デジモノ家電を読み解くキーワード
「IrSimple」――進化する赤外線通信
赤外線通信のメリット
現在も第一線で活躍するワイヤレスプラットフォームといえば、「赤外線通信」だろう。テレビやビデオのリモコン用として数十年にもおよぶ実績を持ち、PCやデジモノ家電の分野でも「IrDA」などの規格で長年利用されている。携帯電話でアドレスや写真を交換するときに用いる通信方式も、そのほとんどは赤外線通信だ。
よく耳にする「IrDA」は赤外線通信とイコールではなく、業界団体の「Infrated Data Association」により定められた赤外線を利用する通信規格であり、数種類の規格が制定されている。最初の規格(SIR)は、ノートPC間のファイル転送を主目的として採用され、やがてPDAなどの携帯端末にも普及した。
IrDAが普及した理由は3つ、「標準規格」と「ワイヤレス」、そして「低消費電力」だ。IrDAの場合は世界共通の通信手順(プロトコル)が定められており、メーカー間を越えた通信を容易に実現できる。また、通信ケーブルは不要であり、1メートル程度であれば離れた位置でも利用できる。消費電力が少ないことも、ノートPCやPDA、携帯電話など携帯端末での採用に有利に働いたといえる。
プロトコルの改良で高速化した「IrSimple」
しかしコンテンツの大容量化など状況の変化により、赤外線通信にも一層の高速性が求められるようになった。そこでNTTドコモとシャープ、ITXイー・グローバレッジ、早稲田大学が共同開発した規格が「IrSimple」だ。
IrSimpleは、従来のIrDAデータ通信方式を見直すことで高速化を実現している。規格のうちソフトウェア層のみ改良をくわえているため、ハードウェアをほぼ変更することなく利用できるのがポイントだ。
従来のIrDAでは通信を開始する際、相手デバイスを発見し接続を確立するまでに時間がかかり、それを繰り返すことがトータルの速度低下を招いていたが、IrSimpleではその手順を大幅に効率化。特に写真などの大容量データを高速に転送できるようになった。ソフトウェアの変更で対応できることに加え、2005年にはIrDAによって標準規格化されたこともあり、今後も一層の普及が見込まれる。
実際、ここ数年でIrSimpleに対応したデジモノ家電は急速に増えた。デジタルカメラに携帯電話、プリンタなど、赤外線通信に対応した機種であれば、IrSimpleをサポートしているどうかチェックしてみよう。
執筆者プロフィール:海上忍(うなかみ しのぶ)
ITコラムニスト。現役のNEXTSTEP 3.3Jユーザにして大のデジタルガジェット好き。近著には「デジタル家電のしくみとポイント 2」、「改訂版 Mac OS X ターミナルコマンド ポケットリファレンス」(いずれも技術評論社刊)など。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
4
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
5
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
6
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
7
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
8
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
9
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR