「GREEやモバゲーとは違う」 笠原社長が語る、mixiアプリの「ソーシャル性」
「GREEやモバゲータウンのゲームと混同されることが多いが、mixiアプリは明らかに、別の市場を狙ったもの」――ミクシィの笠原健治社長は2月5日の決算会見でこう強調した。
SNSユーザー同士で遊べる「ソーシャルゲーム」と呼ばれるゲームが脚光を浴びている。GREEは07年10月から、携帯電話向けにアイテム課金型ゲームを導入して急成長。「モバイルのソーシャルゲームプロバイダーとして世界有数」と、グリーの田中良和社長は昨年7月のイベントで語っていた。モバゲータウンも昨年10月から同様なゲームを投入し、ページビュー、収益面で急成長している。
mixiアプリも月間109億ページビューを稼ぎ出すなど利用は拡大しているが、収益面ではいま1つで、「市場開拓には時間がかかる」と笠原社長は言う。その背景には、GREEやモバゲーとの構造の違いがあるという。
GREEやモバゲーの友人関係は、ゲームを核に集まり、見知らぬユーザー同士がつながりやすい「バーチャルグラフ」であるのに対し、知り合い同士のつながりが多いmixiの「マイミクシィ」(マイミク)関係は「ソーシャルグラフ」だと笠原社長は区別。前者は既存のオンラインゲーム市場で戦い、後者はソーシャルゲームという新市場を開拓していくという。
GREEやモバゲーとの違い
GREE・モバゲーのゲームとmixiアプリでは、一緒にプレイする相手が異なるという。GREEやモバゲーのゲームは、見知らぬユーザー同士でプレイし、ユーザー全体でランキングを競うものが多いが、mixiアプリが目指しているのは、友人などマイミク同士の交流の一環として楽しめるゲームだ。
例えば、GREEで人気の釣りゲーム「釣りスタ」は、さまざまな魚を釣り、「釣り図鑑」を充実させたり、ユーザー全体での点数ランクや「○○段」など称号を競うゲーム。見知らぬユーザーとのチームプレイも可能だ。「釣り図鑑を充実させたい」というコレクション欲や、「ランキング上位に入りたい」という欲望がプレイヤーをかきたてる。
一方、mixiアプリで一番人気の「サンシャイン牧場」は、ユーザー全体で競い合うのではなく、マイミク(友人)と一緒に楽しむ設計。ランキングもユーザー全体ではなくマイミクのものだけを表示し、マイミクと作物を世話し合ったり取り合ったりできる。「マイミクの○○さんが水をやってくれたから、お返しに○○さんの畑で虫をとってあげよう」「○○さんに作物を取られたから取り返そう」など、マイミクとの交流がプレイを活性化する(1カ月で130万ユーザー 中国発のmixiアプリ「サンシャイン牧場」人気)。
DeNAはモバゲーとmixiアプリ両方で「怪盗ロワイヤル」を提供しているが、両サイトでつくりが異なる。モバゲー版は見知らぬユーザーとプレイする機能が充実しているが、mixi版ではマイミクとの交流機能を重視。マイミク同士でチームを組んだり、プレゼントを贈りあうことができる。
mixiアプリ、「急速に売り上げは立たないが、新しい市場を開拓」
GREEやモバゲーでは、ゲームを有利に進められる課金アイテムが充実している。釣りゲームなら竿やエサなどを、怪盗ゲームなら武器や防具を有料販売。価格は数十円~数百円程度が主流だが、1000円以上するものもあり、ヘビーユーザーのアイテム購入が両サービスの売り上げ急拡大を支えている。
mixiアプリも一部で課金サービスを提供。課金API「mixiペイメントAPI」を昨年12月にスタートした。1回当たりの課金の上限は300円で、対応アプリは24とまだ少なく(アプリ総数はPC版が780、携帯が330)、mixiアプリの収益化が遅れている1つの要因にもなっている。
「オンラインゲームのヘビーユーザーはお金を底なしに使う。初期のARPU(ユーザー1人当たりの売上高)はGREEやモバゲーの方が高いだろう」と笠原社長も認める。だがmixiアプリはオンラインゲームではなく、家族や友達と遊ぶ「ソーシャルゲーム」。ARPU拡大ではなく、少額課金ユーザーのすそ野拡大を目指すという。
「mixiアプリの競争相手はマイミクという身内。オンラインゲームのようにユーザー全体で競うわけではないため、数百円程度までの少額アイテムでちょうどいいだろう。自分が有利になるためにアイテムを買うだけでなく、マイミクにアイテムをプレゼントするような使い方もあるだろう」
mixiアプリが挑むのは、友人や家族とのコミュニケーションの1つとして、誰もがライトに楽しめ、長くプレイし続けられるソーシャルゲームという新市場だ。「mixi日記のようなゲームが理想」で、市場開拓には時間がかかるとみている。
2010年3月期のmixiアプリからの売り上げは4~5億円(うち課金収入は1億5000万円)となる見通しだ。アプリのソーシャル性をいかした広告など新たな広告展開も視野に入れ、長い目で成長させていく。
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