「ニコ動」ドワンゴ会長がJASRACシンポに 著作権やビジネス語る(2/2 ページ)
「ネットに出せば宣伝になるケースもあるだろうが、それ以外のケースで、ネット側は、コンテンツホルダーに対してもうかる仕組みを提案できていない。それなのに『コンテンツはフリーであるべき』というよく分からないスローガン的なものがまん延している。悪く言えばIT業界(動画配信インフラを持ち、テレビ番組の安価なネット配信などを要求する企業など)は、理由を付けてコンテンツをタダでだまし取ろうという傾向があると思う」
過去の人気番組をネット上に流すべき――という議論も活発だ。だが川上会長はその議論にも違和感を持つ。「いまある番組アーカイブをネットに流すのは、過渡期に業界を広げていく際には必要と思うが、それはコンテンツホルダーに関係ない話。『出せ』とは言えない」
テレビ向けコンテンツとネット向けコンテンツを切り分けた上で、ネット側は、コンテンツホルダーがお金をかけて制作してもペイするような新たなビジネスモデルを提案する必要があると語る。
「ニコニコ動画で流行るべきコンテンツや、権利者がネットに出すべきコンテンツは『昨日のテレビ番組』とは違う物にならないといけない。ネット用の動画も公開されているが、テレビより少ない予算で作られた『テレビの劣化コピー』になってしまっている」
「ネットというメディアで、ビジネス的に成り立って、かつ面白い、というものは、今はない。それを作っていく作業が重要」
ニコニコ動画はもうかっていない
ディスカッションでは、テレビ広告市場をネット広告が食っている――という議論もあった。川上会長は「テレビ広告がネットに来るならビジネスはそれなりの規模になるだろうが、ネットは広告売り上げも小さい」と実感を述べる。
「当社の携帯電話向け着うたサイトは、1位のレーベルモバイルにはるかに引き離された2位グループだが、月間で15億円売り上げている。ニコニコ動画は2007年に最も流行したネットサービスだったと思うが、月間の収入(広告、有料課金含む)は1億円ちょっとだ」
コピーではなくサーバに課金せよ
ネットコンテンツでもうけることはできないのだろうか。川上会長は「まだ議論されていない視点がある。ユーザーの満足度に対して課金すべきだ」と持論を展開する。
川上会長によると、コンテンツのコピーに対する考え方は、今の若者と以前とではまるで違うという。「僕たちが子どものころは、買ってきたCDやゲームを友人に貸していた。CDゲームを買った人はヒーローで、買ったことを自慢できた」
「でも、今の中高生に聞いてみると、どこかからタダでコピーを持ってきた人がヒーロー。コピーを見つけられなかった人は仕方なく有料サイトでダウンロードする。コンテンツにお金を払う人は“負け組”」
そもそも「DRM付きのコピーを販売する」というデジタルコンテンツのビジネスモデルに無理があると川上会長は指摘する。「デジタルコンテンツは、コピーに対してDRMを付けて課金しているが、100%完璧なDRMはない。DRMが破られると、コピーされてしまう」
では、どうやってもうけるのか。川上会長は「サーバ上の権利」に対して課金すべきと話し、それを実行しているのが中国のオンラインゲームと米Appleだと説明する。
「中国はコピー天国で正規版のゲームが売れないが、中国で唯一成立しているのはサーバ型のオンラインゲーム。サーバはコピーができない」
またAppleのiTunes Storeで購入した楽曲は、複数のPC上で楽しんだり、iPodに転送したりできる。「権利を購入すればいろんなところに使える。お金を払った人が勝ち組になる」
P2Pは「効率が悪い」
会場からは「P2Pファイル交換は今後どうなっていくか」という質問があった。ニコニコ動画には、「バックボーンにP2Pを活用しないか」という提案も来るという。だが「P2Pは回線の利用効率が悪い」と川上会長は指摘する。
「Winnyはユーザー数が少ないのに、日本のネット回線のトラフィック量に占める割合は大きい。今の規模のニコニコ動画をP2P上でやると日本の回線は破たんする。少量で利用するなら回線の有効活用になるが、みんな使うような主流のインフラにはならない」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
GMO、ランサム被害にあった顧客に新しいPC提供へ 犯行グループは1人の顧客情報公開か
-
2
資さんうどん、従業員の退職理由などが外部から閲覧可能に 委託先の勤怠システムに設定不備
-
3
NECのルータ「Aterm」、PHP脆弱性の影響なし 設定画面URLの「.php」は無関係
-
4
GMO、不正アクセス実行犯の手がかりに懸賞金 1億5000万円規模
-
5
auメールで朝から障害 全国で利用しづらい状況に
-
6
「楽天トラベル」に不正アクセス 顧客情報最大約260万件など流出か 予約者約3.6万件のクレカ情報も
-
7
メアドを検索→AIで“その人専用フィッシングメール”を生成する手法、クリック率が約2.7倍に 7000人以上で実験
-
8
GMO不正アクセスの犯人サイト、ドメイン停止を確認
-
9
GMO、攻撃者の公開情報に「アクセスは絶対に控えて」 悪質な拡散者には法的措置を準備
-
10
Google、プライバシーポリシーに「Gmail」「Googleフォト」のデータを広告に使う例外を追加 回避方法は
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR