小寺信良
「非ケータイ」ネットワークの未来(1/3 ページ)
いわゆる「モバイラー」と言われる人たちの様相は、携帯電話の発達により急激に様変わりした。かつてPDAが全盛だった時代には、屋外でネットワークに接続するという発想はなかった。必要な情報をPCからモバイルデバイスに転送し、それをフィールドで参照する。あるいは新たに入力するということもあっただろう。そしてそれらの情報は、自宅やオフィスに帰って、母艦であるPCと同期する。その繰り返しであったのだ。
それ以降、外でも情報を出し入れするという時期もあった。デバイスにモデムや赤外線ポートが搭載され、公衆電話からアップロードまたはダウンロードするという風景も見られたものだ。だがそれらは一時期のことで、やがて廃れていった。ケータイ電話が広く一般のものになっていったからである。
ケータイの普及は、いろいろな状況を同時に一変させた。まず公衆電話が駆逐され、そこからモデムで接続するという方法が使えなくなっていった。さらにケータイは通話による連絡を行なうだけでなく、メールやスケジュール管理機能も搭載し、PDAというデバイスそのものを駆逐していった。ケータイをモデム代わりにしてPDAを接続するという利用法もないではないが、機能的に大差ないデバイスを2つ使い続ける意味はない。
現在、ケータイをモデム代わりに使う接続というのは、ほとんどPCが相手である。これは、ケータイでは機能的に無理な情報のやりとりを行なうために使用されている。例えば画面サイズ的に無理であったり、PC専用の情報サービスを使いたいからという理由からである。
どこでも実用速度で繋がる快適さ
筆者は早い段階から、PHSのユーザーであった。それは通話エリアが問題ではなく、もっぱら通信速度の問題を重視していたからである。最後に使用したのはW-ZERO3であったが、魅力を感じなくなって、やめてしまった。W-ZERO3でWebブラウジングを行なうこともあったが、PC向けサイトを表示するには速度面で難がありすぎた。またPCにUSB接続してモデムとして使用する場合、定額ではなく別料金(USB接続用の定額制プランが用意されている)となるのも不満であった。
代わりに使い始めたのが、イー・モバイルである。下り最大3.6Mbpsという高速通信が魅力だ。スマートフォンタイプの「EM・ONE」も検討したのだが、実際に店頭などで試してみると、通信速度の割にはブラウジングの快適さがない。そこでPCカードタイプの「DO1NE」を購入した。現在イー・モバイルでは音声通話をサポートしていないので、目的と端末の価格を考えればこれで十分である。
実際にイー・モバイルを使い始めて一番大きく変わったのが、移動中の電車の中が事前調査タイムに変身したことだ。これまで取材やインタビューに行く場合、相手のことや対象製品のことは、前日に調べておく必要があった。だがその作業が当日で済むようになったのは、効率という意味で大きい。
地下鉄ではなく地上鉄(っていうのかな)であれば、走行中でもほぼストレスなく使える。またインタビューの途中、わからない語句が出てきたときも、その場ですぐ調べることができる。相手の話の腰を折らずに、取材が続けられるのも大きなメリットだ。ケータイ電話回線を使うMbpsクラスの高速通信はまだ始まったばかりだが、ストレスフリーの実効速度が出ることから、今後のモバイルの在り方を変えていくだろう。
イー・モバイルの通信カードに快適性を感じるのは、おそらくそれをコミュニケーションに使ってないから、と言えるかもしれない。ただメールを確認するだけのために、わざわざノートPCを開いてダイヤルアップするようでは、コミュニケーターとしては失格である。その点で、ちょっと確認するためのデバイスとしてのケータイ電話の価値は、揺るがないだろう。
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