NVIDIA、携帯ネット端末市場でIntelと激突
米NVIDIAのモバイルビジネス事業部門のジェネラルマネジャー、マイケル・レイフィールド氏がMID(モバイルインターネットデバイス)の将来性を検討していて思うのは、この分野が可能性を秘めた5億ドル未満規模の市場、いわゆるゼロビリオンダラー市場なのではないかということだという。
レイフィールド氏の見解には確かに一理あるかもしれない。MIDは6月初旬に台湾で開催されたCOMPUTEX TAIPEI 2008カンファレンスでも大いに注目を集めたにもかかわらず、今のところ、MIDの市場ははっきりとは確立されていない。だが、この分野に将来性があるのは確かだ。そしてNVIDIAとその強力なライバルであるIntelはそれぞれ、この市場を明確に定義する最初のベンダーとなることを目指している。
NVIDIAはCOMPUTEXにおいて、初めてのMID向けのプラットフォームとして新プロセッサファミリー「Tegra」を発表した。同プラットフォームには、ARM11 CPUのほか、超低消費電力のGeForce GPU(グラフィックス処理ユニット)、イメージプロセッサ、高精細(HD)ビデオプロセッサなどが実装されている。一方のIntelは今年、「Atom」プロセッサを発表している。Atomは「Silverthorne」という開発コード名で呼ばれていたもので、Intel Architectureと新しいチップセットを併用するx86プロセッサだ。
両社は目下、それぞれ自社プロセッサを採用したMID製品の第1弾を2008年下半期中にベンダー各社に製造してもらうべく、激しい競争を展開中だ。ただしレイフィールド氏によると、本当の意味での勝負は2009年下半期にIntelとNVIDIAがそれぞれ新版を投入するときまで持ち越されることになりそうだ。
今のところ、NVIDIAが照準を合わせているのは、Wi-Fi、WiMAX、3Gのいずれかを介してインターネットに接続し、4~12インチのディスプレイを搭載する199~250ドル程度のデバイスだ。恐らくこうしたデバイスの多くはコンシューマー市場に投入されることになるのだろうが、200ドル前後の価格帯であれば、メールやVoIPなど各種の用途でエンタープライズ市場にも受け入れられるかもしれないとレイフィールド氏は考えている。
レイフィールド氏は米カリフォルニア州サンタクララのNVIDIA本社で取材に応じ、「ARMベースのTegraプラットフォームはMIDが市場で成功する上で必要となるであろうバッテリー持続時間を提供し、その一方では、ビデオ、ゲームのほか、メールや表計算といった軽量のプロダクティビティアプリケーションもサポートする」と語った。
「デバイスが2時間しか稼働しないようでは、収益性の高い市場の構築は見込めないだろう。2時間ごとに充電しなければならないようなデバイスは誰も望んでいない」と同氏。
またTegraプラットフォームがARMプロセッサをベースにしているということは、NVIDIAがMID市場とスマートフォン市場を自由に行き来できるということでもある。実際、同社は今年に入り、スマートフォン向けのアプリケーションプロセッサ「APX2500」をリリースしている。こうしたクロスオーバーは双方の最良の要素を組み合わせた興味深い製品の登場につながる可能性もある。
「何十億ドル規模に成長する可能性のある市場だ。正しく取り組めば、何十億台ものデバイスが市場に投入されることになるかもしれない。スマートフォンがナビゲーションデバイスと統合され、それが今度はMID端末と統合されるといった具合に進めば、非常に巨大な市場になるだろう」とレイフィールド氏は語っている。
一部のアナリストはこうした見通しに賛同しており、また一部からは、IntelがAtomプロセッサの熱設計枠をAppleの「iPhone」などのスマートフォンだけでなくMIDでも使えるレベルまで抑えるのにはまだしばらく時間がかかるだろうとの意見も聞かれる。
だが一部のIntelプロセッサは既に1ワット以下の熱設計枠を提供しており、NVIDIAもARMプロセッサによって1ワット以下の熱設計枠のプラットフォームを提供している。また一部の業界観測筋は、Microsoft WindowsかLinuxがフルにサポートされるのであれば、アプリケーション開発者はIntelのx86ベースの方がコードの開発が楽だろうと指摘している。
今のところ、TegraはWindows CEとWindows Mobileをサポートしている。レイフィールド氏によると、将来的にはLinuxのサポートも追加される見通しだが、「大半の消費者はWindowsベースのデバイスを望むだろう」と同氏は語っている。またサードパーティーのアプリケーションに関しては、Windows上に構築できるほか、ハンドヘルド端末用のオープンAPIセット「OpenKODE」を使ったソフトウェア開発も可能という。
Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
4
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
5
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
6
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
7
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
8
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
9
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR