デジモノ家電を読み解くキーワード
「MOS」――CCDでもCMOSでもない、もう1つの撮像素子
もう1つの撮像素子「MOS」
いわゆるデジタルビデオカメラは、搭載した撮像素子(イメージセンサ)の種類により2つに大別することができる。1つはCCD(Charged Coupled Device)、もう1つはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)だ。ビデオカメラにおいて前者は製造コストは高いが高感度・低ノイズなため高級機に、後者はCCDに比べ感度はいまひとつだが低コストなためエントリー機に、と使い分けられることが多かった。しかし、近年ではこの住み分けの構図が崩れつつある。
撮像素子「MOSセンサー」の出現は、その変化を語るキーワードの1つだ(半導体としてみればMOS自体が目新しい訳ではない)。CCDとCMOSの「いいとこ取り」を実現するMOSセンサーは、すでにデジタルビデオカメラやデジタル一眼レフカメラにも採用が進んでいる。今回は、パナソニックの「νMicovicon」をベースとしたMOSセンサー搭載機を例に、その利点を見てみよう。
「いいとこ取り」はHDビデオカメラに最適
6月に発表されたパナソニックのデジタルビデオカメラ「HDC-SD100」「HDC-HS100」は、有効52万画素(動画撮影時)の1/6型MOSを3基搭載している。3基のCMOSセンサー(3CMOS)を搭載したデジタルビデオカメラはこれまでも販売されているが、AVCHD対応の「3MOS」ビデオカメラは世界初だ。
本製品に搭載されているMOSセンサーの利点は、CMOSに比べ約2倍とされる受光部の面積と、CMOSなみの低消費電力にある。RGBという光の3要素をとらえるには、それぞれの要素に特化した撮像素子を用意すること(3板式)がベターとされ、CCD方式の場合は「3CCD」として実現されていたが、消費電力の多さが懸念されていた。3MOSならば、センサー面積を小さく保ちつつ、ダイナミックレンジの確保と消費電力節減を達成できる。画質と連続撮影時間の両立が求められるHDビデオカメラに適した技術といえるだろう。
デジタル一眼レフでライブビューを実現「Live MOS」
νMicoviconの技術を利用したMOSはデジタルカメラにも利用されている。2006年発売のオリンパス「E-330」に採用された「Live MOS」がその一例だ(E-330のLive MOSはパナソニックとオリンパスの共同開発)。
画像を液晶に表示し続けるライブビューは、消費電力増大と発熱によるノイズの発生により、デジタル一眼レフでは困難とされていた機能だが、CCD並みの高感度とCMOS並みの低消費電力を併せ持つLive MOSにより、オリンパスは他社に先駆けての実装に成功している。後継機のE-410/E-510には改良版が搭載されるなど、今後の進化が期待される。
執筆者プロフィール:海上忍(うなかみ しのぶ)
ITコラムニスト。現役のNEXTSTEP 3.3Jユーザにして大のデジタルガジェット好き。近著には「デジタル家電のしくみとポイント 2」、「改訂版 Mac OS X ターミナルコマンド ポケットリファレンス」(いずれも技術評論社刊)など。
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