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モバゲー再び急成長 ソーシャルゲーム、3Qだけで30億円売り上げ

» 2010年02月01日 19時17分 公開
[ITmedia]
画像 南場社長

 「新たな成長のエンジンをつかんだという力強い感触を得ている」――ディー・エヌ・エー(DeNA)の南場智子社長は2月1日に開いた2009年10〜12月期(第3四半期)連結決算会見でこう話し、四半期ベースの売上高が過去最高を更新したことを報告した。

 主力の「モバゲータウン」事業は今年に入って低迷していたが、10月に投入した自社製ソーシャルゲームのヒットで再び急成長。ソーシャルゲームだけで同期中に約30億円売り上げた。横ばいだった月間ページビュー(PV)も10月を境に急拡大し、12月は前年同期比2.5倍の約380億PVと「とんでもない成長」(南場社長)となった。

 連結売上高は前年同期比24%増の116億5500万円、営業利益は32%増の52億2400万円、経常利益は31%増の52億7600万円、純利益は34%増の29億8500万円。

ソーシャルゲーム急成長 アバター低迷続く

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 モバゲータウンの売上高は68億6600万円と、前年同期比1.5倍に。アバターやアフィリエイト広告の低迷が続く中、ゲームの売り上げが急拡大し、35億7700万円と前期(09年7〜9月期、4億3900億円)より約30億円増えた。

 増加分のほとんどが、自社開発のソーシャルゲームからの課金収入だ。ユーザー同士で世界の宝を集める「怪盗ロワイヤル」や自分の星を育てる「ホシツク」などがヒット。ソーシャルゲーム効果で会員のアクティブ率も高まり、PVも急拡大した。

 ゲームプラットフォームは「モバゲーAPI」として昨年から他社に開放。1月27日、APIを使って他社が作ったゲーム第1弾を公開した。他社製ゲームは自社製ゲームと競合する恐れもあるが、「多少のカニバり(食い合い)があったとしても、ユーザーに豊富なラインアップのゲームを楽しんでもらうことが重要。小さなカニバりは気にせずモバゲー全体で魅力を高め、モバイルナンバーワンプラットフォームを目指す」と南場社長は意気込んでいる。

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 「ホシツク」「怪盗ロワイヤル」はmixiアプリにも提供中で、mixiアプリ経由でのアイテム課金収入も徐々に入ってきているという。同じゲームがモバゲーでもmixiでもプレイできる状態だが、「mixiとモバゲーはユーザー層が違うのか、ユーザーを取り合うイメージはまったくない」とし、mixiアプリとは共存できるとみている。他社プラットフォームへのゲーム提供も今後、収益の柱として育てていく方針だ。

 モバゲーの当初の成長をけん引してきたアバター売り上げは08年1〜3月期の24億1000万円をピークに縮小傾向が続き、09年10〜12月期は14億4100万円まで落ち込んだ。ただ昨年6月に投入した「3Dアバター」の利用が徐々に拡大しているほか、3Dアバターと連動したペットサービス「セトルリン」が好調。ユーザー拡大に伴ってアバター販売も回復すると南場社長は展望している。

 「モバゲーは過去1年ぐらい横ばいか減少傾向で、特にアバターの減少が大きかったが、1年近い取り組みの結果、新たな成長エンジンをつかみ、大きな成長に転じた。今後はエンターテインメントプラットフォームとして、ゲーム提供者として成長していきたい」

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