iPod課金は「消費者への不合理な負担」「受け入れられない」──JEITAが見解
私的録音録画補償金と「ダビング10」をめぐる問題で、エレクトロニクスメーカーの業界団体・電子情報技術産業協会は5月30日、見解をWebサイトで公表した。
補償金制度は縮小・廃止が原則だが、文化庁が提出した案はその道筋が見えない上、権利者の経済損失を直接生じさせないタイムシフト・プレイスシフトが目的のiPodなどの機器を補償金の課金対象に拡大するもので、消費者に不合理な負担を強いるものとして受け入れられない──とした。
ダビング10は予定通りに実施すべきだが、ダビング10は技術的に複製回数を制限するものであり、対応HDDレコーダーなどを補償金の課金対象とすることは容認できない、としている。
iPod課金は「制度の趣旨に照らし合理性はない」
補償金問題についての見解では、まず制度を「私的複製が際限なく行われることで権利者に重大な経済損失が生じる場合に、それを補償しようとするもの」と定義。その上で、デジタル化が進めばコンテンツ利用のコントロールが容易になり、補償金制度の必要性は「反比例的に減少する」と指摘。従って補償金制度は縮小・廃止が原則、という立場だ。
5月8日に文化庁が示した提案は、補償金制度を縮小・廃止する方向を打ち出したが、携帯オーディオプレーヤーやHDDレコーダーなども課金対象に含めるとした。JEITAによる文化庁案の評価は、「今後の補償金の縮小・廃止の方向性は示されたものの、その道筋が見えないばかりでなく、当面はむしろ補償金の対象を制度的に拡大していくことが示された」というものだ。
課金対象として追加される携帯プレーヤーやHDDレコーダーは、コンテンツを視聴する時間や場所を移す(タイムシフト・プレイスシフト)ために録音録画するのが主な目的であり、「権利者の経済的損失を直接生じせしめるものではない」。例えばCDから携帯プレーヤーへの録音は、別なところで聞くための録音であって、権利者に大きな経済的損失を与えていない。DRMがかかった有料ネット配信で音楽を購入したユーザーは、購入代金とプレーヤーの補償金を二重に支払うことになる、とJEITAは従来から主張してきた。
このため、JEITAとしては「こうした機器を補償金の対象とすることは制度の趣旨に照らし合理性はなく、従って消費者に不合理な負担を強いるものであるため、受け入れられない」と、文化庁案を否定した。
「権利者が、ダビング10とは関係ない補償金の拡充をあわせて一体的措置を求めた」
ダビング10については、情報通信審議会(総務相の諮問機関)傘下の検討委で「権利者、放送事業者などの関係団体が合意したもの。消費者がよりコンテンツを楽しめることができるようにする方策であり、JEITAとしても決定通りに実施すべきものと考える」と賛成の立場。運用開始日を確定するようDpa(デジタル放送推進協会)などに働きかけてきたという。
だが「ダビング10の問題を補償金の問題と一体化した議論が一部で行われ、ダビング10の予定通りの実施に向けた作業が進んでいないことは残念」と、課金対象の拡大をダビング10実施の前提とした権利者側の姿勢を批判。ダビング10の延期は「権利者が、ダビング10とは関係ない補償金の拡充をあわせて一体的措置を求めたことも一因」とした。
ダビング10は、番組をコピーする回数を技術的に制限するものであり、補償金制度の原則から考えれば、「一般論として補償金の対象とすべきではない」。このため、JEITAとしては「ダビング10機器を課金対象とすることは反対であり、特にHDDレコーダーを対象とすること、デジタル放送に着目して課金することは容認できない」とした。
「引き続き補償金の議論に主体的に参加」
ダビング10が当初予定していた6月2日にスタートする可能性はほぼなくなっている。メーカーとしては北京五輪に向けてレコーダー需要の拡大を期待していたところだが、買い控えが始まっているのではないかという懸念を感じている、という(ダビング10先送りで「五輪商戦」に水? メーカー板挟み)。このため関係機関などにダビング10の早期開始を「引き続き強く働きかけていく」としている。
補償金問題については、「権利者に適正な対価が支払われるべきことは当然だが、デジタル化でコンテンツのコントロールが容易になっていく中、消費者の負担をどうすべきか、総合的な議論が必要」と指摘。「消費者の意見や利便性に最大の注意を払いつつ、デジタル技術の進展、コンテンツ産業の育成など総合的な視点から、引き続き補償金の議論に主体的に参加していく」としている。
補償金とダビング10の問題をめぐり、権利者側は「メーカーは“ちゃぶ台返し”だ」などとJEITAなどの姿勢を批判しており、JEITAが見解を明らかにしたことで、両者の溝は深まりそうだ。
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