薄型テレビに合う一体型サラウンド特集
手軽さを絵に描いたような軽量システム、デノン「DHT-S5」(1/3 ページ)
ブラウン管テレビに対するフラットテレビのメリットは多い。薄型化による設置の自由度や重量の低減、映像のフォーカス感の向上などが挙げられるだろう。しかしながら、わずかだがデメリットも存在する。価格に関してはすでに解消済みの域に達しているが、残念ながら音質に関しては、ブラウン管テレビ時代に勝るものは全くといっていいほど見たことがない。
それはある意味仕方のないことでもある。スピーカーは、磁石とボイスコイルを使って振動板を揺らして音を再生するという、誕生以来100年近くにわたって基本的な機構の変わらないレガシーなシステム。クルマのワイパーと同じように、それに取って代わるものを多くの人が探しているが、いまだに有効な手段が見つからない難物なのだ。
その扱いも難しく、リスナー側にある程度の空間が必要となるばかりか、負圧のかかる後方に対してもスペースが必要となる特徴がある。そのために、薄型化を実現したフラットディスプレイとはどうしても相性が悪く、音に関してはかなりの妥協を強いられてしまう。そういった環境のなか、フラットディスプレイにも何とかまともな音の出るスピーカーを取り付けようとするメーカー技術者の努力には、本当に頭の下がる思いだ。
しかしながら、どんなに新技術を投入しても音質向上の幅はたかがしれている。コストを度外視すれば話は別だが、ディスプレイにとって最も重要なポイントは画像。それ以外は妥協せざるを得ない状況もある。
そういった現実問題を鑑みるに、現在もっとも妥当なプランといえるのが、ディスプレイとスピーカーを別に用意することだ。いままで一緒だったのだからと、一体型を前提に、両方にいままで以上のクオリティーを求めるから無理がくる。別体型でそれぞれに都合の良い形を追求したものを求めれば、最も合理的にコストとスペースを配分された“フラットテレビシステム”を手にできるはずだ。
けれども「本格的なAVアンプはちょっと……」という人も多いだろう。価格もさることながら、リビングにスピーカーを5個も7個も置くのは難しいという意見ももっともだと思う。
そんな人たちに紹介したいのが、各社から発売されている一体型サラウンドシステムだ。2チャンネル+サブウーファー、もしくは5チャンネル+サブウーファーとパワーアンプを搭載しながらも、デジタルサラウンド技術を利用することで一体化ボディを実現したそれらの製品は、手軽に音質をグレードアップできるという点で大きなメリットがある。また最新の製品は、奥行き方向に薄いボディが採用されており、薄型テレビとの組み合わせもバッチリ。映画などのサラウンド音声も、それなりに楽しむことができるようになっている。
今回は、6~10万円前後の製品から4機種をピックアップ。野村お手製の「6畳間極小ホームシアター」に持ち込み、実際のユーザビリティと音質的な実力を徹底的にチェックした。
| メーカー | 型番 | 発表記事 |
|---|---|---|
| デノン | DHT-FS5 | デノン、ワンボディのホームシアターシステム「DHT-FS5」 |
| ソニー | RHT-S10 | ソニー、ブラビアリンク対応のホームシアターシステム |
| ヤマハ | YSP-3000 | ヤマハ、“リアル5.1ch”の中級モデル「YSP-3000」発表 |
| マランツ | ES7001 | マランツ、アンプ一体型フロントサラウンドシステム“シネマリウム”発表 |
まずは2月上旬に発売されたばかりのデノン「DHT-FS5」から紹介しよう。
製品の特徴
DHT-FS5は、音波を室内に幅広く放射することでフロント左右やセンター、リア左右から音が聞こえてくるという「X-SPACE SURROUND」技術を採用している。内蔵アンプの出力は25ワット×4+50ワットだ。
その特徴は、まず取り回しの良さだろう。6つのスピーカーを内蔵して5.1chサラウンドを実現しながらも、幅75センチというコンパクトサイズを実現している。高さ、奥行きに関しても12~14センチ程度しかなく、重量も5.1キロと比較的軽い部類にはいる。付属品を利用することで壁掛け、床置きの両方に対応できるため、設置場所に困ることはないだろう。
入力は光デジタル×2、同軸デジタル×1,アナログ×1の4系統が接続可能。またもっと迫力ある低音が欲しいという人のために、サブウーファー用の出力端子が用意されている。いっぽうで、HDMI端子は未搭載。こちらは次世代モデルでの対応に期待したいところだ。
搭載スピーカーはフルレンジ8センチコーン型が6個。口径的には決して大きいとはいえないが、フラットディスプレイ内蔵のスピーカーの比べれば夢のようなサイズだ。逆にこのようなコンパクトボディにそれだけの数をレイアウトよく配置したこと褒めるべきだろう。
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