高画質化と考えていいのでしょうか?
若林氏:まったく等価ではありませんが、画素が少ないところで高画質をうたうには現状では難しいと感じます。
中村氏:画素数と画質がイコールではないことは日ごろから言っているのですが、今の市場の流れの中では、画素数と画質が比例するという考え方がまだ残っています。しかもセンサー自体の性能は、高画素になりながらも画質的な進化を遂げています。さらにいえば、写真を趣味とするユーザーを想定し、A3ノビ判でのプリントを基準にした場合、600万画素クラスではやや厳しく、1000万画素なら十分といえます。これらを総合的に判断し、D80には1020万画素CCDを採用しました。
――今後、A3ノビ以上のプリンタが普及するとは思えませんが、そう考えると一般向けデジカメの高画素化は1000万画素あたりで一段落するのでしょうか?
中村氏:皆様がそう判断していただければいいと思うんですが……。最近はコンパクトデジカメでも1000万画素クラスが登場してきていますね。高画素以外に、高画質を示す表現をメーカーとしても打ち出す必要があると思いますが、今のところは高画素が高画質だという認識がまだまだあります。この先さらに高画素になるかは何とも言えませんが、現時点でこれがベストであることは確かです。
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