山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」VOL4
「硫黄島からの手紙」とヤマハ「DSP-Z11」のCINEMA-DSP HD3(1/3 ページ)
この冬のAVシーンで注目すべきトレンドの1つに、AVアンプ市場の活況が挙げられる。とくに高級機ゾーンが面白い。と言うのも、BD ROMやHD DVDのハイビジョン・パッケージソフトに、リニアPCMマルチチャンネル音声や圧縮・解凍時にデータ欠落の生じないロスレス圧縮音声、すなわちドルビーTrue HDやDTS-HD MA(マスターオーディオ)などの“HDオーディオ”と呼ばれる超高音質なサラウンドサウンドが収められるようになり、それら高級機がこぞってそのHDオーディオ用デコーダーを積んできたからである。つまり、プレーヤー(やレコーダー)からのHDMI Ver1.3ビットストリーム出力を受けて、AVアンプで超高音質サラウンドサウンドを圧縮解凍することが、この冬から可能になったというわけだ。
BS hiやWOWOWなどで、画質のよいハイビジョン・プログラムがふんだんに空から降ってくる世界唯一の国・ニッポンにおいては、BDやHD DVDのパッケージソフトならではの魅力を、ぼくはこの音質のよさに求めたくなる。
実際、わが国のハイビジョン放送に採用されている圧縮・解凍時に情報欠落が生じるロッシーコーデックのAAC音声で収録されたものと、ロスレスHDオーディオで収録された同一作品のBDソフトを聴き比べて、その音質差にはげしく驚かされたことがある。それは、それなりのサラウンド再生環境を整えてみれば、誰にでも分かる“違い”である。
そんなわけで、この秋以降各社から発売されたHDオーディオ対応AVアンプを一通りチェックしてみたが、さすがに気合の入った仕上がりの製品が多く、1980年代半ばのドルビーサラウンドの提案から幾星霜、21世紀にふさわしい本格的なハイファイ・サラウンド時代が到来したことが実感できる。そこで、本連載では3回連続で、HDオーディオに対応した3社の旗艦モデルそれぞれの魅力について述べてみたいと思う。
まずトップバッターは、ヤマハ「DSP-Z11」である。ヤマハは1980年代から世界中の音がよいとされるホールの音場データを採取し、リスニングルームにその響きをそのまま、または加工して付加する独自の音場創成技術「DSP(デジタル・サウンドフィールド・プロセッサー)」を提案、90年代以降はそれをドルビーサラウンド等と掛け合わせる「CINEMA-DSP」に発展させ、世界中に数多くの熱心なヤマハAVアンプ信奉者を生み出した。
本機DSP-Z11は、20年以上にわたって音場創成技術を磨いてきたそのヤマハが、「HDオーディオ時代のリファレンス」を目指して完成させた、この冬注目のフラグシップモデルである。
とくに本機で興味深いのは、サラウンド&サラウンドバック用スピーカーの他に、フロントプレゼンス用スピーカーとリアプレゼンス用スピーカーを加えた「シネマDSP HD3(キュービック)」の提案。つまり、7.1chシステムにプレゼンス用スピーカーをフロントとリアに2 本ずつ加えた11.1ch再生である(サブウーファーを2基設置する11.2ch再生も可能)。実際にその再生環境を整えて聴いてみると、この音がほんとうに素晴らしい。
さまざまなプログラムソースを「シネマDSP HD3 」で試してみたが、とくにその音に深く感動したのが、ドルビーTrue HD 音声で収録されたBD「硫黄島からの手紙」である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
4
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
5
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
6
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
7
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
8
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
9
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR